アメリカ政府は中国に対する高性能半導体の輸出を厳しく制限しており、NVIDIAなどの半導体企業は輸出規制に抵触しない程度の性能の半導体を製造して中国への輸出を続けています。そんな中、NVIDIAが中国市場向けに「B20」と呼ばれる新しいフラッグシップAIチップを開発中であることが報じられています。

Exclusive: Nvidia preparing version of new flagship AI chip for Chinese market | Reuters

https://www.reuters.com/technology/nvidia-preparing-version-new-flaghip-ai-chip-chinese-market-sources-say-2024-07-22/



Nvidia said to be prepping Blackwell GPUs for China • The Register

https://www.theregister.com/2024/07/22/nvidia_said_to_be_prepping/

Nvidia preparing a China-focused variant of its B200 Blackwell AI GPU to comply with US export regulations | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/pc-components/gpus/nvidia-preparing-a-china-focused-variant-of-its-b200-blackwell-ai-gpu-to-comply-with-us-export-regulations

NVIDIA May Launch Blackwell B20 AI GPU For China Amid Export Curbs

https://hothardware.com/news/nvidia-blackwell-b20-ai-gpu-for-china

アメリカは高性能チップが中国政府によって軍事転用されるのではないかという懸念から、NVIDIAやAMDに対し中国への高性能チップ輸出に厳しい制限を設けています。

NVIDIAやAMDに対し「中国へのAIチップの輸出規制」をアメリカ政府が命じる - GIGAZINE



このような状況下で、NVIDIAは輸出規制措置を回避するために中国市場向けに「H20」と呼ばれるAIチップを販売しています。NVIDIAは中国市場向けに「H800」というチップを販売していたものの、同チップが2023年10月に輸出禁止とされました。そのため、NVIDIAは輸出規制措置を回避するべく、より処理性能が低い「H20」を中国向けに販売しています。

NVIDIAが数日以内に3つの新しいH100ベースのAIチップを中国に投入する予定との報道、輸出規制回避に必死な姿が浮き彫りに - GIGAZINE



さらにNVIDIAは中国市場向けに「B20」と呼ばれる新たなAIチップを開発中であることが報じられています。B20はNVIDIAが2024年3月に発表したGPUアーキテクチャ「Blackwell」をベースにしたGPU「B200」から派生したGPUで、H20と比べて一部のパフォーマンスレベルが約2倍に向上しているそうです。

関係者によると、NIVIDIAは中国の主要なディストリビューターパートナーのInspurと協力してB20の販売に取り組むとのこと。また、B20の出荷は2025年の第2四半期に開始される予定です。



NVIDIAの中国からの収益は年々減少傾向にあり、全収益における中国市場からの収益は2022年で26%でしたが、2024年は17%にとどまっています。しかし、海外メディアのHot Hardwareは「H20チップやB20チップといった中国国内でも入手可能な製品によってNVIDIAは失った中国市場のシェアを補うことができる可能性があります」と推測しています。

なお、今回の報道についてNVIDIAはコメントしていません。