地中海の海底に沈んだ3300年前の船から壊れることなく引き上げられた容器/Emil Eljam/Israel Antiquities Authority

(CNN)地中海の海底から、3300年前の沈没船が発見された。これまで見つかった中で最古の沈没船の一つであり、古代世界の航海に対する知見を書き換えるものだという。イスラエル考古学庁が明らかにした。

同庁の声明によれば、当該の船は紀元前13世紀または同14世紀のものと推定される。見つかったのは海岸から90キロ、深さ1.8キロの海底だ。船内には広口の容器数百点が壊れずに残っていたという。

船の残骸は、英国の天然ガス生産会社が現地の海底の環境調査を行っている際に見つかった。同社の環境チームの責任者が明らかにした。

引き揚げられた船内の容器は、エルサレムに新設された考古学関連の施設に今夏展示する予定。

イスラエル考古学庁で海洋考古学部門を統括するヤーコブ・シャービット氏は、当該の船について、嵐か海賊に襲われて沈没した可能性があると指摘。地中海東部の深海で見つかった沈没船としてはこれまでで最古のものだと述べた。

船内の容器には恐らく油やワイン、果物などの農産物が入っていたとみられる。海をまたぐ貿易が行われていたことを示唆すると、シャービット氏は説明した。

従来の海洋貿易の知見では、当時の航海は港の間を移動するものであり、広々とした外洋をまたいで行っていたとは考えられていなかった。あくまでも乗船者から陸が見える範囲での航行が想定されていた。

今回の発見は古代世界の航海に関する理解を覆すという意味で世界的な驚きであり、当時の航海術が高い水準にあったことを裏付けると、シャービット氏は分析。陸を視認することなく、水平線しか見えていない状態での地中海横断が可能だったことを示唆すると付け加えた。