この記事をまとめると

■2024年問題に直面している物流業界

■2024年問題に追い打ちをかけ得るのが高速道路の割引制度の見直しだ

■深夜割引が改悪される可能性があるという

トラックドライバーが高速代を自己負担しているケースもある

 2024年4月からいよいよ緩和措置として猶予されてきたルールが期限切れとなり、物流の2024問題が本格化した。働き方改革関連法により、トラックドライバーの労働時間が厳格化されることになったのだ。

 岸田内閣は少子化対策やウクライナ支援に予算を割いているが、国民の生活に貢献するような政策は見当たらず、自分たちの保身にばかり注力している印象だ。運輸業界が立ち行かなくなれば、日本の物流、つまり経済はストップしてしまうことがわかっていないのだろうかと心配してしまう。

 ここ最近の運輸業界に対する支援策を見ても、実効力のあるものは見当たらない。たとえば標準運賃の基準化だ。強制力のない標準運賃を提示しても、現場の運輸業者にしてみれば、いままでの金額で運ばなければ別の運送業者に切り替えられるだけだ。

 これまでも青色吐息で事業を継続してきた業者のなかには、規制強化を受けて廃業するところも出てきた。中小企業が淘汰され、労働力が統合されていけば運輸業でも力をつけることはできるかもしれないが、全体として人手不足で不人気な職業となっており、人材が流出してしまうのは避けられそうにない。

 そんな運輸業界に追い打ちをかけている問題が、高速道路の割引制度だ。長距離トラックなど高速道路を利用する頻度が高い企業には法人割引があるが、それ以外にも大きいのが深夜割引という制度だ。ところが、この深夜割引が改悪されたのである。前述のように荷主はできるだけ安く運んでもらうことしか考えていないので、その皺寄せは下請け業者やトラックドライバーなどの末端に集まってくる。これまでも高速料金を別途請求できないケースも多く、トラックドライバーは自分の休憩時間を捻り出すために高速料金を自腹で払っていることもあったと聞く。そんなドライバーにとって、これまでの深夜割引は、非常に重要な制度だった。

 これまでの深夜割引では、午前0時から午前4時までの間にETCゲートを通過したクルマが30%の割引を受けられる、というもの。そのため深夜になると午前0時以降にゲートを通過しようと、時間調整のための駐車が増え、ETCゲートに近いSA/PAでは駐車マスが不足し、路肩などに駐車しなければならないケースや料金所で渋滞が発生するなど、問題が起こっていた。

 深夜割引の改訂は、そんな問題を解消するために行われた。深夜の時間に走ったぶんだけ割引が適用になる、というものだ。こうなると時間調整はできないことになるが、そもそも高速料金を請求できないドライバーが、少しでも出費を抑えようと努力していることをフイにする改訂はいかがなものかと感じざるを得ない。

 本当に高速道路を安全に快適に利用してもらおうとするのであれば、急ピッチで駐車スペースの拡充を目指すべきだ。工事などで利用できない場合の臨時駐車場などは見受けられるが、それ以外はまだまだ利用者のための対策が少ない印象だ。

 ネクスコが民営化されたといっても、高速道路は国民のための公共サービスだ。一層の改善を望みたいところである。