(写真:Getty Images)

AIの進化によって英語学習の効率性が一気に高まる。

『週刊東洋経済』1月20日号の特集は「タイパ時代のAI英語術」だ。AIを使いこなせるかどうかが、英語をマスターするうえでのカギとなる。


「言葉を覚えるには、まず単語から」という発想は、世界共通のものである。しかしその単語学習法が、AIの登場で大きく変わろうとしている。

日本語は世界でも難しい言語の1つで、米国務省が発表している「外国語習得難易度」でも、最高難度のカテゴリー5に属している。要は、それだけ英語と日本語とは構造が異なるということだ。

正反対の言語を学ぶということであり、従来のやり方で勉強がうまく進まなければ、もっと違う方法を考えなければならない。現代は「タイパの時代」である。AIをフルに活用して、最短で英単語を覚えることに挑戦すべきではないだろうか。

独自教材でタイパ学習

試しに対話型AIの代名詞ともいえるチャットGPTに、「日本人が英単語力を強化する方法を教えて」と聞いてみた(図1)。私の経験を踏まえても、まさにこの指摘どおりで、英語学習に効果的とされる方法をほぼ網羅しているといえる。あなたも単語を学習するうえでぜひ参考にしてほしい。


日本でメジャーな英語試験、TOEIC。これを受験する人は、市販の単語帳などを使い、まずはボキャブラリーの暗記から勉強を始めていると思う。しかし、今後はAIに独自の教材を作ってもらうことで、より効率のよい「タイパ学習」が可能になる。

あなたが会社の命令でTOEIC800点を取らなければいけないとする。このとき、AIを使えば効率よく学ぶことができる。TOEIC Part1の「写真描写問題」が苦手だとしたら、AIに練習問題を作ってもらい、集中特訓をすればよい。

専属の学習コンシェルジュ

AIは作問だけでなく、音声読み上げ、解説文や単語帳、課題の作成、学習アドバイスも可能である。専属の学習コンシェルジュとして、あなたの英語学習に寄り添ってくれるのである。これが基本的に無料なので、使わない手はないだろう。

図2はAIにPart1の問題を作ってもらったときのものだ。文章だけのもの、画像が出せるものなどAIの機能はさまざまだが、日々進化しているので、用途に応じて使い分けたい。


図3は先述した単語帳だ。「日本語訳をつけて」「表組にして」など、あなたの指示(プロンプト)によって、いくらでも独自教材を作ることが可能だ。AIをうまく使いこなして自分に最適かつ最強の単語帳を作ってみよう。


独自の教材が形になったら、次はいかにその内容を身に付けるかが大事だ。記憶の定着法である。

参考までに、AIに記憶定着法を聞いてみた。その一部が図4だ。私が今までの経験を基にお薦めするのは、「自分が好きなジャンルに置き換えること」だ。野球、アイドルなど何でもいい。気になる情報と結び付けて単語をインプットしてみよう。


例えばavailableという単語は、ビジネスやTOEICでも頻繁に登場する。あなたが野球好きなら、「availableを使った野球に関する英語の例文とその日本語訳を5つ/表組で」と指示してみよう。覚えたい単語を、興味のあるジャンルと組み合わせることで、能動的に学習できる。

繰り返しの学習で定着

単語学習は、「忘却と再学習」の繰り返しだ。一度に覚えようとせず、繰り返しの学習で定着させるのがコツ。好きこそ物の上手なれで、AIを駆使しながら、気軽に楽しく英単語を物にしたい。最新の英語・AI情報を入手したい方は、私の「最新AI英語ニュース」もぜひチェックしてほしい。


(デイビッド・セイン : 英会話教室「A to Z English」代表)