【阪神JF予想】難解な2歳GI、キーワードは「完成度」と「絶対能力」(古澤秀和)
10日に行われる2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズ(2歳・牝・GI・阪神芝1600m)。上位人気と目されたボンドガールの回避もあり混戦模様となっている。
ここではパドック派の予想家であり馬体を見るプロである古澤秀和氏に、出走各馬を馬体の観点を中心に展望してもらった。11月のファンタジーS(GIII)では15番人気1着のカルチャーデイに本命を打つなど、2歳戦を得意とする古澤氏の見解は――。
◆この中14週で大きく成長
2歳戦の馬券戦略で重要になってくるのは「完成度」と「絶対能力」です。もちろん、当日の馬場などの適性的な要素も重要ですが、特にこの阪神JFに関してはこの2つの要素が重要になってきます。昨年のリバティアイランドなどは完成度はあまり高くありませんでしたが、絶対能力が違い過ぎました。2018年を見ると、完成度が高いダノンファンタジーと、絶対能力が高いクロノジェネシスの組み合わせで決着していました。他の要素も当然絡んできますが、ここではこの2点に注目して検討していきたいと思います。
◎アスコリピチェーノ
新潟2歳S時はそれほど完成度という点では高くありませんでしたが、この中14週の間に馬がかなり成長しています。何よりもやや緩かったトモの筋肉が引き締まり、さらに張りも出てきています。また、新潟2歳S時は仕上げも緩かったのですが、今回はGI仕様で引き締まっています。血統・体型的にまさにマイラーで、完成度はこの時期の2歳牝馬としてはかなり高いと言えるでしょう。ボンドガールが回避しましたが、個人的には現状はこちらの方が上と見ています。
○サフィラ
新馬戦の時は器はあるものの、そこに何も入っていないという印象でしたが、使いながら実が入ってきて、立ち姿の力強さから変わってきました。ここまで良くなってくれば、このメンバーでも戦えます。胴や四肢にゆとりがあって、距離は中距離の方が向くかもしれませんが、前走のアルテミスSで2着にきているように、直線の長いコースならマイルでもOKでしょう。血統馬だけに素質は高いものを持っていて、ここでも上位争いは必至でしょう。
△コラソンビート
ツナギや飛節の柔軟性が目立っていて、それを俊敏に動かせる良質な筋肉が備わっています。初戦は1着がボンドガール、2着がチェルヴィニアというレースでレベルも高かったですが、この馬自身は直線で進路を探して踏み遅れていましたし、前が開いてからは既に前方の2頭が抜けていたので無理はしなかった印象です。その後は鋭い決め手を発揮して、前走では重賞メンバーの牡馬相手に3連勝。間違いなく高い能力を持っています。1400mでも間に合う決め手を持っていますが、距離はむしろマイルの方が向くでしょう。初めての右回りくらいが不安要素で、ここも好走は必至でしょう。
3頭からは間が開いて、
注プシプシーナ
新馬、白菊賞と2連勝。小柄で非力なところがある馬ですが、関節も筋肉も柔軟性が高い馬です。スッと先手を取れる器用さがあり、それを武器に2連勝。レースセンスが高いと言えるでしょう。前回からトモの筋肉が強化されていて、さらにパフォーマンスが高くなっているかもしれません。
☆カルチャーデイ
前回のファンタジーS時は超人気薄でしたが、◎を打ったくらい馬体や気配が良かったです。柔軟性とバネ感、何よりも造りの軽さが目立っていました。ただ、あのままだと阪神マイルの今回は通用しないのですが、今回の写真を見るとトモの筋肉が強化されて、ここでも戦える形になってきました。ポジションを取れて、終いもしっかりしているので、レースセンスはかなり高いと言えます。枠や馬場次第では好走可能でしょう。
その他、未勝利・萩Sと連勝のルシフェルは筋肉がしっかりと付いていて完成度が高そう。写真はあまり見栄えがしませんが、当日の状態次第では評価を上げるかもしれません。ステレンボッシュは馬格があって、筋肉量も多く、素質は高そうです。もう少し筋肉の質が締まって強くなればという印象ですが、これも当日の状態次第では上げる必要があるでしょう。
昨年のリバティアイランドのように突出した馬はいないかもしれませんが、全体的に悪くないレベルの一戦で、現状は上位3頭の力差があると思います。(文=古澤秀和)
※この記事はあくまで木曜時点での見解となります。
