現在は50歳で結婚をした相手と穏やかな生活を送っているという飯島百合子さん(筆者撮影)

アラフォーといえば仕事が波に乗り働き盛りだったり、育児に奮闘している人も多い世代だ。そんなアラフォー世代が離婚をした場合、どのような変化があるのだろうか。20代のときと30代のときに離婚をした54歳の女性に話を聞いた。

2回目の離婚後、生前贈与で潤う

Zoomの画面に現れた飯島百合子さん(仮名、54歳)は終始くったくのない笑顔で愛嬌のある女性だった。飯島さんは24歳で1度目の結婚をするも28歳のときに離婚、その後36歳のときに2回目の結婚(事実婚)をして43歳で離婚した。そして離婚から2カ月後に新たなパートナーと出会って婚約するも破棄してしまう。現在は50歳で結婚をした相手と穏やかな生活を送っている。

「私、振られた直後にノリですぐ結婚しちゃうんです。今の夫を除き、過去の結婚はすべて勢いです。でも最初の離婚のとき、結婚というシステムに懲りてしまいもう一生独身でもいいかなと思ったのですが、離婚から8年後に同棲した人と2回目の結婚をしました。ただ、2回目に結婚した人はバツイチで元妻と財産分与のことで揉めている最中だったので、巻き込まれたくなくて事実婚という形をとりました」

ちなみに飯島さんは執筆業をなりわいとしている。専業作家だったときもあるが、現在は作家とシステムエンジニアを兼業して暮らしている。

「2回目の離婚をしたときは手持ちのお金がアパートを借りるくらいしかありませんでした。洋服と本だけを持って家を出て新しい生活をしようとしたら合計100万円くらい必要になってしまったんです。43歳だったので、もう結婚は無理かもと親に同情され、『お前の名義の貯金がある』と、生前贈与をしてもらって懐が潤いました。そして、ライスワークのためにシステムエンジニアの仕事も増やしました」

離婚後2カ月で婚約するも半年で破棄

飯島さんの恋愛の一番の特徴はとにかくモテることである。

「今までも離婚をした途端モテ期がやってくるんです。特に2回目の離婚の際、SNSで『離婚をしました。寂しいから慰めて』と投稿したときなんかは10人くらいの男性からお声がかかってデートしました。そのうちの一人が婚約をした芸能関係の男性です。友人の出版記念パーティーで出会ったのですが、実はその男性はあらかじめ私を作家として知っていて、パーティーの主催者から私が来ることを聞き、パーティーに参加したのだと後になってから聞きました」

飯島さんはその男性とすぐに親しくなり、彼が頻繁に飯島さんのアパートに訪れるようになった。そしてそのときも勢いで婚約した。なぜ飯島さんがこんなにモテるのか聞いてみても、本人もわからないという。よく、恋愛指南本などでは「男は追いかけるのが好きだからギリギリまで引っ張って体もすぐに許さないように」などと書かれているので、そのようなテクニックを使っているのかと聞くも、そういうわけでもなく、貞操観念もわりと低いほうだとのことだった。

男性は体の関係を持つと満足してすぐに離れていく傾向にあるが、飯島さんの場合、もともと体目当ての男性が寄ってこないのだという。飯島さんと接していると、とにかくおしゃべりで楽しそうにしている。この人懐っこい笑顔と話上手なところに男性は惹かれるのかもしれないと筆者には思えた。

しかし、婚約をするもすぐにうまくいかなくなり、たった半年で婚約破棄となった。

「婚約を破棄した後はもう一生一人でもいいやと自暴自棄になったこともありました。若い頃も何度かホステスのバイトをしていたのですが、潜入取材目的で45歳にして熟女系のスナックでホステスのバイトを始めました。でも、お酒をたくさん飲んで酔っ払って、便器を抱えて嘔吐していたら『私、45歳にもなって何をやっているんだろう』と急に虚しくなってしまいました」

46歳にして婚活

それから飯島さんはアラフィフにして婚活を始めた。マッチングアプリに登録し、希望の条件を入力し相手を探した。たくさんの男性に会ってデートをし、ようやく「この人と一生一緒にいたい」と思える相手に出会えた。しかし、親が再婚をなかなか許してくれず、結局3年ほど交際をして50歳で結婚をした。相手はバツイチで子どもがおり、親権は元妻にあったが、元妻と彼の間を行き来しており、飯島さんともすぐに打ち解けた。

「夫の子どもからは『ゆりちゃん』と呼ばれて良好な関係を築いています。実は今日もこの取材の後、夫の子どもを迎えにいかないといけないんです。今年受験なので勉強が大変そうですが、よく3人で仲良くご飯を食べています」

最後に飯島さんに離婚して良かった点について聞いてみると、嫌な相手と別れられるのだから良いことづくしだと即答された。また、今は平穏な家庭を築いているが、もし今後相手のことが嫌になったら我慢はせず離婚するとのことだった。

多くの恋愛を重ねて2度の離婚と婚約破棄、3回の結婚を経てきた飯島さん。彼女にとって結婚も離婚のハードルもそう高くないように感じた。そして、前向きな離婚ばかりだ。今後も持ち前の明るさで人生を歩んでいくのであろう。 

本連載ではアラフォー世代で離婚された人が離婚後にどのような変化があり、どんな生活を送っているかの体験談を募集しております。取材の申し込みは以下(https://form.toyokeizai.net/enquete/tko2210b/)よりお願いいたします。


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(姫野 桂 : フリーライター)