理想汽車はレンジエクステンダー型EVを主力とする独自の製品戦略により、中国市場でユーザーの支持を獲得した(写真は同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカー、理想汽車(リ・オート)が“快走”を続けている。同社は11月9日、2023年7〜9月期の決算を発表。同四半期の販売台数は前年同期の約4倍の10万5000台、売上高は同約3.7倍の346億8000万元(約7191億円)に拡大した。純利益は28億1000万元(約583億円)を計上し、4四半期連続の最終黒字を達成した。

理想汽車の製品戦略の特徴は、航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載したレンジエクステンダー型EVを主力にしていることだ。現在販売している3車種はいずれもレンジエクステンダー型であり、中国の販売統計上はPHV(プラグインハイブリッド車)に分類される。

車両の粗利率20%超

「わが社はメーカー希望価格20万元(約415万円)以上のEVとPHVのカテゴリーで、市場シェアを1〜3月期の10.9%から7〜9月期は15.4%に伸ばした」。理想汽車の創業者兼CEO(最高経営責任者)の李想氏は、決算説明会でそう胸を張った。

好調な販売を背景に、理想汽車は相対的に高い利益率を実現している。7〜9月期の車両販売の粗利率は21.2%。理想汽車のCFO(財務最高責任者)を務める李鉄氏は、「将来に向けた研究開発投資を支えるため、20%以上の粗利率を維持できるよう努力する」と決算説明会で述べた。

理想汽車はこれまで、独自の自動運転技術の開発では後れを取っていた。しかし今後は、自動運転分野の研究開発体制を大幅に強化し、現時点で約900人のエンジニアを2024年末までに2000人に増やす。


理想汽車は初の純EVとなる高級ミニバン「MEGA」の予約販売を11月から開始した(写真は同社ウェブサイトより)

また、理想汽車の最上位グレードのクルマを購入したユーザーに対して、2023年12月から自動運転ソフトウェアのアップグレード版を提供。新バージョンでは(高速道路だけでなく)市街地の一般道を含めた(システムによる)高度な運転支援が可能になるという。

「わが社は自動運転技術の分野で、2024年前半にトップグループの仲間入りを果たす自信がある」。理想汽車の総裁(社長に相当)兼チーフエンジニアの馬東輝氏は、そう意気込む。

純EVの高級ミニバン投入

理想汽車は10〜12月期の業績予想として、販売台数が12万5000〜12万8000台、売上高が384億6000万〜384億8000万元(約7975億〜7979億円)との見通しを示した。


本記事は「財新」の提供記事です

新型車に関しては、同社初の(レンジエクステンダー型ではなく、車載電池だけで走行する)純EVの高級ミニバン「MEGA」の予約販売を11月から開始。2024年には、さらに4車種を投入する計画だ。

純EVの発売に備えて、理想汽車は独自の急速充電ステーション網の構築も急ピッチで進めている。高速道路の沿線にすでに130カ所を開設済みで、2023年末までに300カ所に増やすとしている。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月10日

(財新 Biz&Tech)