松戸市は東京都心から20キロメートル圏に位置し、高度成長期にベッドタウンとして発展した街です。JR常磐線などの鉄道路線が整備され、軽快なフットワークを有するとともに江戸川をはじめ自然にも恵まれています。今回は、松戸市の魅力と住宅事情について紹介します。

21世紀の森と広場(画像素材:PIXTA)

上野駅へJR常磐線利用により約20分でアクセス

松戸市は、東京都心から20 キロメートル圏の千葉県北西部に位置します。JR常磐線利用で松戸駅から上野駅へは20分程度でアクセス。交通利便性の高さもあり、東京都区部への通勤・通学者も多く住んでいます。

松戸市の鉄道(出典:松戸市都市計画マスタープラン)

西側は江戸川を挟んで東京都葛飾区、江戸川区、埼玉県三郷市に隣接し、南側は市川市、東側は鎌ケ谷市、東側から北側にかけて柏市、流山市と隣接しています。江戸川をはじめ多彩な水や緑の資源が存在し、農地や樹林地、河川、公園など、自然的な土地利用が約4分の1を占めています。

松戸駅の中心市街地(筆者撮影)

松戸市では1960年代ごろからJR常磐線・新京成電鉄新京成線沿いで市街地が拡大し、常盤平団地や小金原団地など住宅地開発が進みました。1970年代には松戸駅西口第一土地区画整理事業が完了し、都市の基盤づくりが進行。その後、北総鉄道北総線やJR武蔵野線が開業し、沿線の街づくりが活発化していきます。新松戸駅周辺や新八柱駅周辺などでは商業拠点が整備されました。

松戸駅周辺のマンション(筆者撮影)

市内にはJR常磐線をはじめ多くの鉄道路線が通っており、鉄道駅を中心に商業や医療・福祉などの施設が集積。コンパクトな市街地が形成されています。市街化区域内の約4割で土地区画整理事業や団地開発が行われており、道路や公園などの都市基盤も整っています。市内には、駅前、駅ナカ保育所など子育て支援施設が多く設けられており、子育てしやすい街としても知られています。

松戸神社(筆者撮影)

交通利便性と良好な子育て環境から人口は大きく増加。1950年代に10万人に満たなかった松戸市の人口は、2023年10月1日時点で49万7,444人と約5倍に。世帯数は23万8,675世帯となっています。

松戸市の人口推移(出典:松戸市ホームページ)

【松戸市のデータ】
総面積…61.38平方キロメートル
人口…49万7,444人
世帯数…23万8,675世帯
※2023年10月1日時点

交通利便性と良好な住環境 豊かな自然も身近に

松戸市にある鉄道駅のアクセス(出典:松戸市ホームページ)

松戸市内にはJR常磐線をはじめ、JR武蔵野線、新京成電鉄新京成線、北総鉄道北総線、流鉄流山線、東武アーバンパークラインの駅があり、都心方面や成田空港方面へのアクセスが良好です。

JR常磐線快速利用で、松戸駅から北千住駅へ1駅約8分。上野東京ラインで、東京駅や品川駅へ直通でアクセスできます。JR常磐線各駅停車は東京メトロ千代田線と結ばれ、大手町駅などの都心ビジネスエリアへ直通でアクセス可能。東京メトロ千代田線沿線には私立の有名校も多く、沿線の魅力になっています。北総鉄道東松戸駅からは日本橋方面への直通電車があり、特急利用なら30分台でアクセス可能。同じく特急利用で成田空港へも30分台でアクセスできます。

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東松戸駅周辺の戸建て街区(筆者撮影)

松戸市の街づくりの特徴として、土地区画整理事業による市街地形成が挙げられます。土地区画整理事業によって、公園や生活関連施設などを計画的に整備。商業、医療・福祉施設などがバランスよく配置されています。

新松戸駅や松戸駅などではバリアフリー化も推進。子どもから高齢者まで暮らしやすい街づくりが進められています。市街化区域内の土地区画整理事業施行面積の割合は40%を超えており、30%に届かない柏市、市川市、船橋市などを大きく上回ります。

新松戸駅周辺の街並み(筆者撮影)

実際に土地区画整理事業が進められた東松戸駅周辺を訪ねると、戸建て街区、マンション街区、公園などが計画的にゾーニングされ、歩道は広く安心して歩けます。整った街並みは松戸市で暮らす大きな魅力と言えるでしょう。

東松戸駅周辺の街並み(筆者撮影)

松戸市では、子育て支援にも注力しています。幼稚園と小規模保育施設との共存を図り、0歳から2歳児では小規模保育施設、小規模保育施設卒園後は幼稚園へとバトンタッチ。2016年度から待機児童数は、8年連続ゼロとなっています。

加えて、保護者の生活パターンを変えずに幼稚園に通園できる送迎保育ステーションの整備を推進。松戸駅、新松戸駅、東松戸駅、八柱駅といった鉄道交差駅の送迎保育ステーションを拡充しています。送迎保育ステーションでは、指定幼稚園のバスが来るまでと、保護者のお迎えまでの保育や一時預かりを実施。各駅から徒歩5分圏内にあり、通勤途中に子どもを預けることができます。

都市に寄り添う松戸中央公園(画像素材:PIXTA)

子どもの健やかな成長を後押しする豊かな自然や公園が充実している点も松戸市の魅力です。土地区画整理事業を中心に街づくりが進められた松戸市内には、駅徒歩圏にあり園内にテニスコートも有する松戸中央公園をはじめ、街区公園や近隣公園などの公園が街なかに点在しています。

戸定が丘歴史公園(筆者撮影)

松戸駅から徒歩約10分の場所にある戸定が丘歴史公園は、徳川慶喜の弟である徳川昭武の別邸を含めた庭園などを公園として整備したもの。松戸市内には、小金城の跡地である大谷口歴史公園や根木内歴史公園など史跡を継承した公園も点在します。

年間60万人が訪れる21世紀の森と広場も

21世紀の森と広場(画像素材:PIXTA)

新京成電鉄八柱駅、JR武蔵野線新八柱駅から徒歩約15分の1993年に開園した21世紀の森と広場は50.5ヘクタール、東京ドーム11個分の広さを誇る総合公園です。緑豊かな園内は、山、林、池、田園などさまざまな自然に触れ合うことができる環境となっています。森のホール 21、松戸市立博物館、県立西部図書館などの公益施設も園内に立地します。

21世紀の森と広場のガイドマップ(出典:松戸市ホームページ)

園内は自然、レクリエーション、文化のゾーンに大きく分かれています。自然ゾーンにある千駄堀池では、野鳥やトンボなどの観察もできます。

レクリエーションゾーンは6.3ヘクタールもある広大な芝生広場、せせらぎ、野外活動ゾーンで構成。バーベキュー場や野外キャンプ場も園内にあり、年間60万人が訪れる憩いのスポットになっています。テラスモール松戸などの商業モールもあり、家族が週末を楽しむスポットが身近にあるのは、松戸市で暮らす大きなメリットでしょう。

テラスモール松戸(画像素材:PIXTA)

松戸市内には、松戸市立総合医療センターなどの医療施設も各地域に設置されています。駅を中心に、医療・福祉などの施設が街に備わっているのは安心感があります。

続いて、松戸市の住宅事情を見てみましょう。

松戸駅などでマンション分譲が活発化

JR常磐線松戸駅(筆者撮影)

土地区画整理地の多い松戸市内では、街区の整った好立地でのマンション供給が目立つ一方、既成市街地が多いため物件数は限られます。好立地の新築マンションは、なかなか出合えないと思ったほうがよいでしょう。

JR常磐線快速で北千住駅まで1駅の松戸駅の新築マンションは人気があり、価格設定も3LDKタイプが6,000万円台超となっています。新松戸駅など松戸市内のほかの駅では3LDKタイプが4,000万円台で購入可能な物件も。予算を抑えるなら松戸駅以外の駅も検討するのがよいでしょう。

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広場の向こうに東松戸の住宅街が広がります(筆者撮影)

松戸市内では中古マンションストックが豊富にあります。築20年以上のものが多く、70平方メートル以上の3LDKタイプでも3,000万円台から十分検討できます。新築マンションの供給物件数は限られているので、立地にこだわるなら中古マンションも併せて探すことをおすすめします。

松戸市のさくら通り(画像素材:PIXTA)

新築戸建て分譲も活発です。戸建て街区が広がる新京成線沿線や東武野田線、北総鉄道北総線などでは3,000万円台で購入できる新築戸建ても目立ちます。松戸駅や北松戸駅などのJR常磐線沿線でも、徒歩20分圏内では4,000万円台で購入可能な新築戸建てもあります。予算を抑えて新築戸建てを検討しているファミリー層にとって、松戸市は予算内での選択肢が多い街と言えるでしょう。

次に松戸市の筆者おすすめの街を紹介します。

KITE MITE MATSUDOほか商業施設が充実の松戸駅

松戸駅前の街並み(筆者撮影)

まずは、JR常磐線快速停車駅の松戸駅です。

松戸駅の魅力は、JR常磐線快速利用の都心アクセスと生活利便性の高さ。北千住駅、上野駅を経由し、東京駅などの都心ビジネスエリアにダイレクトでアクセス。東京メトロ千代田線もJR常磐線各駅停車に乗り入れるので、大手町駅へもスムーズに行けます。新京成電鉄新京成線も利用できるターミナル駅でもあり、2022年乗車人員数は8万4,595人。JR東日本では37位にランクされ、浦和駅や三鷹駅を上回ります。

商業施設「KITE MITE MATSUDO」(筆者撮影)

松戸駅には松戸市役所などの公益施設のほか、アトレ松戸やダイエー松戸西口店、イトーヨーカドーの入るプラーレ松戸など商業施設が豊富に立地。松戸駅から徒歩約3分の「KITE MITE MATSUDO」には、スーパーや飲食店、ファッション、書店など多彩なお店が出店しています。商店街もあり、カフェやグルメのお店などが充実しており、松戸中央公園や江戸川の対岸にある都立水元公園など憩いのスポットも近くに立地。オフタイムを充実させる多彩なライフスタイルがかないそうです。

松戸駅周辺のマンション開発現場(筆者撮影)

新築マンションは、執筆時点(2023年9月)で松戸駅徒歩約6分の「ザ・パークハウス 松戸」と松戸駅徒歩約2分の「ザ・パークハウス 松戸本町」の2物件がラインアップ。駅アクセスの良い好立地のマンションで、注目度も高いようです。松戸駅周辺では中古マンションの流通も活発で、築年数によっては3LDKタイプでリーズナブルな価格帯も。生活利便性の高い松戸駅でマイホームを探すならマンションがおすすめです。

駅改良工事中の松戸駅(筆者撮影)

なお、松戸駅では東西通路の拡幅や改札内コンコースの拡張など駅改良工事が進んでいます。新たな駅ビルの開業も予定されており利便性の向上が期待できます。

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新たな土地区画整理事業もスタートした新松戸

イオンフードスタイル新松戸店(筆者撮影)

続いて、JR常磐線各駅停車とJR武蔵野線が利用できる新松戸駅です。新松戸駅は、1960年代後半から土地区画整理事業によって市街化が進められた街。成熟した住宅街であり、深緑の街路樹や大規模マンションも建ち並んでいます。

駅近くには流通経済大学の新松戸キャンパスがあるほか、イオンフードスタイル新松戸店やコープ新松戸店などの買い物施設も充実。新松戸駅から南東に約2キロメートル先には、商業モールであるテラスモール松戸も立地します。

新松戸中央公園(筆者撮影)

土地区画整理事業で整備された街であり、新松戸中央公園をはじめ公園施設も充実。けやき通りなどの幹線道路から少し入ると静かな住宅街が広がっています。街はフラットで歩きやすく、自転車などの移動もスムーズです。

新松戸駅周辺の街並み(筆者撮影)

高度利用がされていない新松戸駅の東側では、新松戸駅東側地区土地区画整理事業が約2.6ヘクタールの規模で計画中(事業完了は2029年3月予定)。公園や住宅とともに商業施設や、医療モールなども併設される予定で、将来の街の発展にも寄与しそうです。

新松戸駅の大規模マンション(筆者撮影)

新松戸駅周辺では新築分譲マンションの供給があるほか、新築戸建て分譲も活発です。新築戸建ては、駅徒歩圏で4,000万円台から5,000万円台の売り出しが中心。ファミリー層にも十分手が届く価格帯です。

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軽快なフットワークの東松戸、自然が身近な新八柱にも注目

北総鉄道東松戸駅(筆者撮影)

3つ目は、JR武蔵野線と北総鉄道北総線が利用できる東松戸駅です。東松戸駅の魅力は、北総線利用の都心と成田空港方面へのアクセス。京成成田空港線アクセス特急を利用すれば、羽田空港へも1時間程度で移動できます。

東松戸中央公園(筆者撮影)

東松戸駅周辺も紙敷土地区画整理事業によって整備されたエリア。東松戸中央公園などの憩いのスポットが整備され、戸建て街区やマンション街区が誕生しています。駅周辺には、マルエツ東松戸店やベルクスファインシティ東松戸店などの買い物施設もそろっています。

東松戸駅の駅前街区(筆者撮影)

東松戸駅周辺には、自然を身近に感じるスポットも豊富です。旧齋藤邸は1901年に主屋が建てられた敷地面積5,500平方メートルもある古民家で、1998年に所有者から松戸市に寄贈されたもの。庭園は、竹林や梅、松などをはじめとする四季折々の植物に触れることができ、主屋は文化・学習活動の場として利用できます。

東松戸駅前の街並み(筆者撮影)

東松戸駅周辺では新築戸建ての分譲は少なく、中古マンションの流通が中心です。築年数の浅いマンションが多く、3LDKタイプの中古マンションが4,000万円前後の価格で販売されています。

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新京成電鉄八柱駅前(筆者撮影)

そのほかの地域では、JR武蔵野線新八柱駅もチェックしておきたい街です。新京成電鉄八柱駅も利用できるターミナル駅で、21世紀の森と広場にも近いなど自然が豊富な住環境。イトーヨーカドー八柱店やヨークフーズ八柱さくら通り店など買い物施設もそろっていて、暮らしやすい街だと思います。

新八柱駅周辺の街路(筆者撮影)

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手が届きやすい住宅価格が魅力の街

都心への良好なアクセスと生活利便性や豊かな自然のある松戸市ですが、留意したいポイントは、水害リスクです。江戸川が松戸市の隣を流れていることもあり、江戸川が万が一氾濫した場合、西側の平野部は浸水する可能性があります。ハザードマップによって浸水想定区域を確認するとともに、マンションなどの浸水への備えは事前に確認しましょう。

松戸市は、水戸街道の宿場町として松戸宿や小金宿が置かれ、江戸川の水運にも恵まれ栄えた場所です。東京都に隣接し、鉄道路線が充実した街づくりは、これからも住民の生活を支えていくでしょう。生活利便性に加え、21世紀の森と広場や江戸川など自然も豊か。価格上昇が続く東京都内と比べ、手の届きやすい住宅価格も魅力です。これから子育てがスタートする家族は、一度松戸市を訪れてみてはいかがでしょうか。

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