カリフォルニア州では家電製品メーカーに対して修理部品をユーザーに提供することを義務付けて「修理する権利」を認める法案「SB 244」が審議されています。Appleは修理する権利に関連する法案に反対する姿勢を見せていたのですが、2023年8月22日にAppleがSB 244に賛同する書簡を関連する議員へ送付したことが明らかになりました。

Apple’s U-Turn: Tech Giant Finally Backs Repair in California! | iFixit News

https://www.ifixit.com/News/79902/apples-u-turn-tech-giant-finally-backs-repair-in-california

Apple lends support to California State Right to Repair bill | TechCrunch

https://techcrunch.com/2023/08/23/apple-lends-support-to-california-state-right-to-repair-bill/

'We're Winning': Apple Formally Endorses Right to Repair Legislation After Spending Millions Fighting It

https://www.404media.co/apple-endorses-california-right-to-repair-bill/

スマートフォンやPCなどの家電製品は修理用の部品が市場に供給されていない場合が多く、ユーザーによる修理が困難です。また、修理に対応する業者が「メーカーによる認証を受けた修理業者」に限られている場合も多く、ユーザーはメーカーやメーカーによる認証を受けた修理業者にしか修理を依頼できない状況が生まれています。

ユーザーや修理業者が自由に家電製品を修理できない状態は「修理する権利」を阻害しているとして、修理に必要な部品の供給を家電製品メーカーに求める動きが強まっています。2023年1月にはニューヨーク州で修理する権利を認める法律が制定されるなど修理する権利を認めるルールの整備が進んでいるのですが、Appleは長年にわたって修理する権利に反対の姿勢を示しており、ニューヨーク州での法案審議の際にも法案可決を阻止するロビー活動を繰り広げていたことが報じられていました。

AppleやGoogleが圧倒的多数の賛成で可決した「修理する権利」を認める法案に反対し施行を阻止しようとしている - GIGAZINE



ところが、Appleは2023年8月22日に修理する権利を認める法案「SB 244」の可決を目指して活動しているカリフォルニア州議会のスーザン・エッグマン上院議員に対して「AppleはSB 244を支持します」と記した書簡を送付し、修理する権利を認める方針へ方針転換したことを明らかにしました。



ただし、Appleは無条件で「SB 244」を受け入れているわけではなく、「家電製品メーカーに『盗難防止のためのセキュリティ機能を無効化する方法』の提供を義務付けない」「修理業者に対して非純正部品や中古部品の使用の開示を義務付ける」といった条件が満たされる場合のみ「SB 244」を支持すると述べています。



書簡を受け取ったエッグマン氏は「私は6年間にわたって修理する権利の確立に向けて働きかけてきました。Appleが消費者と環境を保護するための重要なポリシーをサポートしてくれることに感謝します」と述べ、Appleの方針転換を歓迎しています。





なお、SB 244は2023年5月にカリフォルニア州上院で38対0で可決しており、記事作成時点ではさらなる審議の前段階として財政への影響が評価されています。