漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第77回は、効率のよい勉強法について解説します。

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効率のよい勉強法とは?


みなさんはいちばん効率のいい勉強法って何だと思いますか? 

いろいろな勉強法の情報があふれているので、「結局、何が正しいの?」と思う人も多いでしょう。この答えを出すにはまず、効率のよさとは何を指すのか、ということを考えなくてはいけません。

効率のよさは、簡単にいうと「最小限の時間と労力で、最大限の成果を出すこと」ですよね。

そうなると、勉強に求める効率でまず思いつくのは、「勉強したことを忘れにくい」という点ではないでしょうか。なるべく短い時間と少ない回数で物事を覚えられるなら、これ以上楽なことはありません。

ほかには「自分の課題点がはっきりわかる」ということも挙げられると思います。今の自分に何がいちばん必要なのかがわかっていれば、努力が成果に直結するでしょう。反対に、もし努力の方向性が間違っていれば、いくら時間をかけてもムダになりますからね。

大きくまとめれば、効率のよさはこの「忘れにくい」と「課題がわかる」の2点に集約できると思います。

実は、この2つを一気に実現してくれる勉強法があるんです。それが、「人に教える勉強法」です。

自分が先生になりきって、人に教えるという勉強法です。東大生の多くは、「実際に学校で先生の代わりに友達に勉強を教えていた」という人、「ぬいぐるみを生徒に見立てて、今日勉強したことを説明していた」という人も多いです。

自分のことで恐縮ですが、私が30歳から東大受験にチャレンジしたときも、この勉強法をフル活用して合格しました。

まずはこの方法について紹介されている漫画「ドラゴン桜」のシーンを見てみましょう。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください



(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしょうか。

「人に教えることを前提に勉強すると、絶対に忘れないという動機付けができる」いうことでした。

この緊張感が実は非常に重要なのです。「理解できるようになる」がゴールではなく、「人に教えられるようになる」がゴールなので、より高度な緊張が生まれるのです。

例えばみなさんは今まで、学校の授業を聞いているときでも、読書をしているときでも、ついボーッとして、終わった後に何も頭に残っていなかった、という経験はありませんか? 私は何度もありますが、気持ちが入っていないとそうなってしまいますよね。

しかし、もし事前に「後でみんなの前で授業の内容をまとめて発表してもらうぞ」と言われていたらどうでしょうか? 興味のあるなしにかかわらず、一言一句もらさず聞こうとして、グッと授業に身が入ると思いませんか?

これと同じで、人に教えようと思ったらまず自分がきちんと理解していないといけないので、格段に勉強への意識と集中力が高まるのです。インプットの質が上がるわけですね。

説明できないのは、理解できていない証拠

もう1つ、教えることで自分の理解度が測れるということも重要なポイントです。きちんと説明できるなら正しく理解できているといえますし、ダメならまだわかっていない証拠です。

実際にやってみるとわかりますが、人に教えるって意外と難しいんですよね。自分ではわかっているつもりでも、実際はあいまいな説明しかできなかったり、記憶が抜けていて「あれ、何だったっけ?」なんてことがあったりします。

つまり、きちんと教えられないところが自分にとっての弱点であり、復習すべきポイントということになります。人に教えてみるとこれが明確にわかるので、わかったつもりで終わるのを防げるわけですね。

「でも、教えるといっても身近にいい相手がいないんだよな……」という場合は、代わりになるやり方がいろいろあります。

例えば、SNSを利用して勉強した内容を発信したり、スマホを使って勉強した内容を解説する動画を撮るなどです。あるいはノートやPCのスライドに、自分が勉強したことを書き出してまとめてみる、というのもいいでしょう。

この勉強法が実践できれば、勉強の効率が劇的に上がるはずです。なかなか勉強の成果を感じられないという方は、ぜひ試してみてください。

(青戸 一之 : 東大卒講師)