2023年の「弘前ねぷたまつり」は終了しました
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「弘前ねぷたまつり」ってどんなお祭り? まずは由来や歴史をチェック

青森の夏祭りといえば、青森市の「青森ねぶた祭」、五所川原市の「五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)」、黒石市の「黒石ねぷた祭り」など、地域によって特徴のある“ねぶた(ねぷた)”まつりが数多く存在します。

弘前市の「弘前ねぷたまつり」は、青森三大ねぶた祭りにも数えられており、主に三国志や水滸伝などの武者絵を題材とし、最大で9メートルを超す大型の山車も登場します。大型は「扇ねぷた」と「組ねぷた」の2種類があり、弘前のねぷたを象徴する「扇ねぷた」は鏡絵(前)と見送り(後)の対比がみどころ。「組ねぷた」は人形型をしており、伝統ある豪華絢爛さを楽しむことができます。

扇ねぷたの鏡絵(前)は、武者絵などの躍動感あふれる絵柄で「動」を表現

扇ねぷたの見送り(後)は、美人画などで「静」を表現

組ねぷたは、人形型の伝統的な山車が特徴

大型ねぷたが観客に見得を切りながらうまく電線や看板をかわしたり、引き回されるダイナミックな動きは、祭り最大の見せ場。会場のボルテージが一気に湧き上がります。

扇ねぷたや組ねぷたは大小合わせて80台以上にものぼり、「ヤーヤドー!」の掛け声とともに市内を練り歩きます。それぞれのねぷたの後ろには笛や太鼓の囃子方の一団が続き、また子どもたちが手に持つ「金魚ねぷた」もとっても可愛らしいので注目してみましょう。

囃子方の一団が祭りを一層盛り上げる

そもそも“ねぶた(ねぷた)”とは、暑さの厳しい夏に襲ってくる睡魔を追い払うため、村中一団となってさまざまな災いや邪悪を水に流して村の外に送り出す農民行事から生まれたものだといわれています。

弘前のねぷたは昭和55年(1980)に重要無形民俗文化財に指定。初めて文献に登場してから2022年でちょうど300年を迎えた歴史ある祭りで、現在もその古きよき伝統を残しながら、地域ごとに受け継がれています。


2023年の概要はコチラ

ねぷたを炎で清める「ねぷたおくり」/写真提供:弘前市

毎年8月1〜7日に行われる「弘前ねぷたまつり」。2023年の今年は、1日の火曜日を皮切りに、最終日は7日の月曜日となる日程で行われます。

日によって運行コースが変わり、基本的に雨天決行。17時に花火が打ち上がれば運行決定の合図です。

8月1〜4日 : 土手町コース 19時〜8月5・6日 : 駅前コース 19時〜8月7日 : 土手町(午前のみ)コース 10時〜

また、8月1〜4日の土手町コースでは、桜大通りで出陣式とアトラクションも開催されます。


8月1日(火)〜2日(水)津軽情っ張り大太鼓模範演技(1日:17時50分〜18時 、2日:18時〜18時20分)ねぷた参加団体出陣式セレモニー(1日:18時〜18時15分 、2日:18時25分〜18時40分)弘前ねぷたまつり出陣式(1日:18時20分〜19時 、2日:18時50分〜19時)8月3日(木)〜4日(金)津軽情っ張り大太鼓模範演技(18時15分〜18時25分)津軽情っ張り大太鼓試し打ち体験(18時25分〜18時50分)弘前ねぷたまつり出陣式(18時50分〜19時)

地域や団体で工夫を凝らして制作されたねぷたは、8月1〜2日に審査会が行われ、青森県知事賞や弘前市長賞などが贈られます。受賞したねぷたは、3日以降の運行で額を掲げて練り歩くのでぜひ注目してみてくださいね。

そして最終日の7日は「なぬかびおくり」と呼ばれ、ねぷたを炎で清める「ねぷたおくり」や岩木川沿いの土手を十数台の本ねぷたが運行する「ねぷた流し」が行われます。


■なぬかびおくり
開催日:8月7日(月)※雨天中止
場所:岩木川河川敷(悪戸字鳴瀬)※茜橋付近
時間:17時〜20時30分(予定)

そのほか、駅前ねぷた特別展示(7月3日〜8月15日)、組ねぷた特別展示(8月4〜6日)などねぷたの特別展示イベントも開催されるので公式サイトをチェックしましょう。

【アクセス・駐車場・周辺MAP】混雑に注意! 余裕を持って訪れよう

たくさんの観衆に見送られ、土手町通りを練り歩く

8月1〜4日・7日の会場となる土手町へは、JR弘前駅から徒歩10〜15分ほど。18時30分〜22時ごろまでは土手町通りは車両通行止めとなるので、注意が必要です(桜大通りは17時30分から通行止め)。8月5・6日の会場はJR弘前駅の目の前で行われます。

周辺に有料駐車場はありますが、混雑が予想されるため、なるべく公共交通機関で訪れることをおすすめします。

詳しくはこちらの周辺MAPでも確認できます。
https://www.hirosaki-kanko.or.jp/individual/cat02_summer_neputa/traffic.pdf


コロナ禍を経て2023年は中止となっていた審査や「なぬかびおくり」が復活します。はじめて観る人も、リピーターにとっても、待望の本格開催です。その盛り上がりを目に焼き付けて、熱き夏の夜を過ごしましょう!

2023年の「弘前ねぷたまつり」は終了しました
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Text & Photo:ジェンティーレ恵


●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

4年ぶりの本格開催! 2023年「弘前ねぷたまつり」取材レポート

毎年8月1〜7日に開催される「弘前ねぷたまつり」。開催初日に合わせて弘前へやってきました!

青森県では、8月になると地域のねぷた(ねぶた)祭りが各地ではじまります。特に青森市で行われる「青森ねぶた祭」(8月2〜7日開催)は、東北三大祭りのひとつに数えられる、全国的にも有名な夏祭り。そんな1年のなかで最も青森全体が盛り上がるであろうこの時期の悩みは、なんといっても“ホテルが取れない(高い)”こと。。。

弘前ねぷたまつり

「弘前ねぷたまつり」は開催期間が長いので、いつ行こうかと悩まれる方も多いと思いますが、まずはホテルから抑えるのがオススメです。今回は「青森ねぶた祭」と日程の被らない開催初日が、ホテルの料金がお財布に優しかったため、8月1日に行くことに決めました。

新青森駅でレンタカーを借りて、まずは弘前市内のホテルへチェックイン。まだ交通規制(土手町は18時30分〜)がかかる前なので、さほど渋滞もなく街なかにアクセスできました。

観衆で賑わう土手町通り

「弘前ねぷたまつり」の会場は、8月1〜4・7日が土手町コース、8月5・6日が駅前コースとなり、日によって運行コースが変わります。訪れた8月1日は土手町コースで、弘前公園に近い桜大通りの市民中央広場からスタートします。

市民中央広場は開催初日とあって、多くの人や報道陣で賑わっていました。日もだんだんと暮れかかった17時50分ころ、本番前のセレモニーが始まります。

出陣式の前に行われる津軽情っ張り大太鼓模範演技

直径3.3m、胴長3.6m、大人ひとりを優に超える大きさの「津軽情っ張り大太鼓」が用意され、演技がスタート。大太鼓の上には6人が乗り、長いバチをゆっくりと振り下ろしながら、低く深い音を鳴らしていきます。体の芯まで届くような響きに圧倒されました。

本番前のセレモニーで司会が会場を盛り上げる

大太鼓の演技が終わると、マイクが司会に渡り、会場はカウントダウンムードに突入。開催初日は、弘前市と友好関係にある都市の市長らが駆けつけ、「ヤーヤドー‼」と祭りのかけ声でさらに会場を盛り上げていました。

そして19時になり、いよいよ本番。法螺貝(ほらがい)の音が鳴り響くと、先ほどの津軽情っ張り大太鼓を先頭に、ゆっくりと進みはじめました。

先頭を進む「津軽情っ張り大太鼓」

土手町通りは片道1車線ほどの通りですが、歩道は多くの観客で埋まり、その目の前を大太鼓やねぷたの山車が練り歩きます。歩道にはみ出そうなほどスレスレに通るのでハラハラ、ドキドキ感もありつつ、通りを埋め尽くすねぷたに圧倒されまくり…!

弘前ねぷたの特徴といえば、扇形をしたその見た目。サイズは大小あり、大きいものは約9mにもなるのだとか。交差点の広々とした場所にさしかかると、引き手が綱を引いてねぷたを勢いよくクルクルと回すので、ダイナミックなショーを見ているかのようでした。

大小さまざまなねぷたが登場する

また、みどころはねぷたの絵にもあり、鏡絵とよばれる前面には武者絵などの躍動感あふれる絵柄が、見送りとよばれる後面には優雅な美人画などが描かれています。橙色の温かみのある光に照らされ、夜空に煌々と浮かび上がる姿は今でも忘れられません。

見送りは「静」を表現している

ねぷたの種類はさまざまあり、子どもたちが手に持つのは、かわいらしい金魚ねぷた。人形のような組ねぷたや創作ねぷたも登場します。「ヤーヤドー‼」の力強い掛け声や太鼓、囃子の音色が加わって、町はねぷた一色。

「弘前のねぷたは、大企業や団体が参加するほかのお祭りとはちょっと違って、町内会などの単位で参加するので、町のお祭りらしさを感じられますよ」と地元の方にお話を伺ったのですが、確かに東北三大祭りほどの規模ではないとしても、その分距離感が近く、人も町もすべてが一体となっているのがとても印象的でした。

岩木川沿いで行われる「ねぷた流し」/写真提供:弘前市

最終日の7日には「なぬかびおくり」とよばれ、ねぷたおくりやねぷた流しといった行事も行われます。取材では伺いませんでしたが、いつかこの姿も見届けてみたいと思っています。

弘前は、洋館めぐりや弘前城、リンゴグルメなどみどころや楽しみがたくさんある場所。ぜひみなさんも次の8月は弘前で熱〜い夏を過ごしてみてはいかがでしょうか。

以上、「弘前ねぷたまつり」取材レポートでした♪