ドネア選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

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プロボクシングの世界5階級制覇ノニト・ドネア(フィリピン、40)が、元世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、30)との3度目の対戦を熱望した。米ボクシング専門メディア「ボクシングシーン」(WEB版)が2023年7月12日に報じた。

ドネアは過去、井上と2度対戦していずれも黒星を喫した。19年11月の初戦は0−3の判定で敗れ、22年6月の再戦は初回から圧倒され2回TKOで敗れた。これを最後にリングから遠ざかっていたが、7月29日に王座返り咲きを目指してWBC世界バンタム級王座決定戦に出場する。

「判定で勝つつもりはなかった」

「ボクシングシーン」のインタビュー記事の中でドネアは22年6月の再戦を振り返り、当時の心境を改めて明かした。

ドネアは「判定で勝つつもりはなかった。だから僕にとっては、とにかく全力でやるしかなかった。殴られようが、倒されようが、僕は倒れることを恐れなかった。だから僕にとっては成功するかどうかは別として、思い切ってノックアウトを狙いに行く方を選んだ」と語った。

さらに「たいていの場合、僕は成功する。残念ながらあの時は成功しなかった。そこから多くのことを学んだし、精神的なストレスはあまりなかった。このレベルでは、どんなミスも大きな代償となる」と続けた。

ドネアは1回に井上の右ストレートでダウンを喫し、何とかこの回をしのいだが続く2回に猛攻を受けて2度目のダウン。レフリーが続行不可能と判断して試合をストップした。世界が注目した再戦はわずか5分足らずで決着した。

井上は海外メディアが独自に設定するパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級の垣根を超えた最強ランキング)で常に上位に入るほどの実力者で、世界が認める「モンスター」だ。一方、ドネアは世界5階級制覇のプライドをのぞかせ「ベストの選手に負けたとは思っていない」とし、井上との3度目の対戦に言及した。

「僕は試合に勝つつもりで臨んだが、見えないパンチを食らってダウンしてしまった。井上は良いファイターだったし、また対戦できるのならば戦いたい。そのためには自分の環境を整えないといけない」

まずは目の前に迫った王座決定戦に集中する構えだ。