2023年クラシック候補たち
第５回：ドゥラエレーデ

　昨年暮れに行なわれた２歳ＧＩのホープフルＳ（12月28日／中山・芝2000ｍ）は、18頭中14番人気のドゥラエレーデ（牡３歳／父ドゥラメンテ）が制覇。３連単の配当が200万円超えとなる大波乱を演出した。


ホープフルＳを制したドゥラエレーデ

　栗東トレセンの池添学厩舎に所属する同馬は、祖母にアルゼンチンのＧ�気鬘馨，靴織泪襯撻鵐気�いる血統。セレクトセールでは１億円（税別）で落札されており、もともと期待の高かった馬と言える。

　しかしながら、デビュー当初は足踏みが続いた。初陣の２歳新馬（６月26日／阪神・芝1800ｍ）では１番人気に推されながら５着。続く２歳未勝利（８月６日／札幌・芝1800ｍ）も２着に終わって、なかなか勝ち星を得ることができなかった。

　ようやく白星を飾ったのは、ダートに舞台を替えた３戦目の２歳未勝利（８月20日／札幌・ダート1700ｍ）。２番手追走から３コーナーで早め先頭に立って、そのまま押しきった。

　４戦目は、再び芝に舞台を戻してＧII東京スポーツ杯２歳Ｓ（11月19日／東京・芝1800ｍ）に挑戦。内を行くシルトホルンと先手を争いながらレースを引っ張っていった。迎えた直線、早め先頭に立って粘り込みを図るが、最後は勝ったガストリックをはじめ、人気のダノンザタイガーらに交わされて４着に終わった。

　それでも、勝ち馬とはコンマ２秒差。芝の重賞でも戦える力を十分に示したが、その後に挑んだホープフルＳでは期待の素質馬が集ったこともあり、人気の盲点となって14番人気という低評価にとどまった。

　レースではそれまでの同馬のスタイルどおり、逃げるトップナイフの外につけ２番手で運んだ。そのままペースは落ちついて、隊列がほとんど変わらないまま直線へ。後方で人気馬がもがくなか、ドゥラエレーデはトップナイフとともに抜け出した。

　以降、２頭は壮絶な叩き合いを見せ、馬体が合ったままゴール板を通過。写真判定の末、ハナ差だけ前に出たドゥラエレーデが戴冠を遂げた。

　さまざまな経験を重ねて、ＧＩホースとなったドゥラエレーデ。管理する陣営は、同馬のことをどう評価しているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「池添調教師は、２歳の頃にドゥラエレーデに騎乗して自ら調教をつけたのですが、当時から『２歳離れした走りで、ポテンシャルを感じた』と話しています。ただ、『欲を言えば、もう少し乗りやすさが出てほしい』とのこと。『オン・オフの切り替えがうまくないので、精神面で大人になれば』といった希望も口にしていました」

　現状ではまだ課題もあるようだが、そんな状態でありながらＧＩ勝ちを決めたドゥラエレーデ。陣営によれば、馬体面でも成長の余地を残しているようで、ここからさらなる飛躍が見込めるという。

「母父にオルフェーヴルの血が入っていて、『いかにもここからスケールアップしそう』と池添調教師。続けて、『後脚はまだ頼りないのですが、今後しっかりしてくれば、ラストでもっと伸びるようになる』と、先々への期待を膨らませていました」

　春の大舞台に向けて、有力な一頭として浮上したドゥラエレーデ。一段と成長した姿を見せて、より大きな勲章を手にするのか。その動向から目が離せない。