この記事をまとめると

道路交通法の改正はしっかりチェックしておきたい

■そこで近年、厳罰化された道路交通法について解説

■あおり運転による危険行為や悲惨な事故の増加に伴い新設されたものも

2020年に「妨害運転罪」が新設

 新年のスタートでは誰もが「いい年になりますように」と願いますよね。クルマに乗る人にとっては、事故や違反も絶対に起こしたくないことだと思います。気をつけて運転しているという人も、知らずに違反になっていた、ということがないように、道路交通法の改正はしっかりチェックしておきたいもの。今回は、近年、厳罰化されたものをおさらいしておきたいと思います。

 まず、あおり運転による危険行為や悲惨な事故の増加に伴い、2020年6月から新設されたのが、「妨害運転罪」です。これはあおり運転をした場合だけでなく、あおり運転によって相手を危険な目に遭わせた場合にも適用され、違反行為には最大で懲役3年、著しい交通の危険を生じさせた場合には最大で懲役5年の刑に処せられます。もちろん、運転免許は取り消し処分という厳罰。

 その妨害運転の対象となる10類型の違反が定められています。

「通行区分違反」は、右折・左折専用のレーンがある道路において、走行中の車両が専用レーンを利用せず曲がった場合に適応。

「急ブレーキ禁止違反」は、不必要な急ブレーキをかけて後続車を危険な目に遭わせること。

「車間距離不保持」は、前走車に対し適切な車間距離を保たずに接近すること。これは自分では意識していなくても、いつの間にか詰めてしまっていたということもあるので要注意です。

「進路変更禁止違反」は、後続車両の進路を妨害する恐れがある危険な進路変更など。

「追越し違反」は、左側からの追い越しなど。

「減光等義務違反」は、過度なハイビームや執拗なパッシングで相手を不安にさせること。

「警音器使用制限違反」は、不必要にクラクションを鳴らすこと。

「安全運転義務違反」は、幅寄せや蛇行運転を繰り返し、走行を妨害すること。

「最低速度違反(高速自動車国道)」は、高速自動車国道で最低速度に達ない速度で走行すること。

「高速自動車国道等駐停車違反」は、高速自動車国道路上などで停車や駐車をすること。

 うっかりやってしまわないように、気をつけたいですね。

カーナビ画面の操作も「ながら運転」に該当

 そしてもう1つ、いわゆる「ながら運転」に対する厳罰化も2019年12月より施行されました。運転中に携帯電話で通話するだけでなく、手に持つこと、画面を注視すること、操作することすべてが厳罰化されています。携帯電話、スマートフォンだけでなく、カーナビ画面も同様の違反と見なされます。

「携帯電話使用等(保持)」では、違反点数が3点、罰則は6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金。反則金も原付車で12000円、二輪車で15000円、普通車が18000円、大型車で25000円と、大幅に引き上げられています。

 さらに、携帯電話使用等(交通の危険)は、携帯電話での通話や注視によって交通事故などを生じさせた場合に適用となるもので、反則金の納入ではなく直ちに刑事手続の対象に。急病人の救護や緊急事態、車両が停車している時を除き、違反の対象となるので注意が必要です。

 そして、2022年5月から施行されたものとして、高齢運転者対策の充実と強化があります。まず1つ目が運転技能検査(実車試験)制度の導入で、75歳以上で「一定の違反歴」のある者は、運転免許証更新時に運転技能検査等を受験することが義務付けられました。受験期間は、更新期間満了日前6カ月以内で、繰り返し受験することができますが、検査の結果が一定の基準に達しない者(不合格者)には、運転免許証の更新をしないこととなっています。また、一定の違反歴がなくても、認知機能検査を受け、認知症の恐れがあるとされた者で認知症を診断された者は、免許証の取り消し等の処分となります。

 次に、安全運転サポート車等限定条件付免許の導入です。これは、衝突被害軽減ブレーキ(性能認定)+ペダル踏み間違い時加速抑制装備(性能認定)または、衝突被害軽減ブレーキのいずれかの条件が付与された免許証で、申請によって運転できる種類を限定できるものです。

 いかがでしたでしょうか。スマートフォンの操作などはついやってしまいそうな場面もあると思います。十分に注意して、安全運転で1年を走り切りたいですね。