「日本は韓国に遅れをとっている」オリンパス前CEO会見の一問一答 - BLOGOS編集部
※この記事は2011年11月25日にBLOGOSで公開されたものです
11月25日、オリンパス前CEO マイケル・ウッドフォード氏が日本外国特派員協会で記者会見を開いた。記者との一問一答の内容は以下のとおり。
--次の社長は誰になるのか？ あなたがオリンパスに戻るつもりはありますか？
ウッドフォード氏：ハッキリさせます。私は呼ばれれば戻りますが、戻らなくてもいいと思っています。法的には何ら問題もない。ただ家族とゆっくりと過ごしたいとも思っています。仕事をしているとき、40％は日本で過ごし、ビジネスが一番発展している海外で残りの60％を過ごしていました。スタッフとの関係は問題ないです。日本人スタッフはサポートしてくれています。
--いま思えば、この問題は日本当局に持っていくなど違う扱いができたのではないか？そうすれば適切に処理されたとは思わないですか？
ウッドフォード氏：警視庁などが扱いやすいように、メディアにこの問題を公にしてから当局に訴えようと思っていました。内部告発を行った人は勇敢だと思います。
--ファクタによる続報があり、反社会的組織との関係が取りざたされています。身の危険を感じていますか？
ウッドフォード氏：いまは以前よりは安全だと思っています。犯罪性があったのか、犯罪分子、組織犯罪との関係があったのかについては証拠がありません。損失を隠すための金の流れは確かにありました。もしこれについて反社会勢力が関わっていたとしたら、もっとひどいことになるでしょう。
--会社をどのように再建しようと思っていますか？
ウッドフォード氏：私はオリンパスの悪い慣習を壊したいと思っています。オリンパスを再建するとしたら、メディカル・ビジネスを強化します。この企業をきれいにしたことで、私の役目は終わっています。私はすがりついているわけでなく。私より優れている人がCEOに就任するならそれでいいと思っています。株主が支持してくれて、私がイエスと言えばオリンパスに戻るでしょう。
--根本的な問題はなんだったのでしょうか？
ウッドフォード氏：菊川がトップにいたことです。過去の損失隠しが問題なんです。過去に比べて100倍ほど悪くなっているわけです。すべてリーダーシップの問題です。
--オリンパスは買収や合併に至らず、経営していけると思いますか？
ウッドフォード氏：オリンパスは素晴らしい企業で、キャッシュフローも健全です。銀行が支援するでしょうから、オリンパスは独立して運営されていくでしょう。上場廃止は起こらないと祈っています。当局がしっかりと捜査を続けていきますが、オリンパスの工場はニーズがある限り営業を続けるでしょう。
--不採算部門を処理、売却することは考えていますか？
ウッドフォード氏：私はどちらかというと左派で、ビジネスについては真剣です。不採算部門は切り捨てます。レンズやカメラは素晴らしいです。ペットフードやフェイスクリームのような部門を切り捨てるべきです。顕微鏡のビジネスは収益が高く素晴らしい。ですので、再編計画をしっかりと練って改革をすべきでしょう。
--今日の取締役会はどうでしたか？
ウッドフォード氏：会社に戻るのは奇妙な気持ちでしたね。菊川、森、山田は辞任したので取締役会にはいませんでした。既存の取締役、社外取締役は将来的に辞任するとしています。私はガバナンスの問題についてしか話しませんでした。上場を廃止することはおかしく、4半期報告をきちんとあげて上場廃止を食い止めることが大切です。思ったより会議は建設的でした。ドラマチックではありませんでしたが進歩はありました。今日の取締役会では勇気づけられました。
--オリンパスの優秀な社員についてメッセージはありますか？
ウッドフォード氏：素晴らしい質問ですね。オリンパスの強さはエンジニアリング、研究、技術開発です。素晴らしい企業です。いまでも手作業で時計を作るような繊細な作業をしています。しかし、弱いのが企業統治です。オリンパスの社員の方々には伝えました。「あなたたちが大事なのだ」と。このような素晴らしい人々がいるからこそ私は日本に戻ってきたのです。
--あなたはなぜ日本に戻ってきたのですか？ あなたはマゾなんですか？
ウッドフォード氏：私はマゾかもしれません。私を選んでくれたオリンパスに関しては忠誠心を感じています。
--日本企業全般の経営課題は何でしょうか？
ウッドフォード氏：日本は家電分野では韓国に遅れを取っているでしょう。日本の社員は教育レベルが高く勤勉なので、一般化せずに利益が出る部門に特化すべきでしょう。選択と集中をすべきだと思います。日本は何かを一度作ったら切り捨てることが苦手なのでしょう。
