※この記事は2011年11月09日にBLOGOSで公開されたものです

日本がＴＰＰ（環太平洋パートナーシップ協定）交渉に参加するか否かについての政治判断も大詰めを迎える中、米国の議員らは現地時間８日、日本がＴＰＰ交渉参加に意欲を示した場合には、米通商代表部（ＵＳＴＲ）と議会との間で「緊密な協議」を行うよう、カーク・ＵＳＴＲ代表に同日付で書簡を送付した。


この書簡は米下院の歳入委員会がウェブサイトに掲載しており、本文からは日本のＴＰＰ交渉参加で、交渉は「全く別次元のものになる」と警戒感を示す一方、「日本の国際貿易へのアプローチに多くの変更が必要なことを示す機会にもなり得る」と日本のマーケット開放に期待感を寄せる内容ともなっている。（後半に部分訳掲載）

日本側としては民主党(DPJ)が、９日夕方に開く作業チームの総会でＴＰＰ交渉参加に関して原案を示し、野田総理大臣も１０日に交渉への参加可否を政治決断するとされる中、今回カーク代表宛てに米議員が送った書簡は、彼らの複雑な心境を表すものとなっている。（文：野村・和訳：清水／BLOGOS編集部）
●Camp, Levin, Baucus, Hatch Letter to USTR Kirk on Japan's Possible Request to Participate in the Trans-Pacific Partnership | House Committee on Ways & Means

我々は日本政府がホノルルで行われるAPECサミットにて、TPPに参加するか否かの決断を表明する可能性があることを認識している。もし日本政府がTPP参加への関心を表明する場合、それは日本の国際貿易へのアプローチに多くの変更が必要なことを示す機会になり得る。日本経済は世界第３位の規模でありながら、他国との重要な競争から国内の市場を保護してきた。

（中略）

2011年に外国貿易障壁報告書が極めて明確に示した通り、自動車、牛肉を含む様々な農産品、保険、薬、医療機器、そして他の米国の商品やサービスは日本経済において深刻な貿易上の障壁に直面している。これらの多くの貿易障壁が日本経済には深く埋め込まれている。それでも、日本はしつこく既存の貿易ルールと二国間の条約を主張してきた。これは過去の自由貿易協定に含まれていた従来の規約のみで、日本のような市場を開放出来るのかという懸念を提起させている。

日本は長年アジアにおける米国の同盟国であり、友人だ。しかし、最優先の検討課題である貿易協定に関する要求の評価にあたっては、日本が米国の自由協定が示す高い要求を果たすことが出来るか、そしてその取り組みがこの歴史的に閉ざされてきた市場を私たちの企業、社員、農業者の利益の為に開かれるかが重要視されなければならない。

私たちはこの問題への緊密な協議を期待している。

こうした意見からは、日本国内にもＴＰＰ交渉参加への反対論が根強く存在する中、米国の議員の間でも一定の期待と不安を持って日本の決断をうかがっている様子が垣間見える。

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・ＴＰＰ 米議員が日本に警戒感　NHKニュース