sengoku38と考えるニッポンの領土問題【ニコ生×BLOGOS第2回】 - BLOGOS編集部
※この記事は2011年10月10日にBLOGOSで公開されたものです
ニコニコ生放送とBLOGOSがタッグを組んでお送りしている、「ニコ生×BLOGOS」第2回はsengoku38こと元海上保安官の一色正春氏、軍事ジャーナリストの神浦元彰氏をゲストに迎え、「国防・領土問題」について考えました。沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件から1年。いまだに違法操業や領海侵犯が後を絶ちません。その他にも竹島で韓国と、北方領土でロシアと領土問題を抱えるわが国。外交・軍事の両面から、様々な意見が飛び交いました。【番組ディレクター：BLOGOS編集部 田野幸伸】【出演】
司会：大谷広太（BLOGOS編集長）
アナウンサー：小口絵理子
コメンテイター：須田慎一郎（経済ジャーナリスト）
ゲスト：一色正春（元海上保安官）
神浦元彰（軍事ジャーナリスト）
■昨年11月に一色正春氏が公開した漁船衝突映像
小口：最近になって松本前内閣官房参与が菅さん・仙谷さんからの政治判断で船長を釈放したことを明らかにしたんですよね。最初、地検の判断だと言っていませんでしたか？
須田：まあ、間違いなく政治判断ですよ。地検といっても、法務省の影響配下にあるわけですから。内閣の一員です。問題なのはその発言を受けて、仙谷さんが言い訳をしている。「映像証拠には重大な瑕疵（かし）・誤りがあり送検できなかった」と言っているが、何処に瑕疵があったと思いますか。
一色：ないと思いますけど。世の中に起こるたくさんの犯罪で、決定的瞬間をビデオで撮っているなんて、そうあるものじゃないです。それを裁判して有罪にする。ビデオだけではなく写真も撮っていますし、ビデオも一種類じゃないでしょうし、あれで有罪にならなかったら、日本の領海内では国籍問わず漁船はやり放題。
須田：これね、非常に重大な話をしてるんですよ、一色さんは。仙谷さんってのは弁護士ですよね。逮捕して起訴して、公判に耐えられない瑕疵があったと言う。つまり、仙谷さんはウソをついてるという事になるんです。
一色：全編見ていないのでなんとも言えないんですけど、私の知る限りでは、どこに瑕疵があるのかと。教えてほしいです。
神浦：国民のほとんどは仙谷さんを疑ってますよ。あの人ならまあそういう事言うだろうなって（笑）
須田：そういった仙谷さんのウソ・言い訳に対して、なぜか新聞・TVがきちんと検証しないんですよ。つまり、映像が公表されているにも関わらず、仙谷さんの言う瑕疵がどこにあるのか、全く検証しない。誰か、一色さんのところに聞きに来た人いますか？
一色：いや、いないですよ。私は何でもかんでも知ってるわけじゃないので。ただ、普通は「ない」としか思えないですよね。あるんならあるで明らかにしなくてはいけないし、100歩譲って瑕疵があっても、それを判断するのは検察権ですよね。証拠がないからやらないと言っても、多分証拠はあると思います。他にもいっぱい。
須田：仙谷さんのいう事よりも一色さんのいう事に納得できてしまう自分がいますね（笑）
■テーマ「国防・領土問題」
大谷：さて、今日のテーマは「日本の国防と領土問題」です。
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小口：まずは尖閣諸島の位置から確認していきましょう。台湾のすぐ近くなんですね。油田地帯もあると。
一色：あると言われているんですけど、調査するたびに違うみたいですね。当初、日本に返還前に調査した時はたくさんあると言われていたり、丹念に調べるとそうでもないと言ってみたり、メタンハイドレードがあると言われたり。要するに詳しく調査してないんですよね。調査したら中国がいちゃもんつけるから、多分きちっとした調査をしていない。
小口：須田さん、尖閣問題というのはズバリなにがポイントになるんですか？
須田：油田地帯、エネルギー問題に直結してくる。尖閣諸島の保有により日中中間線が変わってきますから。中国は天然ガスの掘削を商業的に始めています。中国はエネルギー不足ですから、是が非でも取りたいというのが意向だと思います。
小口：あれから1年経っても、中国の漁船が尖閣近海で操業を行っていると。神浦さん。
神浦：過激な意見でね、尖閣に自衛隊を配備しろという人がいますけど、それは100%ありませんから。というのは、あそこに100人とか200人とか自衛隊を配備して、こっそり漁船か何かに偽装した北朝鮮の工作船がやってきて、夜にまぎれて自衛隊を全滅させて、中国製の武器を置いてサッと逃げたら、だれも救助できない。そういうところに自衛隊の部隊を配備することはありませんから。何かあっても守れるところ、例えば飛行機がすぐに爆撃できたりしないと配備しませんから、尖閣諸島は海上保安庁に守ってもらうというのが基本です。
須田：神浦さんに伺いたい事が一つありましてね。ぶつかって来たのが本当に漁船なのか、何らかの工作船なのか、という疑惑がずっとくすぶっているわけですね。映像を見ると中国の船に関してはですね、全く破損してないんですよ。船の船首部分に炭素繊維、カーボンが使われているのはないかという話があり、私も中国人の記者に調べさせたんですよ。ところが、取材が進まなくなり、暗礁に乗り上げた。実は十数年前に、胡錦濤（中国国家主席）が、日本に来た時に、京都の東レの炭素繊維工場を視察した。その工場では自動車のプロペラシャフトを作っていた。中国では繊維といったらカーテンとか衣服なのに、金属の代わりになる物、これだけ堅くて軽いものを日本は作っていることに驚いて、それ以降中国では炭素繊維の研究を続け、後5年で日本は抜かれると言われている。そういった高度な技術が、あの船に使われているのではないかという疑惑がありますが。
神浦：ないです。（きっぱり）
須田：終わっちゃったよ（苦笑）
神浦：いやいや、漁船の船長が、元人民解放軍の海軍にいたという情報はあります。だけども、あの船が特殊に改造されていたという形跡は今のところないです。炭素繊維というのはボーイング787にも使われている、ものすごくハイテクな技術なんですよ。それあんなボロっちい漁船に使うことはありえないし、軍事転用するという発想が中国にはまだないです。中国の船は、強度計算があまり上手くなくて、材質がよくなくて、ぶ厚い金属を使っている。丈夫過ぎて重い、スピードが出ない。
一色：私も、違うと思いますね。船の構造上、あそこ（船首）が一番波が当たるわけですよ。強く出来ているわけです。果たして炭素繊維にああいうペンキが乗るか、分からないんですけど、あのペンキの乗り具合を見ると、普通の船だなという気がします。
神浦：軍艦でも、炭素繊維を使っているというのはほぼないですよ。
一色：映像で見る限りは普通の漁船です。中にレーダーがあったかなかったかなどの情報はないので、よくわかりませんが・・・
小口：船長が普通の漁民ではないだろうという話もありますが・・・
一色：漁民にしては落ち着きすぎだなとは思いますね。あれだけぶつかったのに、落ち着いているというのはおかしいですよね。あれだけの衝撃があるわけです。車1台1トンとすれば、だいたい（船が）300トンくらいありますから、300台がガコンとぶつかる。まあ、海の上ですから、いろんな計算があって単純には計算できないんですけど、簡単な物理ですよね。「質量×速度」。かなりの衝撃でぶつかったんですけど、平然としてますよね。
須田：訓練していたと？
一色：そこまでは分からないですけど、あらかじめ予知してなければ、（船長は）船を運転している人のところに行くでしょう。「なにしてるの！」って。
■巡視船の修理費用は国民の税金
神浦：巡視船のダメージはどうだったの？
一色：2隻で一千数百万円と聞いてます。
神浦：じゃあそれほど深刻な亀裂が入って浸水するという事はなかったんだね。
一色：ないでしょうね。釈放されてるくらいですから。
小口：その修理費用は払われたんですか？
一色：いや、海上保安庁の予算じゃないですか？ 逆に向こう（中国）がこちらに弁償しろと言っていますから。謝罪と賠償を要求してますから、当然払ってないでしょうね。いわゆる国民の税金が使われているわけです。
神浦：日本人は苦手だね、領土問題。政治家は特に。
大谷：自衛隊の話が出ましたが、あらためて、海上保安庁と自衛隊の違いを整理しておきたいのですが。
一色：簡単に言えば警察と軍隊です。警察というのは主に国内の犯罪を取り締まる。軍隊というのは外国が攻めてきた時に対応する。簡単に言えばですよ。ただ日本の場合は特殊です。実質は軍隊だけど憲法上は軍隊じゃない。ややこしいことをずっと続けているわけですから。普通の軍隊が出来る事も、おそらく出来ないんだと思うんです。
神浦：軍事の側から言うと、海上保安庁が一時的に捜索とか検挙とかやって、北朝鮮の武装船のように、手が出せないとか、中国の潜水艦とか。そういうときに自衛隊に出動命令が出ます。自衛隊法82条の海上警備行動というのがあるんですけど、それで出て行くんですけど、武器の使用は海上保安庁と同じく、警察官職務執行法の正当防衛とかがないと武器を使えないんです。だからいわゆる、自衛隊の船で囲んで、ドカドカっとやるとかは出来ないんです。
須田：これ逆に、神浦さんに伺いたいんですけど。逆の立場だったらどうなるんですか。日本の漁船が中国の領海内で同じ事をやった場合には、誰が出てくるんですか？
神浦：やっぱり、海上保安庁みたいなのが中国にもありますよね？
一色：あります。
神浦：軍艦が取り締まることはないです。それをやったら、下手すれば戦争になりますから。
一色：ただですね、日本の法律は、外国が攻めて来る事を想定してないんですよ。憲法からそうですね。日本に攻めて来る事はない、そういう前提で憲法9条なり、他の法律が作られているわけですから。だから原発と一緒で「想定外」となるんです。実際来ても。来てから法律を作ったって間に合わないですから。
神浦：ボクは尖閣列島の問題で、本当に困ったのは中国政府だと思う。あんな酔っ払いの船長が、船をわざとぶつけたりして、なんて事をしてくれたんだと。じゃあそこで謝れるかっていうと、日本に対して「ごめんなさい」なんて言ったら、国民が許してくれないわけですよ。反日教育を徹底的にやってますから。前の江沢民が。そこで英雄として迎えながら、船長を軟禁状態にしていると。今回一番焦って、困ったのは中国政府だと思いますよ。
須田：むしろ、小泉政権の時に、似たようなことがありましたね。（中国が）尖閣諸島に上陸したんです。それについては逮捕すらせず、強制退去という形を取りました。超法規的措置として。
一色：ただあの時は、小泉さんが「責任を取る」と言った。それが今回とは違うんです。
須田：小泉さんが結果責任は負うとした。ただあの時に公正粛々とやっていればよかったのではという事なんです。あの時逮捕に踏み切っていたら、困ったのは中国政府なんだから。国民感情が跳ねて、中国も何らかの行動を取らなければならなかった。だから返して正解だったと言う。お2人はどう考えますか？
一色：（それぞれ）立場がある。私の場合は逮捕して粛々と国内法にのっとってやるべきだとは思うんですよ。そりゃ、外交的にと言われれば、私は外交の事は分かりませんから。ただ目の前で犯罪が行われていれば捕まえるのが司法。
神浦：海上保安庁も、海上保安官の士気というかね。今回ああいう風に中国が船をぶつけて来たのに、船長も釈放されてしまったという事で、現場のやる気というのは、かなり落ちたと思いますよ。毅然として、正義は正義、法は法と、守るべきところは守らないと。政治判断で都合よく変えてしまったら、国家として、国益を損なう。
須田：士気が落ちたというのは僕もそう思うんですけれと、士気が落ちていて、（目の前で）逮捕しなくてはいけない事が起きた場合「どうしようかなあ」っていう事は起こりえるんですか？
一色：うーん。退いた立場で言うのもなんですけど、やっぱりそうなりますよね。「また釈放するのかなあ」とか。でも、やることはやると思いますよ、当然。だから士気が落ちたってまた上がってますよ。
■事件は現場で起きるが、決めるのは会議室
須田：逮捕に踏み切る時って、現場にいらしたら、自分自身、あるいは船の判断だけで逮捕に踏み切れるものなんですか？それとも、だれか上司の指示を仰いだりするものなんですか？
一色：踏み切れません。
一同：踏み切れない！
一色：対中国とか、外交問題になるものは政治判断ですよね。
須田：じゃあいちいち、中央にお伺いを立てて？
一色：だからあの時、13時間かかりましたよね。逮捕するまでに。現場の事が何も分からない人にお伺いを立てるから、いちいち状況把握のために説明が必要になる。映像を送ったり、あれこれしたり。だから13時間かかったんだと思いますよ。
神浦：13時間って長いね。軍事の世界で13時間って言ったら、もう爆撃されてボロボロになってるね。
一色：逆に言えばですね。13時間逮捕もせずに不当に拘束していることも問題なんです。幸い中国は言ってこなかったですけれども。いわゆる逮捕状の執行なしに、拘束してるという事。人権派の弁護士が喜びそうな話ですよね。
■竹島問題について
小口：さあ、では続いて、竹島の問題です。1950年代からあるという根の深い問題で、島根県にある日本の領土です。
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最近では竹島のすぐ隣のウルルン島に3人の議員が視察で入ろうとして拒否されました。一色さん。図にウルルン島って書いてありますけれども
一色：鬱陵島（うつりょうとう）ですね。
神浦：韓国名がウルルン島で、日本では鬱陵島。
一色：わざわざ向こうの呼び方をする事はないと思うんでね。
小口：滞在記があったからだと思うんですけどね。つい。
大谷：わりとメディアではウルルン島と呼んでますが・・・
一色：人名でもそうですよね。大統領も「イ・ミョンバク」ですが、日本語読みすれば「り・あきひろ（李 明博）」ですから。だからそこで気を使ってるんでしょうかね。
小口：これって気配りなんですか？
神浦：（ウルルンって）漫画ぽくって覚えやすいからそう言っているんじゃないの。まさに日本の領土問題の意識の低さを表しているんじゃないですか。私も含めて（笑）
須田；呼び名については「相互主義」です。相手の国が日本に対してどう呼んでいるのか。野田総理に対して、「のだ」なのか、現地読みするのか。というところに、マスコミは対応していく事ですよね。
小口：竹島問題は、3月末に竹島でヘリポートの拡張工事に着手、6月大韓航空機が通常の飛行ルートを外して竹島上空をわざとデモフライトする「領空侵犯」発生。8月には韓国議会が竹島での議会開催を計画。さすがにこちらは見送りになりましたが、韓国の動きが激しすぎて・・・
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■実効支配をストップさせよ
須田：韓国の立場は竹島問題に対して「領土問題は存在しない」というスタンスに立っているわけです。ハーグの国際司法裁判所にこれを訴えて、双方のやり取りをすべきだと、公的な場で決めてもらおうじゃないかと。ハーグの国際司法裁判所の最大の問題点と言うのは、2カ国が合意できないと、提訴できないんです。ですから、韓国は領土問題が存在しないんだから、応じられないというスタンスを崩していないんですよ。ではそこで、どういう手を打っていくのか。外交のテクニックの部分が多分にあるんだと思いますよ。その一方で韓国サイドは既成事実をどんどん積み重ねて行っている訳ですよ。10年後20年後、仮に提訴した場合、韓国サイドが受け入れたときに、争いましょうと言ったって、そこで生まれた人が出てきたりするともう（だめ）。それをどうストップさせるのか、その戦略が全く欠如しているんです。神浦：外務省ですよ。外務省がきちんとやっていない。突然海上保安庁や自衛隊に竹島問題解決してくれって言われても困る。まず外務省が一次的に動かないとどうしようもない。
小口：海上保安庁にいたら、竹島の問題と言うのは常に？
一色：竹島もそうですけど、日本海の呼び方を「東海」に変えろと言うんですね。対馬も韓国の領土であるとか言い出しているんですね。だから竹島だけじゃなくて、対馬の土地がいっぱい買われたり、密漁もバンバン来ますし。一方的に防戦一方という感じですね。須田さんの仰るように、なんの手も打っていない。面倒になることがイヤなんでしょうね。こんな事言っていいか分からないですけど、外務省の人って言うのは日本の国益のためより、日韓友好のために働いている。そんな気がします。友好が壊れることはしない。国益が失われようとも。
須田：ただ、外務省と言うのはあくまで官僚組織であって、外務省が思うとおりきちんとやるべきことをやらないのであれば、政治主導を発揮して、政治家がきちんとやっていくべきなんですよ。民主党政権には国家戦略がないじゃないですか。この問題は領土だけの問題ではなくて、日韓関係、日韓関係を取り巻く中国関係、東アジア全体の政治状況の中で問題を捉えていかなければ、問題は解決しないんじゃないですかね。
一色：もう一つあるんですよ。ソウルの日本大使館前に慰安婦の記念碑を設置するという。これが友好的なのか。外交的になにがあるのか。建てるなら建てなさい、大使館引っ越しますよって、それくらい言ってもいいと思うんですよね。
神浦：我々気をつけなければいけないのが、日本は昔海軍が非常に強くて、帝国海軍を持っていた。ところが、中国も韓国も海軍を持ったことがない。人民解放軍も海軍を持っていたが、海上輸送をするためのものであって、軍事力しての「海軍力」とか、太平洋に出て行くような海軍は持ったことがないわけです。そういう人たちが海洋問題だ領土問題だとかワーワーいってるわけですよね。だから日本のレベルと比べるとかなり幼稚なんですよ。子どもっぽい、感情的な部分があるわけですね。こちらはあちらに合わせてワイワイガヤガヤやるよりも、きちっと大人の対応をやっておかないと、「所詮、海軍力も持ったことのない国だから」くらいの感じで見る必要があると思いますよ。
小口：うーん。でもその間に実効支配がすすんで行ってしまうし・・・
一色：その「大人の対応」を何十年やってきてこの結果になってきてるんですよね。
神浦：外務省が悪いんだ。外務省
小口：（笑）結論が出たみたいですけれども。
大谷：北方領土でもロシアの閣僚が上陸したり、色々起きてますからね。
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■ユーザーアンケート
小口：北方領土もやりたかったんですけど、時間がなくなってきてしまいました・・・また絶対やりましょうね。最後、皆さんにアンケートを取りたいと思います。「日本が一番気をつけるべき国はどこ？」4択です。【中国、韓国、ロシア、北朝鮮】北方領土の話が出来なかったんですが・・・
神浦：結論、言っちゃいましょうか。北方領土問題について。これは来年の大統領選挙で、プーチン首相と、メドベージェフ大統領が、どちらがカッコいいか、男らしいかを自国民にアピールするために、北方領土行ったりして、男比べをやったんです。日本はちょっとブーブー言うくらいだろうと安心してやったわけですよ。来年の選挙で、プーチン首相が次の大統領になって、メドベージェフが首相になる事が決まったわけですから、北方領土でロシア軍を使っての力比べは行わないし、日本一周偵察機を回すなんてことはもうやりませんから、一連の騒動はもうないと思います。
小口：行わないから、返還交渉が進むかと言うと・・
神浦：それはないです。それは別問題。
小口：また即答だ（笑）
大谷：アンケート結果出ましたね。
【中国50.1% 韓国32.5% ロシア14.0% 北朝鮮3.4%】この北朝鮮が低くて、中国が高いと言うのは・・・
■北朝鮮の脅威
一色：北朝鮮は日本人を何百人も拉致している国家ですよ。そういう事を皆さん忘れているのでしょうか。
神浦：いやいや、そりゃないよ、忘れてはいないよ。ただ、北朝鮮を恐れるってことはありえない。北朝鮮は、軍事力は本当に弱いですし、今日の夕刊にも出ていますけど、岩国のアメリカ海兵隊のF18スーパーホーネットは、嘉手納で訓練をしていたんですけど、グァムで訓練することになった。これは、沖縄の皆さんに騒音で迷惑をかけているからグァムでやりましょうって政府は説明しているけど、これは本当はですね。北朝鮮に対応する部隊を岩国に配備しているわけですから、その必要がなくなったという事なんですよ。北朝鮮ボロボロで。それで、グァムで出来て、沖縄で出来ないことと言ったら、大編隊を組んでの訓練、その中には戦闘機だけではなく、爆撃機や電戦機、空中給油機がいて総合的な訓練をやる。それは、米軍の仮想敵が中国になったと言う事。ですから、アンケートでこれから中国が怖いといった人が半分ですか、僕は非常にいい反応だと思います。北朝鮮で忘れてはいけないのは、あの国は日本人を拉致した国だってのは絶対に忘れちゃいけないし、万景峰号は来させない、送金は止めるということはしっかりやらなければいけない。
須田：北朝鮮のパーセンテージが低かったのは意外だったんですけれども、韓国にしても中国にしてもロシアにしても、リスクコントロールができるんですよ。要するにお互いがパイプを持ってきちんとした手続きを踏めば、リスクを低減することが出来る。北朝鮮の場合、そうじゃないんですね。今の体制がいつ崩壊するのか。それをコントロールすることは出来ませんからね。では、体制が壊れた時にどうなるのか、小泉政権が訪朝に踏み切ったのは実はここに問題がありました。当時、小泉政権の内部で取材していました。北朝鮮の体制が崩壊すると、武装難民が一気に押し寄せてくる。そのリスクを小泉政権は認識して、国交正常化に向けて、関係を良くして行こうじゃないか、というところに踏み切っていく。金正日体制が崩れれば、武器を持った難民が日本海側に押し寄せてくる。こういったリスクを認識しておくべきだと思いますね。
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小口：手持ちって！コントじゃないんですから！
一色：わかんないですよ。船に積んでくるとか。
神浦：ミサイルなら判りますけど、例えば、輸送船に偽装して、東京湾に入れて爆発させることも出来るわけですよ。
須田：つまりそれだけ、リスクコントロールできないわけですよ。北朝鮮の場合は。北朝鮮の持っている核が、ゲリラに渡ったと考えれば、いつ日本に向かってくるか分からないんですよ。核リスクがあるという事も、認識しておくべきだと思いますね。
一色：それと、特殊部隊というのもありますからね。それが、あれだけある日本海側の原発の一つでも押さえたらえらいことになる。
神浦：北朝鮮が怖いのは、大量破壊兵器。サリン、VXといった毒ガスと細菌兵器です。貯蔵量は毒ガスだけで4000トン。細菌で1トン。微量で何万人も殺せるわけですから。この数字は、韓国の国防白書に載っている数字です。昔アメリカは、フセインが大量破壊兵器を持っているといって攻めに行ったわけですよね。2003年に。ところがね、北朝鮮は明らかに持っているわけですよ。今、リビアのカダフィが9トン～11トンの毒ガスを持っている。マスタードっていう。だから怖くてなかなか捕まえられない。核もそうですけれども、毒ガスと細菌。例えば、築地や市場、新幹線の駅とかで、細菌を撒かれたらバーっと広がっちゃいます。潜伏期間が必ず一週間とか10日とかあります。病人が出てくるのはそれ以降になりますから、これは怖い。そういう意味では、北朝鮮という脅威はゼロになったわけではないです。
■ユーザーからの質問
小口：では皆さんからいただいている質問にもお答えいただきましょう。
大谷：兵庫県の男性からです。「領土問題について、日本人は無関心なところがあるのではないか、国家論、国とは何かを教わる機会がないのではないかと思います、どうすれば国民がもっと関心を持てるか」という質問です。
一色；やはり「教育」ですね。2～3ヶ月前に産経新聞が高校生400人にアンケートを取って、日本の国境線を正しく引けたのが7人しかいなかった。その体たらくです。国防と言ったって守る範囲がわからなければ守れるわけないんですよ。無関心なんですよ。東京から尖閣までは1000キロも2000キロも離れている。マスコミは報じないんですよ。中国の反日デモは伝えても、沖縄の漁師がどれだけ怒っているかは。沖縄県民がどれだけ心配しているかは。だから他人事、みたいな感じですよね。マスコミと教育じゃないですかね。
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■軍事機密という名のインチキ
大谷：もう一問、「秘密保全についてはどうですか」と。もちろん、公開する部分と、秘密にする部分はあると思うのですが・・・須田：永遠に情報を秘密にしておくと、腐敗が始まるんですよ。秘密でもいいので、一定期間を過ぎたら、すべて公開すると、ルールを決めて行動するべきだと思いますね。
神浦：軍事の世界だと、いかにも軍事機密って重要そうですけど、ほとんど秘密はないですね。機密っていうと、たとえばイージス艦に積んでいる、北朝鮮からのミサイルを迎撃するためのミサイル、SM3というのが、テポドンだとなんとか届くんですけど、ノドンだと上空500キロしか届かないから、迎撃できないんですよ。これ、軍事機密。それから、軍事偵察衛星、今回の福島原発の事故でもぜんぜん活躍しなった。全部アメリカのグローバルホークが撮影していて、アメリカはメルトダウンも把握していた。だから、軍事機密という名で、インチキが隠されている。そういう深刻な問題が出ている。
一色：当然隠さなければいけない事はあるでしょうけど、尖閣の事件がどうかと言うのは見方にもよるんでしょうけど、まあ、知らなくてはいけない事もあると思います。それを誰が決めるかという事、ある一部の個人の恣意的判断で決めていいのかと。そういうことです。
小口：えー。沢山の延長希望をいただいていますが、お別れの時間です。一色正春さんと「国防・領土問題」についてお送りしてきました。延長希望を沢山いただいていますが、この後このスタジオですぐ次の番組がありますので・・・また来月、お会いしましょう！
■ 出演者プロフィール
画像を見る一色正春（いっしき まさはる）
1967年京都生まれ。国立富山商船高等専門学校卒業。民間商船会社勤務中、オイルタンカーやLPGタンカーに乗船し、東南アジア、ペルシャ湾、北米、ヨーロッパ、アフリカ航路の従事する。その後、民間金融会社、広告業を経て、1998年より海上保安庁勤務。2004年韓国語語学研修終了。以降、国際捜査官として勤務。2007年放送大学校卒業。2010年12月退官。在任中に長官表彰3回、本部長表彰4回受彰
画像を見る神浦元彰（かみうら もとあき）
1949年生まれ。陸上自衛隊少年工科学校に学ぶ。軍事ジャーナリスト。日本軍事情報センター所長。著書『面白いほどよくわかる世界の軍隊と兵器――アメリカの世界支配と各国の勢力図を読む』『北朝鮮消滅』など多数
・■ 日本軍事情報センター ■
画像を見る須田慎一郎
経済ジャーナリスト。1961年、東京生まれ。日本大学経済学部卒。経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリストに。「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続けるかたわら、テレビ朝日「ワイドスクランブル」、「サンデーフロントライン」、読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」、ニッポン放送「あさラジ」他、テレビ、ラジオの報道番組等で活躍中。 また、内閣府、多重債務者対策本部有識者会議委員を務める（現職）など、政界、官界、財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。
・須田慎一郎の政経コンフィデンシャルブログ
画像を見る小口絵理子
アナウンサー。1998年、ニッポン放送入社。翌年から、朝のニュース・情報番組「高嶋ひでたけのおはよう！中年探偵団」昼のバラエティ「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」のアシスタントを担当。退社後は長野県庁の派遣研修員として中国・河北大学へ１年間留学。
大谷広太
BLOGOS編集長。1981年、熊本県出身。東京学芸大学卒。
2009年政治経済に特化したブログメディア「BLOGOS」を立ち上げる。
