気管支炎とは?治療方法や治療後の過ごし方を教えて!

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気管支炎と聞くと「咳の症状がある病気」と思いがちですが、風邪のウイルスなどが原因で引き起こされます。

風邪はすぐ治ると軽く考えていても、気管支炎が発症すると咳が続き重症になると入院するケースもある怖い病気なのです。

気管支炎は急性気管支炎と慢性気管支炎の2種類に分けられますが、原因・症状・治療方法に違いがあります。

気管支炎とはどんな病気なのか・治療方法や治療後の過ごし方などを解説します。

監修医師:
工藤 孝文(工藤内科)

みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

気管支炎とは

気管支炎とはどんな病気ですか?

気管支炎は咳や痰など呼吸器の症状が続き、上気道炎(風邪)よりも、気道の深い場所で炎症が起きる病気です。

気管支炎はレントゲンだけでなく、血液検査・気管機能検査・CT検査により診断され、喘息や肺炎など他の呼吸器疾患と鑑別されます。

気管支炎といっても急性気管支炎と慢性気管支炎の2種類ありますが、病院で「気管支炎」と診断された場合、急性気管支炎のケースが多いです。

気管支炎は何が原因で発症しますか?

急性気管支炎の場合、原因の大半は気管に入り込んだウイルスです。細菌が原因になっているケースもありますが、インフルエンザウイルス・アデノウイルス・ライノウイルス・肺炎球菌などのウイルス感染が気管支炎を引き起こします。

上気道炎(風邪)が引き金になるケースもあり、咽頭から気管支までと炎症が広範囲に広がる場合もあります。ただの風邪と軽く考えていても、気管支炎を引き起こすケースもあるため注意が必要です。また、化学物質を含むスプレーの吸い込みが原因となっている場合もあります。慢性気管支炎の場合は、喫煙・大気汚染・アレルギーなどが原因です。

有害物質を長期間にわたって吸入することにより、慢性的に気道に炎症が起こります。慢性気管支炎は喫煙期間が長い方に多くみられるため、喫煙者は慢性気管支炎になるリスクが高いといえます。

発症しやすい季節や年齢はありますか?

気管支炎はウイルスが原因となるケースが多いため、風邪やインフルエンザが流行する冬場に発症しやすいといえます。

とくに、季節に関係なく流行するウイルスもあるため、冬以外は気管支炎にならないわけではありません。

また、気管支炎は誰にでも発症する恐れがあります。とくに、子供や高齢の方は抵抗力が低く、ウイルス感染するケースが多いため注意が必要です。

寒い季節は特に注意が必要ですね。

風邪やインフルエンザなどのウイルスは気温が低く空気が乾燥している場所で増殖するため、寒い季節は注意しなければいけません。

ウイルスは、気温や湿度が高い場所ではすぐに落下しますが、気温や湿度が低いと落下が遅くなり30分ほど空気中に滞在します。そのため、風邪などの症状がある方が咳やくしゃみをすると、ウイルスが空気中に漂い鼻や喉に入り込んで感染してしまうのです。

ウイルスが増殖しやすい冬場は、保温・加湿(室温は20~25℃・湿度は40%以上)を維持し、手洗い・マスク着用・十分な睡眠や栄養補給など、風邪対策をしてくださいね。

気管支炎のタイプと特徴

急性気管支炎と慢性気管支炎のそれぞれの特徴を教えて下さい。

急性気管支炎は気管支に入り込んだウイルスが原因のため、風邪症状が出てから3~5日後に発症するケースが多く、痰が絡んだ湿性咳が出るのが特徴です。気管支が細い子供などは、息を吐く際に「ヒューヒュー」という呼吸音がする場合もあります。中には、発熱や食欲不振・全身倦怠感など全身症状を伴うこともあります。

慢性気管支炎の主な原因は喫煙や大気汚染などです。咳や痰の症状が1年のうちに3ヶ月以上続く咳が2年以上続く場合に診断されます。ですが、あらゆる検査をしても原因がわからない場合も、慢性気管支炎と診断されるケースもあります。

急性気管支炎は誰にでも発症するリスクがある、慢性気管支炎は喫煙者・肺疾患などの持病がある方に発症のリスクがある病気と覚えておきましょう。

慢性気管支炎と喘息の違いは何でしょうか?

慢性気管支炎も喘息も、主な症状は「咳」です。慢性気管支炎の原因は喫煙や大気汚染などですが、喘息の原因はダニやペット・ハウスダスト・花粉などのアレルギーが大半です。

また、喘息は夜間や早朝・季節の変わり目・疲れているとき・風邪を引いたときなどに、咳による発作を起こす傾向があります。

慢性気管支炎の治療は主に「禁煙」ですが、喘息は、咳を止める薬や吸入などで治療を行います。

予防することは可能ですか?

気管支炎を予防することはできます。急性気管支炎はウイルスが原因であるため、ウイルスに感染しないことが1番の予防になります。

普段から室内の温度や湿度を調節するだけでなく、外出する際はマスク・うがい・手洗いなどの感染症対策を入念に行うことが大切です。また、免疫力が下がるとウイルス感染しやすくなるため、栄養のある食事や十分な睡眠を心がけましょう。

慢性気管支炎は喫煙や大気汚染が原因のため、禁煙・空気の悪い場所へ行かないなどの対策を行えば予防できます。

重症化する可能性はありますか?

場合によっては、気管支炎が重症化するケースもあります。軽症の気管支炎だと安静にして水分補給をしていれば1週間ほどで完治しますが、重症になると2週間ほど入院して治療を行います。

気管支炎が重度になるのはインフルエンザウイルスが原因の場合が多いです。

咳の症状が3週間ほど続いたり、38度~39度の高熱が3~5日ほど続いたりします。

気管支炎を治すためには

何科を受診したら良いですか?

咳が止まらないという症状であれば、耳鼻咽喉科・呼吸器内科を受診しましょう。

咳の他に発熱・頭痛・胸焼けなどの症状がある場合は、内科での受診をおすすめします。

治療方法を教えて下さい。

急性気管支喘息は、数日から数週間続くため治療が必要です。治療方法は、痰を排出する薬・咳止め・抗菌薬などの症状を和らげる投薬治療のほかに、安静・水分栄養補給などが中心です。

慢性気管支炎の場合は、禁煙と薬物療法が基本ですが、更に痰を抑える薬と、気道が狭くなって息切れがする場合は気管支拡張薬なども投与します。また、薬液を細かい霧状にして投与するネブライザーや在宅酸素療法などの治療・呼吸リハビリテーションを行うケースもあります。必要な栄養摂取や適度な運動・風邪予防など、生活習慣の見直しも必要です。

治療後の過ごし方で意識することはありますか?

気管支炎の治療後は、再発しない生活を心がけましょう。

風邪などの感染症を予防するため、手洗い・うがい・マスクの着用・咳エチケットなどを徹底してください。

また、睡眠不足や偏った食事など不規則な生活は、免疫力の低下につながります。気管支炎の治療後は、生活リズムを整えて健康維持を心がけましょう。

規則正しい生活を送ることが重要なのですね。

気管支炎はウイルスから発症してしまうため、風邪をひかない・ウイルスを体内に入れないことが予防となります。

そのためには、規則正しい生活を送るのが理想的ですが、仕事や子育てをしていると規則正しい生活を送れないケースもあります。

朝ごはんを毎日食べる・睡眠時間を確保するなど目標を立てて、規則正しい生活を心がけ気管支炎を発症させない体作りを目指しましょう。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

気管支炎は、風邪やインフルエンザのウイルスが原因で引き起こされます。

そのため、気管支炎にならないためには、ウイルスに感染しない生活を心がけることが大切です。

ウイルスが流行する寒い時期はもちろんですが、普段から手洗い・うがい・マスクの着用・規則正しい生活を送り、気管支炎を予防しましょう。

編集部まとめ


気管支炎は咳や痰などの症状があり、息苦しい状態が続くため辛い病気です。

風邪は軽い病気と思いがちですが、ウイルスが気管に入り込んでしまうと気管支炎を引き起こしてしまうため、注意しなければいけません。

そのため、風邪やインフルエンザに感染しないことが1番の予防になります。

また、気管支炎を発症させないために、普段の生活習慣を見直し健康な体作りを心がけましょう。

参考文献

急性気管支炎|一般社団法人日本呼吸器学会

気管支炎とは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル

ウイルス感染予防に、室温20~25℃・湿度40%以上・マスク着用・手洗い|田中内科クリニック

慢性気管支炎とは?慢性気管支炎の症状や原因|つばさ在宅クリニック西船橋

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