台湾ではマスクの購入に実名制が導入されており、販売先に指定されている薬局では健康保険証の提示を購入者に求め、購入数を管理している

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(台北中央社)薬局でのマスク販売で、誤って他人の国民健康保険証を渡した薬剤師に対し土下座を要求したとして、台北市政府警察局南港分局は15日、60代女を強要などの容疑で書類送検したと発表した。

台湾ではマスクの購入に実名制が導入されており、販売先に指定されている薬局では健康保険証の提示を購入者に求め、1人当たりの購入数を管理している。南港分局の報道資料によれば、管轄内の薬局で11日、マスクを買い求めた女に薬剤師が保険証を返却。薬剤師は保険証が合っているか確認を求めたが、女はそのまま薬局を後にし、翌12日になって保険証が自身のものではないと訴えてきた。さらに、販売の手順に問題があったなどとして薬剤師を叱責(しっせき)し、土下座を要求。薬剤師はその場を収めるため、指示に従った。

一連の出来事がメディアで報道されると、大きな議論が巻き起こった。薬剤師団体「中華民国薬師公会全国連合会」は14日、薬剤師の尊厳を侮辱したなどとして強く非難する声明を出し、人々に理性的な行動を求めた。中央感染症指揮センター指揮官の陳時中衛生福利部長(保健相)は同日、調査に乗り出す姿勢を示し、事実であれば厳重に処罰するとした。

南港分局によれば、事情聴取で女は腹が立っていたと認め、感染予防に当たる医療従事者は非常に大変な思いをしているとの考えを示しているという。

(劉建邦、張茗喧、呉欣紜/編集:楊千慧)