カブトムシ、幼少期によく捕まえた。艶のある背中、カッコいい角に惚れ惚れしたものだ。あの頃はひっくり返して、裏側をまじまじと見ることはなかった。そして大人になった今だって、まじまじと見ることは中々ないだろう。


カブトムシの裏側(画像はまさあき(@masaakisyumiaka)さん提供)

今ご覧いただいているのは、ツイッターにアップされた、カブトムシがひっくり返って死んだ姿である。何が目に飛び込んできただろうか。角、バンザイ状態の手、曲がった足だろうか。筆者が気になったのは、陰部である。見事に隆起している。

死んでいるのに、元気なカブトムシ。すごい。でも体に一体何が起きているのだろうか。Jタウンネットは甲虫類を研究している専門家に話を聞いた。

大きくなることはない

こちらはツイッターユーザー、まさあきさんの投稿。死んでしまった個体を標本にしようと持ち上げたところ、陰部に突起があることを発見したのだ。衝撃的なカブトムシの姿は、5000件以上のいいねを集めるなど注目を集めている(2日18時現在)。

リプライ欄には、

などカブトムシの最期に答える声がぞくぞくと挙がっている。

Jタウンネットは2019年10月2日、まさあきさんに取材をしたところ、死亡を確認したのはつい先日だという。

「普通は亡くなると足が縮こまってひっくり返っているのに、この個体の場合はうつ伏せの状態で足を広げて、なおかつペニスが露出していました」

こう話す彼は、現在成虫3匹、幼虫237匹を飼っているカブトムシ好きだ。性器を見たときはビックリしたと述べた。

亡くなってしまっては全身からエネルギーがなくなるだろうに...。筋肉(?)なども動かないのだから、当然交尾器が隆起することはないはずなのに...。これはいったいどういう状態なのだろうか。

Jタウンネットは同日、甲虫類を研究する愛媛大学准教授の吉冨博之さんに話を聞いた。実際に画像を見てもらうと、

「カブトムシは節足動物の仲間つまり外骨格を持っています。わかりやすくいうと、缶詰めのようなもので、外側が固くて中側が柔らかい。この画像は、その交尾器が出ている状態です。雄の交尾器というのは外骨格なので、基本的に固い部分です。その状態で、体の中にしまいこまれています。交尾をするときに、固い状態のものを雌の腹部の中に挿入します。
それは、人間の交尾器とは全然違って、勃起するとかそういうものでは(生物学的に)ありません。単に交尾器が外側にでているだけです」

つまり、大きくなったり小さくなったりするものではないのだ。外骨格なのだ。まだまだ知らない昆虫の事情がわかった。

吉富さんも、

「カブトムシの交尾器を見る機会もないですもんね」

と話す。

なかなか見ることがないカブトムシの裏側。まさか、こんな形でまじまじと見ることになるとは...。