提供:週刊実話

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 9月11日に発足した第4次安倍改造内閣の目玉閣僚、小泉進次郎環境相に対し橋下徹元大阪市長が厳しい姿勢を見せている。「福島原発処理水問題」への小泉発言に苦言を呈するなど、その真意をめぐり様々な憶測が飛び交い始めた。

 まずは橋下氏が小泉氏に対し、どういう発言をしたかを見てみよう。

 12日、橋下氏がMCを務めるAbemaTVの番組内で福島第一原発処理水がパンク寸前であることを取り上げた。この問題で原田義昭前環境相は小泉氏にバトンタッチする直前「処理水を薄め海に流すしか方法がない」と発言し、波紋を呼んでいた。

 小泉氏は「福島の皆さんが傷つくことない議論を…」と原田発言の鎮静化に努めた。これに橋下氏が噛みついたのだ。
「原発処理水は除去設備でトリチウム以外を基準以下にして、トリチウムは薄めれば海に流せるのは世界中で行われている方法。それを『担当省でないが福島の人が嫌がる議論はするな』では評論家と同じ」としたうえで、
「現実的にどう問題を解決するかが政治家。小泉氏の人気と発信力を使い『所管事項ではないが、薄めれば大丈夫。福島だけではなく全国に流したらいい』と言えば多くの理解を得られたはず。『議論はしない』では未熟。そうした発言は人気を気にしているからだ」

 とバッサリ斬り捨てている。さらに、橋下氏はブログでも「言うだけ番長はやめろ」とボルテージを上げている。
「環境相として何をしたいのか明確でない。就任時『自分を使ってほしい』と省内で挨拶した言葉は昭和のリーダー型で古い。もう言うだけは卒業して欲しい」

 18日にはツイッターで「小泉さんは(処理水問題を)所管外と逃げてはいけない。これまでのようなポエムは大臣にはいらない。汚染処理水問題を解決に導くべきだ。それが真の福島復興の第一歩だ。ポエムではなく実行力!」と辛らつに綴った。
「永田町では橋下氏がジャブのように連日繰り出す小泉批判に騒然です。橋下氏が小泉批判を繰り返すのは、裏を返せば、それだけ小泉氏の大臣就任は橋下氏にとって重大なのです」(全国紙政治部記者)

★政界復帰を見据えた小泉批判

 維新関係者が解説する。
「そりゃ橋下氏は小泉氏が環境相に抜擢されたことを重く受け止めている。というのは、これで小泉氏が総裁選に打って出る前準備が完全に整い、近い将来のライバルになると見ているからだ。つまり、橋下氏も近々政界復帰し、小泉氏が総裁選に打って出る頃には政界の中枢で重要な位置に立ちたいという思いが強い」

 自民党関係者も言う。
「橋下氏が政界復帰を狙っているのは確実。維新からでも自民党からでも出馬態勢は整っている。橋下氏を立憲民主党や国民民主党などの野党に取られ政権奪取されないよう安倍政権も下交渉にぬかりはない。菅官房長官と松井大阪市長は昵懇の間柄。今のところ大阪万博や大阪カジノをエサにした人参作戦に松井市長もズッポリ嵌っています。橋下氏の『処理水は福島だけでなく全国に流せ』発言後に松井市長が処理水の大阪湾受け入れOKの意思表示をしたのは安倍政権への援護射撃に他ならない。あの手この手で橋下氏らを自民党周辺にとどめておく作戦は今後も続くでしょう」

 当然、野党も手をこまねいているわけではない。昨年から小沢一郎元自由党代表らが動き、国民民主党金庫に眠る軍資金100億円をチラつかせ、なんとか橋下氏を野党から出馬させ自民党を倒す旗頭にしたいとして必死だ。橋下氏も『政権奪取論 強い野党の作り方』を出版するなど、野党との連携も臭わせている。
「だが、橋下氏は出馬を自民党からとも、野党からともまだ決めていない。政策的に合致すれば勢いのある『れいわ新選組』の山本太郎氏とだって手を結ぶ可能性はある」(維新関係者)