”じっぽん”と読まれていたことも…日本はどうして国際的な場面で「Japan」と呼ばれるようになったの?

写真拡大 (全4枚)

「いだてん」金栗四三がこだわった「日本」の国際表記

大河ドラマ「いだてん」第10話には、主人公の金栗四三が「オリンピックの開会式で掲げるプラカードの国名表記は「日本」にするべきだ!」と強く主張するシーンが登場しました。

この時の日本選手団が「日本」をローマ字で「NIPPON」と表記したプラカードを掲げて入場することとなったのは、ドラマのとおりです。

「いだてん」第10話振り返り。オリンピック開会式のプラカード「NIPPON」表記はストックホルム大会だけ

前後の国は「ITALY(イタリア)」「LUXEMBOURG(ルクセンブルグ)」だったため、現地の人の中には「おや?」と思った人もいたかもしれませんね。

Wikipedia/1912年ストックホルムオリンピック

ちなみに、歴代オリンピックでの日本の入場行進のプラカード表記が「NIPPON」だったのはこの時だけで、それ以降のオリンピックでは全て「JAPAN」とされています。

しかし、そもそもなぜ日本は海外で「NIPPON」ではなく「JAPAN」と呼ばれるのか、考えてみれば不思議ですよね?

「日本」は「じっぽん」とも読まれていた!?

かつて「倭」「倭国」などと呼ばれていた日本が、国号として「日本」を制定したのは、壬申の乱で勝利した大海人皇子として知られる天武天皇の時代でした。

Wikipedia/天武天皇

この「日本」という漢字が書いてあったら、現代の私達はごく自然に「にほん」「にっぽん」と読みます。これは、漢字の音読みの中でも「呉音(ごおん)」と呼ばれる読み方に基づくものです。

一方、「日本」が国名として成立した当初は「漢音(かんおん)」という別の音読みも通用していました。「漢音」で「日本」を発音すると「にっぽん」ではなく「じっぽん」となります。

現在でも、中国の標準語とされている「北京語」では「日本」を「ジーペン」に近い発音で読みます。また現代の日本国内でも「本日」を「ほんじつ」と読むなど、「漢音」は生きています。

「日本」はなぜ海外で「JAPAN」になったの?

さて、そんな日本が海外で一般的に「JAPAN」と呼ばれるようになったきっかけは、ヴェネツィアの商人で冒険家でもあったマルコ・ポーロが『東方見聞録』の中で「ジパング(Cipangu)」として日本をヨーロッパに紹介したことでした。

「ジパング」は、もともと「日本」の漢音読みである「じっぽん」が変化したもの。
この「ジパング」を語源とした「JAPAN」が海外での日本を意味する言葉として広まり、定着していったのです。

ちなみに英語圏以外のヨーロッパ諸国でも、「日本」のことを

ジャポン(フランス)ヤーパン(ドイツ・オランダなど)ジャポーネ(イタリア)イェポーニャ(ロシア・ウクライナなど)

と、頭の「J」の発音の違いはあるものの、なんとなく似たような発音で呼びます。

ここで共通しているのは、日本が自ら制定した「日本」という国号が、長い歴史の中で国際社会から認められ続けてきたという事実ですね。