指でつまんで持てる17インチ超軽量モバイルノートPC「LG gram」実機レビュー
CES 2019では数多くのノートPCが発表されていましたがそのなかでも筆者が特に惹かれたのが、17インチの大型ディスプレイを搭載しながら、約1340gの軽量ボディーを実現した「LG gram 17Z990シリーズ(以下17Z990)」。ワタシは以前17インチMacBook Proを使っていましたが、Late 2011の重量は2.99kg。本製品はその半分以下の重量なのだから驚きです。LG gramシリーズ全体の製品詳細については既報「モバイルノート「LG gram」の新型が2月15日発売〜軽く電池長持ち、そして大画面」をご覧ください。本記事では17インチモデルに絞ってレビューします。

17Z990には、Core i5-8265U/8GBメモリー/256GB SATA SSDを搭載する「17Z990-VA56J」、Core i7-8565U/8GBメモリー/512GB SATA SSDを搭載する「17Z990-VA76J」の2モデルが用意されています。異なるのはCPUとストレージ(SSD)の容量。ディスプレイはどちらもLGエレクトロニクス製のIPS液晶パネル(グレア)を採用し、解像度は2560×1600ドットです。

4Kディスプレイを搭載してほしかったという方もいるかもしれませんが、個人的には17インチでWQXGA(2560×1600ドット)であれば十分高精細です。なお、ディスプレイのスケーリングは標準で150%に設定されているので、文字をさらに小さく設定することが可能です。

本体天面。17インチ、15インチモデルはダークシルバーのみ。14インチモデルと13インチモデルにはホワイトモデルも用意されています


本体底面。ネジ穴は塞がれていますが、LGカスタマーセンターに依頼すればメモリー、SSDをアップグレード可能です


LG gramにはメモリー増設用スロット、SSD増設用スロットが用意されています。保証は切れてしまいますが、ゴム足などをはずし自分で分解すれば、比較的簡単にユーザー自身がメモリー、SSDを増設可能です


搭載されているのは日本語キーボード。英語キーボードモデルは用意されていません

インターフェースは、Thunderbolt3×1、USB3.0×3、HDMI×1、ヘッドフォン出力×1、microSDカードスロットを搭載。Thunderbolt3端子では映像出力、データ転送、USB PDによる充電に対応しています。個人的にはUSB3.0端子はひとつでいいので、両側面にThunderbolt3端子を搭載し、microSDカードスロットではなくSDカードスロットを採用していてくれればパーフェクトなのですが、現状のままでも新旧端子が揃っていて使いやすいと思います。デジカメのデータはケーブルで直結して吸い出してもいいですしね。


右側面にはmicroSDカードスロット、ヘッドフォン出力、USB3.0×2、セキュリティースロットを用意


左側面には電源端子、USB3.0、Thunderbolt3が配置されています


標準同梱品はACアダプター、電源ケーブル、有線LANアダプター。LG gramはUSB PD対応充電器で充電が可能ですが、ACアダプターはDCプラグ仕様です


ディスプレイは145度まで大きく開きます


本体の実測重量は1294g。17インチのLG gramはカタログ値の1340gで「世界最軽量の17インチノートPC」としてギネス世界記録に認定されています。個体差によるばらつきがあるにせよ、かなりマージンをとってカタログ値が設定されているようです

さてすんごく久しぶりに17インチノートPCを使ってみましたが、ディスプレイの物理サイズがひろいのはやはり快適です。ワタシは自宅ではデスクトップPCに43インチディスプレイをつなげて作業しているので、13〜15インチクラスのノートPCではどうしても手狭に感じます。しかし、17インチのLG gramであればウインドウをふたつ横に並べても、どちらも十分な視認性を確保できるサイズで文字を表示できます。これだけ広い作業領域を確保できるなら、モバイルディスプレイでデュアルディスプレイ環境を構築する必要はなさそうです。


仕事柄、製品公式サイトやPDF資料でスペックを確認しながら原稿を書くことが多いのですが、そのような場合でも両方のウインドーで見やすいサイズで表示できます。こりゃラクです


電源ボタンは指紋認証センサー一体型。パスワード入力なしでOSにログイン可能です

一方、ちょっと残念だったのがパフォーマンス。ベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアが548 cb、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリードが560.4MB/s、シーケンシャルライトが517.1MB/sとなっています。

最近NVMe接続SSDを搭載するモバイルノートPCが増えており、それらはシーケンシャルリードで3000MB/sを超えています。SATA接続SSDでも実用上十分な速度は備えていますが、2019年に発売されるモバイルノートPCとしてはNVMe接続SSDを採用してほしかったところです。

SSD増設用スロットを見ると「NVME x2」と記載されているので、自己責任&保証が失われることになりますが、NVMe接続SSDに載せ替えてもよいかもしれません。


「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアが548 cb


「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリードが560.4MB/s、シーケンシャルライトが517.1MB/s

LGエレクトロニクスの説明会で触ったときには実はあまり大きく感じなかったのですが、自分の日常空間や、日頃よくノートPCを利用する電車車内で使ってみると、17インチディスプレイならではの広々としたデスクトップに使い勝手のよさを強く実感できました。

昨今のノートPCは非常に軽量で、正直もうこれ以上軽い必要はないぐらいのレベルです。となればせっかく軽量にノートPCを作れるようになったのであれば、今度は毎日携帯できる重量をキープしつつ、ぎりぎりまで大型化してほしいなーと思います。21インチのモバイルノートPCとかあってもよいのでは?

それはさておき現在入手できる17インチモバイルノートPCのなかで最も軽量なLG gramは、バッテリー駆動時間も約22時間と優秀。つねに携帯しても負担にならない17インチモバイルノートPCとして他の追従を許さない一台です。


「世界最軽量の17インチノートPC」としてギネス世界記録に認定されているLG gramですが、MIL-STD 810Gをクリアーするなど高い堅牢性が確保されています


普段使っているナップザックに17インチLG gramを入れてみました。ギリでファスナーを閉められましたが、かなり強く角が当たります。大きめのバッグを確保したほうがよさそうですね