「若いお客様が多くなってきた」 『犬神家の一族』ロケ地の旅館主人が話してくれた
井出野屋旅館室内(井出野屋旅館公式ホームページより)
『犬神家の一族』は1976年に公開された日本映画だ。原作は横溝正史の長編推理小説、制作は角川春樹事務所、配給は東宝。当時ブームとなった角川映画の代表作の一つで、市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズの第1作でもある。
「水面から突き出た足」の衝撃的なシーンは、鮮烈な印象だった。また地方の旧家の屋敷に、不気味なマスク姿の佐清(すけきよ)が登場するシーンも、何度見てもゾーッとする。その後、さまざまなパロディが現れたが、それだけ強烈な映像だったと言える。
この『犬神家の一族』のロケ場所として使用された宿が、長野県に存在すると、いまツイッターで話題になっている。
「えっ、残ってるんだ...!」「まだ綺麗なんですね」
井出野屋旅館玄関(井出野屋旅館公式ホームページより)
ツイッターで話題の場所というのは、佐久市の望月宿にある井出野屋旅館だ。映画『犬神家の一族』で那須ホテルとして登場した。映画そのままの雰囲気が楽しめると、話題になっているのだ。
Jタウンネット編集部は2018年9月26日、井出野屋旅館に電話して話を聞いてみた。答えてくれたのは、ご主人の井出忠昭さんだ。
「今年も映画ファンがよく訪ねて来られます。年齢に関係なく、若い方から年配の方まで......。最近、テレビで再放送があったようで、若い人も随分多くなってきました」と井出さん。お客さんはほとんどが映画ファンだという。
井出野屋旅館廊下(井出野屋旅館公式ホームページより)
「お客様に一番人気があるのは、玄関の辺りですね。ただ、なにしろ古い建物ですので、あちこちが痛んできておりますので、維持や修理が大変です」と答えてくれた。
井出野屋旅館の公式サイトには、望月宿は、「江戸時代には、江戸と京都を結ぶ中仙道の宿場と盛え、戦争前までは花柳界の町で、近江近在の人が入り、大変に繁盛しました。 当家も町の中に数件の支店を持ち、芸者衆も総勢五十人ほど居たと言われておりましたが、今は当家だけ、町全体が昔の面影は有りません」と記されている。
ところで、ツイッターでの反応はというと......。
一度は訪れてみたかった望月の井出野屋旅館に宿泊してきました。1976年、市川崑監督の犬神家の一族の撮影に使用された大正時代の木造三階建。
— Kiyo Murakami (@kiyo__m) 2018年9月24日
石坂浩二が演じる金田一が駆け下りた階段もそのままです。 pic.twitter.com/aA3wWi9NWf
映画の世界を彷彿させる素晴らしい写真と共に、「石坂浩二が演じる金田一が駆け下りた階段もそのままです」というコメントが添えられている。これには9000を超える「いいね」が付けられている。
えっ、残ってるんだ...! >rt
— はるにゃ (@tototai55) 2018年9月25日
ひえ?まだ綺麗なんですね。
— 出前一丁(バッハー) (@demaeicchou) 2018年9月25日
望月てどこ!?て思ったら長野 遠い!けどいきたい
— 戦後日本のジャックザリッパー@固定見て (@xkururi) 2018年9月25日
「えっ、残ってるんだ...!」「ひえ?まだ綺麗なんですね」「望月てどこ!?て思ったら長野 遠い!けどいきたい」などといった感想が届いている。
わー、これ実際にあったものなのね。子供のときは怖いシーンばかりが印象に残ってたけど、大人になってからみると日本の闇の部分に切り込んでるところや事件のカラクリに一種の美しさも感じられて名作だな、って感想になったなー。
— ララ@Tiamat (@lala_FF11) 2018年9月24日
>RT
うぉー。那須ホテル、そのままですね。
— Sanny Yoshikawa (@sannysquirrel) 2018年9月24日
い、いきてえ......ここで犬神家見てえよ......
— ばたーいぬ (@13kr4) 2018年9月25日
「わー、これ実際にあったものなのね」「うぉー。那須ホテル、そのままですね」「い、いきてえ......ここで犬神家見てえよ......」といった感想もあった。やはり若い層の反応が敏感なようだ。
名作は時代を超える、ということか。名作を生んだ現場に立ってみたいという気持ちは、年齢や世代を問わないということだろう。