桐光学園vs東海大相模
決勝打を打った渡部（桐光学園）
直接対決でいえば、2015年春準決勝以来の好カード。今年の桐光学園、東海大相模のチーム力を占うには格好の試合となった。
試合は1点を争う好勝負となった。 先制したのは東海大相模で、3回表、二死から1番小松 勇輝の中前安打で出塁すると、小松は盗塁を仕掛け、2番吉田は四球で二死一、二塁となって、3番喜友名秋が左前適時打を放って1点を先制。しかしその裏、桐光学園は、立ち上がりから制球が安定しない東海大相模の先発・安里 海を攻め立て、一死満塁のチャンスを作り、5番桂川の犠飛で1対1の同点に追いつく。
安里はそこからなんとか立ち直りを見せる。フォームは2学年上の先輩・小笠原 慎之介（中日）を意識した投球フォーム。コンパクトなテークバック、そして右腕でしっかりと壁を作って、内回りの腕の振りから打者寄りで離す。一連の流れを見ると、流れるようなフォームだが、リリースポイントが乱れてしまい、コントロールを乱すことが多かった。それでもこの時期で常時120キロ後半〜135キロのストレート、120キロ前後のスライダーが低めに集まったときは簡単に打ち崩せるものではない。近年、東海大相模の左腕では小笠原に次ぐ速球派左腕に成長する可能性を感じさせた。
その安里を守備で盛り立て、まず2回裏には桐光学園の4番小林将輝が放ったフェンス際の打球をレフト・喜友名秋がキャッチ。さらには3回裏には同点に追いつかれて、6番齋藤健成が放った左中間への当たりをセンターの森下がダイビングキャッチと、5回裏にもライトへ抜けそうな打球をライト・佐藤がダイビングキャッチするなど再三にわたる好守備で光った。絶対には外野の間には抜けさせない執念が勝ったが、6回裏に渡部 遼人に勝ち越し打を許してしまう。打線も、桐光学園の大工原 泰成、棒田を打ち崩すことができず、4回戦敗退となった。
大工原と棒田は、120キロ後半のストレート、変化球を丁寧に投げる右投手。東海大相模打線が打ちあぐんだ。今までこういう投手は打ち崩してきた姿を常に見てきただけに、東海大相模がとらえきれないというのは意外であった。桐光学園は、内外野とも守備力が高く、ヒット性の当たりをアウトにするところはさすが強豪校である。
2対1の1点差の接戦だったが、どちらも高い守備力は光るが、拮抗した相手となると、攻撃力に課題を残す。今後、両チームは夏へ向けて、どのようにして攻撃力を身に付けて、今日のような強豪相手でも攻撃力を発揮できるチームに成長するか、注目をしていきたい。
（文＝河嶋 宗一）
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