日大二vs帝京八王子
日大二・直井君
前週は台風の影響で、予定していた試合が流れてしまった第11ブロックはこの日からスタートとなった。
ホームグラウンドでもある日大二のグラウンドは、杉並区の学校からはやや離れた立川市にあり、西武鉄道拝島線の玉川上水駅から徒歩15分ほど、多摩都市モノレールの砂川七番から徒歩10分ほどのところにある。
日大二は右下手投げの直井君、丁寧に低めにコントロールしていく投手である。帝京八王子は足をぴんと跳ね上げて腰の回転を生かしながら、腕をしっかりと振って投げ込んでくる新井君。制球もよく、リズムもよかった。試合はこの両投手の投げ合いの投手戦という展開になっていった。
夏休みの間にしっかりと練習して、きちんと秋の大会に向けて仕上げてきた、そんな印象をお互いに感じさせてくれる試合内容だった。だから、内容的にも引き締まった試合となった。
最初の攻防の見どころは4回。日大二は一死から4番渡辺君と大野君の連打が出たがここで相手野手のわずかなスキを突いた形で渡辺君は三塁ベースを蹴って本塁を狙ったが、ここは帝京八王子の野手も慌てなかった。丁寧に中継をつないで本塁で刺した。いくつかのランダウンプレーがあったが、走者も野手も、どちらもミスがあったというものではなかった。その結果としてのアウトだった。日大二はその後も一死一三塁としていたが、ここは帝京八王子の新井君が踏ん張った。守りから帰ってきた選手たちに対して、長沼正人監督は、「よーし、よく守った、よし、行くぞ！」と声をかけた。
そして、その言葉に反応したかのようにその裏、帝京八王子は先頭打者の2番相原君は安打で出るも牽制死。しかし、その後に保坂君が内野安打で出ると、二死から5番樋口君が二塁手頭上を破ると打球はそのまま右中間を破って三塁打となり一塁走者が帰った。
この1点が、回を追うごとに日大二に対して、じわりじわりと重くのしかかかり始めた。ただ、帝京八王子も直井君の下手からのクセ球を打ち切れないでいた。こうして、どちらも次のアクションが起こせないまま終盤に差し掛かってきた。
そして迎えた8回の攻防。1番からの日大二は相澤君が失策で出塁すると、代打山崎君は四球。ここが勝負と見た田中 吉樹監督は、一塁走者に代走高橋君を送り出す。バントで一死二三塁となった後、4番渡辺君が中前へはじき返し、好スタートを切っていた高橋君も本塁へ帰り逆転。さらに、大野君も一二塁間を破ってつなぐと、二死二三塁からこの試合でチーム初安打を放った大島君が、中越三塁打して二者を帰した。ここという場面で見せた、日大二の見事に集中打だった。
9回にも日大二は一死一三塁から、ディレードダブルスチールを敢行して見事に決めた。ダメ押しともいえる追加点となった。「打てないものですから、チームとしてはいろんなことをやっていかなくてはいけないんですけれども、いずれもノーサインなんですよね」と、田中監督は言うが、選手たちがそれぞれ、自分たちの感覚の中で走っていくことを実践してきたようだ。また、そういう姿勢で練習してきた日大二が、試合の中でその成果を発揮して、厳しい試合展開ながらも粘り切れた、辛抱しきれたということであろうか。
（文＝手束 仁）
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