関東地方はまだ梅雨が明けていないのに、猛烈な暑さに見舞われる日がある。今年の夏はどれぐらい暑いのかと考えると、それだけで憂鬱な気持ちになる。

　アスリートはたまらないだろう。プロとなればなおさらだ。どんなに暑くても、試合はやってくる。負けられない試合が。

　夏場のＪリーグはキツい。19時開始のナイトゲームでも、日中の暑さがしぶとく居座る。肉体の消耗度は激しい。

　Ｊ１リーグは７月９日、13日、19日と中３日でゲームを消化した。

　13日の第３節では、後半アディショナルタイムに勝敗の決するゲームが多かった。浦和レッズは90＋３分にベガルタ仙台を突き放し、アビスパ福岡は90＋２分にＦＣ東京を振り切った。川崎フロンターレも、90＋４分の一撃でアルビレックス新潟を下した。横浜Ｆ・マリノス対ヴィッセル神戸戦でも、90＋１分のマルティノスの得点がＦ・マリノスを勝利へ導いた。

　ところが、続く第４節はドラマティックな展開のゲームが少なかった。全９試合で22のゴールが生まれたものの、残り15分以降の得点は４つしかない。アディショナルタイムのゴールは、ひとつもなかった。どのチームの選手たちも、連戦で燃料が枯渇した印象である。

　ヨーロッパがプレシーズンにあたるこの時期、Ｊリーグが開催されているのは個人的にありがたい。週末に真剣勝負を見られるのは、それがブンデスリーガでも、Ｊ２リーグでも、僕には等しく価値を持つ。

　逆に言えば、１月から２月末までは、僕のなかでヨーロッパ各国リーグが価値を高める。Ｊリーグがプレシーズンだからである。

　Ｊリーグが春に開幕するおかげで、年間を通じてほとんど途切れることなくサッカーを見ることができる。リーグ戦の開催時期については多方面から意見が集まるが、現行の２月（または３月）開幕、11月（または12月）閉幕にも、メリットはあるものだ。

　だが、７、８月が猛暑に襲われると、このままでいいものかと考えてしまう。８月末あたりに開幕をズラしたほうがいいのでは、と思ってしまうのだ。

　夏休み時期は観客動員増が見込めるので、リーグ戦を開催しないのはもったいない、と言われる。ライト層や家族連れの来場が増えることが根拠になっているのだろうが、猛暑日のレジャーとしてサッカー観戦が選ばれるだろうか。

　日差しが傾いたあとのナイトゲームだとしても、スタジアムへ足が向くとは考えにくい。小さなお子さんのいる家庭なら、海水浴、プール、ショッピングモールなどで過ごす気がする。昼間は海水浴で夜はＪリーグというのも、小さなお子さんにはちょっとハードだ。

　プロスポーツの興行として、夏休みを外したくないとの思惑は分かる。秋春制へ移行したら、降雪地域でのリーグ戦開催に支障が生じるとの問題も理解する。

　僕が重視したいのは、試合のクオリティだ。

　真夏に我慢比べのようなゲームをするよりも、暑さの気にならない時期に質の高いゲームを目ざすほうが、チームも個人も成長する。選手のケガも減るのではないだろうか。暑くても走れるチームは素晴らしいが、勝敗の行方が体力勝負になってしまったら、サッカーの本質とかけ離れてしまう。

　今年の夏も猛暑が予想されている。ゲームのクオリティを、担保できるのだろうか。体力的な水準だけでなく、技術的にも戦術的にも見どころに溢れたゲームこそが、日本サッカーのレベルアップにも、観客動員のアップにも寄与すると思う。だからといってシーズン制を移行すればいいと言い切れないのが、どうにも歯がゆいのだが。