焦点は5回と6回の得点

 木更津総合が5回に挙げた先制点と、6回の追加点に焦点を当ててみたい。

 まずは5回の場面。木更津総合は一死三塁から3番・小池 航貴(3年)がレフトへライナー気味のフライを放った。三塁走者のエース・早川 隆久(3年)は、「フライが浅かった。三塁コーチはハーフと言ったが、自分はタッチアップして(その後に投げる)気持ちを楽にしたかった。それにレフトがダイブをして捕るのが見えたので、その分だけ送球が遅れると思った」と先制したい思いと冷静に相手の守備を見極められていた心境を明かした。

 6回の2点も早川のタイムリー。ここは札幌第一のキャッチャー・銭目 悠之介(3年)が悔やんでいたので、札幌第一視点で振り返ってみる。

 早川の場面は二死二、三塁。フルカウントから3球ファウルで粘り、9球目をバッテリーは打ち返された。一塁が空いている状況ということもあり、次の1番・峯村 貴希(2年)はそれまでの3打席で当たっていない。四球になってもいい覚悟で、振ってくれたら儲けもんという気持ちでのボール球を投げる配球も考えられたのではと質問してみると、キャッチャーの銭目は、「早川君にはその前の打席でヒットを打たれているが、一番打率の低い選手。峯村君は当たってなかったけど一番注目されているバッター。だからここで抑えて、峯村君にはまわしたくなかった」と考えを話してくれた。ただ、こうも付け加えた。「3ボール2ストライクから真っすぐを2球続けてファウルになった球がシュート気味になっていたんです。それで、いつか外れてしまうのではと思った。でもその前にスライダーもファウルにされていて、そっちの方が打ち損じていたと感じたので、(9球目を)スライダーにしました」。

 結果として早川に打たれ、「そこが自分の甘い所」と銭目は悔やんだが、夏へ向けて大きな勉強をしたことだろう。まだ春の選抜。この経験を糧にもっと深い読みができるキャッチャーに成長してほしい。 

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