日体荏原vs安田学園

写真拡大

ブロック予選随一の好カード、粘り合いは日体荏原に一日の長

日体荏原・片峯君

 春季東京大会の一次予選ブロックは、昨秋の都大会代表となった48校を除いて、24会場で48代表を争うことになっている。その中では、最も注目のカードと目されたのが、この第23ブロックA代表決定戦である。その期待にたがわぬ、粘り合いの好試合となった。

 日体荏原の片峯君は上から投げると130キロ以上は出るというが、下手投げで120キロいかないかくらいの球速で相手打者を交わしていくスタイルとなった。一旦は横手にしてみたこともあったというが、この大会前に再び下手投に戻した。スピードよりは、粘り強さを持ち味としていく。それが立ち上がりはピシャリとハマって3イニングは3人ずつで完全に抑えていた。そして、日体荏原は攻めても、初回に5番・荒木君の二塁打でまず先制した。

 4回に失策絡みで1点を失ったものの、5回には二死二塁から小俣君の中越二塁打で引き離す。6回にも一死一二塁で8番・弓田君の中越三塁打が出て、さらに2点を追加した。ここまでは、ほぼ完璧に日体荏原の流れとなっていた。

 片峯君の術中に完全にハマってしまっている感のあった安田学園打線は、3巡目となって、何とか攻略の手立てを見出したいところだった。それが7回、4番・岩城君の右線へ運んだ二塁打で一気に爆発。伊勢君も右前打で続くと、四球で満塁。一死となったが、8番・加賀谷君が気迫の右前へのポテン安打で1点を返すと、代打の高見澤君もきっちり起用に応えて三遊間を破ってさらに1点。その後も、押し出しと杉浦君の左犠飛でついに同点。試合は振出しに戻ってしまった。

 なおも3番・伊藤康平君だったが、日体荏原としては最も警戒している打者で、「この打者だけには打たれてはいけない」(相原 健志コーチ)という心づもりで片峯君も勝負したがここを投げ勝って同点止まりだった。

4回にチーム初安打を放った安田学園・牧野君

「あそこで踏ん張って粘り切れたことで、裏の反撃に繋がりました」と、本橋 慶彦監督も振り返っていたが、その裏、日体荏原は安田学園の3人目、島田君を立ち上がりからとらえて、2番・杉浦君が強い打球のイレギュラー気味の打球で失策を得ると、小俣君も左前打で続き、井坂君のバントも安打となって満塁。

 一死後、中牧君が左前打して再び日体荏原がリードを奪う。ここで、安田学園の森泉弘監督は島田君を諦めて、4人目となる田中君を投入、しかし田中君はいきなり四球で押し出し、続く弓田君も三遊間を破り、日体荏原がさらに2点追加した。

 これで、片峯君にも余裕ができて8回、9回は四球こそ出したものの、安打は許さず相手打者に引っ掛けさせるという持ち味の投球で逃げ切った。「疲れましたね」と、試合後の開口一番だった本橋監督だったが、「こういう粘った試合は、持ち味でもあるんです。7回は追いつかれましたけれども、同点止まりでしたから、大丈夫だと言いました。崩れそうで崩れないですけれども、こういう試合ですね」と、4点リードを中盤に追いつかれるという苦しい展開になったが、何とか粘り切れたことに納得していた。

 3月に入って8日から11日までは成田で勉強合宿があったという安田学園。「勉強合宿では、頑張ったんですよ」と、森泉監督は追いついてすぐのマウンドでリードを許してしまうことになった島田君をかばった。「勝負は勝負、勝ち負けがあるのだから、この結果を考えて。これからまた夏へ向けての目標を立てて、練習をしていってほしい」と、選手たちには伝えていた。

 また、先発の森君は、少し前に足首を痛めたということで万全ではなかったのも痛かった。本来ならば、もっとストレートも伸びていくはずだと、期待は高い。

(取材・写真=手束 仁)

注目記事・2016年度 春季高校野球大会特集