食べられるアート、”たまちゃん”のにっこり寿司 Smiling Sushi Roll♪
2015.12.27
©Tama-chan. All Rights Reserved
驚き! 楽しい! 食べられる! を堪能することができる巻き寿司アーティストの“たまちゃん”をご存知だろうか。 食育や食文化の大切さやモノづくりの楽しさはもちろん、自身が感じる疑問の問題提起、メッセージが込められた巻き寿司作品は国内外から注目を集めている。
東京都新宿区生まれ、本名は清田貴代さん。セツ・モードセミナーを卒業後、フリーのイラストレーターとして活躍し、幅広いシーンで数多くの作品を手掛ける中、「誰もやっていないことがやりたい!」という想いから、2005年より巻き寿司アーティストとしての活動をスタートしたのだそう。それにしても、なぜ、巻き寿司を料理ではなくアートとして提案しようと思ったのだろう?
「料理には著作権がなくて、多くの人が同じ絵柄の巻き寿司を作っているし、その事に疑問を感じたことがきっかけの一つでもあります。他の人と同じようなものではなく、自分が面白いと思うものを創って発表するほうが私らしいなと。巻き寿司にしたのは思いつきなんですが、そこから、日本人であることや米との深い繋がりに気付かされました」
巻き寿司 as メッセージ
「基本の巻き方を母から習って手探りで始めた」と笑みを浮かべて話す“たまちゃん”の作品は、「そんな! ノリで創れる訳が無いですよ! 」と突っ込みを入れずにはいられない、豊富な経験と独創性がうかがえるものばかりだ。中でも、筆者が大きな衝撃を受け感動したのが、作品名『生まれる』。一本の巻き寿司を輪切りにしていくと……なんと胎児が育っていく様が表現されている! これを一本の巻き寿司で創るのだから凄すぎるとしか言いようがない。
©Tama-chan. All Rights Reserved冒頭で書いた通り、“たまちゃん”が感じる疑問の問題提起、メッセージが込められた巻き寿司の作品は次々と誕生している。
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4切れの巻き寿司には”愛“がある
上記の作品名は、『愛のカタチ♡家族になろう』。 「家族のカタチ」は様々であり、昨今では同性愛やそんなカップルと柔軟に付き合うスキルが必要になってくるのでは? というメッセージが反映されている。
「カップルのときは2人のハートがハッキリしているけど、子供の存在が家族としての大きなハートになっていく。ハートの形はハッキリしなくなり、離れた手は両親や友達、地域の人と繋がり、大きな輪のようなカタチになる。その輪を「社会」と言う。つまり社会は大きなカタチで実体がないように認識されがちだが、実は小さなそれぞれの家族から出来ている。同性愛カップルも同じように社会と関わっていくでしょう。いろんなカタチの家族が、大きな輪ともなり、あらゆる問題や経験が、他人事ではなくなると社会はもっと変わって行くんじゃないかと」
そう語ってくれた、“たまちゃん”の言葉にはわずか4切れの巻き寿司の断面を組み合わせて見せることで、「あなたなら何を感じますか?」という問いかけや奥深い意味が込められている。
驚き! 楽しい! 食べられる!の三拍子を体感したいという人は、ワークショップがおすすめ。“たまちゃん”のレクチャーを受けながら、自身で巻き寿司を作るという内容はリピーターも多く大人気! 食べられるアートを身近に感じられる貴重な機会をお見逃しなく。
(Text: Sayaka Miyano)
※TOPの画像に使用したのは、パリ同時多発テロへのメッセージが込められた作品。フランス人アーティスト、ジャン・ジュリアンのピースマークと国旗のカラーをアレンジしてデザインしたもの。
たまちゃん
リトルモアブックスより『Smiling Sushi Roll たまちゃんのにっこり寿司』を発行。http://smilingsushiroll.com
Tuttle Publishingより、海外版『Smiling Sushi Roll』が発売(3月下旬)予定。
また、2月27日(土)中野の「くらしのアトリエ ひらや」でワークショップを開催予定。