22日、東京・銀座で食育シンポジウム「野菜フォーラム」が行われた。(撮影:久保田真理)

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野菜と果物を食べてバランスのとれた食事をしようと、食育シンポジウム「野菜フォーラム」(食生活情報サービスセンター主催)が22日、東京都中央区のヤマハホールで開かれ、専門家らが事例などを紹介した。

 基調講演であいち健康の森・健康科学総合センター(愛知県知多郡)の富永祐民センター長は、がんを中心とした生活習慣病を予防するための生活習慣などについて解説した。野菜や果物が持つ健康機能に触れ、緑黄色野菜や生野菜・果物に含まれるカロチン類、ビタミンCなどの抗酸化物質が発がん物質の生成を抑制したり、抗酸化作用で老化を防止するという。また、「腹八分目」の食生活ががん予防に効果があると動物実験でも実証されており、「歳をとったら『腹七分目』でもよいほど」と、適量でバランスのよい食事の大切さを呼びかけた。

 パネルディスカッションでは「野菜・果物を摂取する工夫」をテーマに専門家や企業の代表らが体験などを披露。社員食堂の運営などを手がけるNECライベックス(東京都港区、渡部浩治社長)第一フードケイタリング事業部の酒井正雄事業部長は、野菜の摂取が健康に不可欠だと知っている人は多いが、実際に選んで食べる人は少なく、運営側にも“仕掛け”が必要だという。「野菜カレーでは売れないが、野菜がゴロゴロ入っていることから『ごろっぷりカレー』にしたらよく売れた」とネーミングで消費者の行動に変化が起きた実例を話した。

 また、女子栄養大学(埼玉県坂戸市)の石田裕美教授は、企業の社員食堂で調査を行った経験を紹介。特に若い男性は朝食をとっていない、昼食時間が短いなどを理由に、揚げものなど安くてエネルギーの高いメニューを選ぶ傾向にあるという。また副菜にしても、コロッケ、納豆などを選びがちで、「ただ副菜を取りましょうと呼びかけるのではなく、(葉ものなど)『野菜の小鉢』と具体的に言わないといけない」と情報を効果的に伝える必要性を強調した。【了】

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