壮行試合である。
Ｗ杯開幕まで１８日。
カメルーン戦まで２０日。
日本代表が国内最後の試合を戦う。

相手は韓国。
練習試合、親善試合と表現するには重い。
正しく「テストマッチ」である。
試合は月曜日の開催。
会場も人里離れた埼玉スタジアムだ。
チケットは完売したらしい。
最近は代表人気の低下がとやかく言われる。
しかしＷ杯直前の熱気はやっぱり特別。
雨の中で５７，８７３人の観客が集まった。

日本代表
ＧＫ 　１ 楢��正剛　 76.04.15 187/80　75Cap 名古屋ｸﾞﾗﾝﾊﾟｽ
ＤＦ 　５ 長友佑都　 86.09.12 170/68　23Cap FC東京
　　 ２２ 中澤佑二　 78.02.25 187/78 102Cap 横浜F･ﾏﾘﾉｽ
　　 　２ 阿部勇樹　 81.09.06 177/77　42Cap 浦和ﾚｯｽﾞ
　　 １５ 今野泰幸　 83.01.25 178/73　34Cap ＦＣ東京
ＭＦ １７ 長谷部誠　 84.01.18 177/66　28Cap VfLｳﾞｫﾙﾌｽﾌﾞﾙｸ
　　　 ７ 遠藤保仁　 80.01.28 178/75　91Cap ｶﾞﾝﾊﾞ大阪
　　 １０ 中村俊輔　 78.06.24 178/70　95Cap 横浜F･ﾏﾘﾉｽ
　　 １８ 本田圭佑　 86.06.13 182/76　12Cap CSKAﾓｽｸﾜ
　　 １６ 大久保嘉人 82.06.09 170/73　46Cap ｳﾞｨｯｾﾙ神戸
ＦＷ 　９ 岡崎慎司　 86.04.16 174/76　25Cap 清水ｴｽﾊﾟﾙｽ

−−−−−−−−岡崎−−−−−−−−
−−大久保−−−本田−−−中村俊−−
−−−−−−遠藤−-長谷部-−−−−−
−今野−−-阿部−−−中澤-−−長友−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−楢崎−−−−−−−−

■リザーブ：
ＧＫ ２３ 川口能活　 75.08.15 180/77 116Cap ｼﾞｭﾋﾞﾛ磐田
　　 ２１ 川島永嗣　 83.03.20 185/80 　8Cap 川崎ﾌﾛﾝﾀｰﾚ
ＤＦ　 ３ 駒野友一　 81.07.25 172/76　51Cap ｼﾞｭﾋﾞﾛ磐田
　　 １３ 岩政大樹　 82.01.30 187/85 　2Cap 鹿島ｱﾝﾄﾗｰｽﾞ
　　 ２５ 酒井高徳　 91.03.14 176/74　 0Cap ｱﾙﾋﾞﾚｯｸｽ新潟
ＭＦ １４ 中村憲剛　 80.10.31 175/67　45Cap 川崎ﾌﾛﾝﾀｰﾚ
　　 ２４ 香川真司　 89.03.17 172/63　13Cap ｾﾚｯｿ大阪
　　 ２７ 山村和也　 89.12.02 184/80　 1Cap 流通経済大学
ＦＷ １２ 矢野貴章　 84.04.05 185/76　 7Cap ｱﾙﾋﾞﾚｯｸｽ新潟
　　 １９ 森本貴幸　 88.05.07 180/75 　3Cap ｶﾀｰﾆｬ
　　 ２６ 永井謙佑　 89.03.05 177/67　 1Cap 福岡大学

韓国代表
ＧＫ 　１ 鄭成龍(チョン･ソンリョン) 85.01.04 190/86 城南一和
ＤＦ ２４ 車ドゥリ(チャ･ドゥリ)　　 80.07.25 181/79 SCﾌﾗｲﾌﾞﾙｸ
　　 ２５ 李正秀(イ･ジョンス)　　　 80.01.08 185/76 鹿島ｱﾝﾄﾗｰｽﾞ
　　 ３０ 郭泰輝(カク･テヒ)　　　　 81.07.08 185/80 京都ｻﾝｶﾞ
　　 １７ 李栄杓(イ･ヨンピョ)　　　 77.04.23 177/67 ｱﾙﾋﾗﾙ
ＭＦ ２８ 金正友(キム･ジョンウ)　　 82.05.09 183/71 光州尚武
　　 ２７ 李青龍(イ･チョンヨン)　　 88.07.02 180/69 ﾎﾞﾙﾄﾝ
　　 ２２ 寄誠庸(キ･ソンヨン)　　　 89.01.24 186/75 ｾﾙﾃｨｯｸ
　　 １４ 朴智星(パク･チソン)　　　 81.02.25 178/73 ﾏﾝﾁｪｽﾀｰU
ＦＷ １０ 廉基勳(ヨム･ギフン)　　　 83.03.30 182/80 水原三星
　　 １２ 李根鎬(イ･グノ) 　　　　　85.04.11 177/75 ｼﾞｭﾋﾞﾛ磐田

−−−−廉基勳−−−−李根鎬−−−−
−−朴智星−−-寄誠庸-−−李青龍−−
−−−−−−−-金正友-−−−−−−−
−李栄杓−李正秀−郭泰輝−車ドゥリ−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−-李雲在-−−−−−−−

■リザーブ：
ＧＫ ２１ 李雲在(イ･ウンジェ)　　　 73.04.26 182/90 水原三星
　　 １８ 金永光(キム･ヨングァン)　 83.06.28 184/85 蔚山現代
ＤＦ 　５ 金東進(キム･ドンジン)　　 82.01.29 184/78 蔚山現代
　　 　２ 趙容亨(チョ･ヨンヒョン)　 83.11.03 182/71 済州
　　 ３２ 金亨鎰(キム･ヒョンイル)　 84.04.27 187/83 浦項
　　 　４ 呉範錫(オ･ボムソク)　　　 84.07.29 181/77 蔚山現代
ＭＦ １５ 金南一(キム･ナミル)　　　 77.03.14 180/75 ﾄﾑ･ﾄﾑｽｸ
　　 ２９ 辛炯��(シン･ヒョンミン)　 86.07.18 182/76 浦項
　　 　６ 具滋哲(ク･ジャチョル)　　 89.02.27 182/73 済州
　　 　７ 金甫��(キム･ボギョン)　　 89.10.06 178/73 大分
ＦＷ 　８ 安貞桓(アン･ジョンファン) 76.01.27 177/73 大連実徳
　　 １９ 朴主永(パク･チュヨン)　　 85.07.10 182/76 ASﾓﾅｺ
　　 ２０ 李昇烈(イ･スンリョル) 　　89.03.06 183/72 FCｿｳﾙ



日本は闘莉王、内田篤人、稲本潤一、松井大輔、玉田圭司が不在。
ベンチにも入れず完全休養である。
韓国はおそらくこれがベストメンバー。
まだ「２３人」が決まってないから当落線上の選手はガチだろう。
しかしスタメンに「国内組」は３人だけなのか。

韓国の布陣は４−４−２。
セントラルＭＦは前後の関係になることが多い。
金正友が本田圭佑にマンツーマンで対応していた。
朴智星はポジションにこだわらず自由に動く。
廉基勳とスイッチして最前線に顔を出していた。

５分、韓国は李正秀が最終ラインから前方にヘッド。
遠藤保仁が中盤から頭で敵陣に戻す。
金正友は右サイドでこれをブロック。
朴智星がこぼれ球に身体を入れて長谷部誠に競り勝つ。
「浮き球の緩い攻防」から一気にピンチだ。
朴智星は今野泰幸の寄せを跳ね飛ばして突進。
エリアの少し外から右足を一閃する。
鋭いシュートが右中間から対角に突き刺さった。
＜韓国代表　１−０　日本代表＞

経過がよく見えなかったけど朴智星だと直感した。
今野をあんなあっさり振り切る選手はアジアで彼しかいない。
凄い突進力、そして凄いシュートだった。

２０分、日本は今野泰幸がいい出足でこぼれ球を奪取。
縦にフィードを入れる。
大久保嘉人は一気に前線までボールを運ぶ。
左から中にカットインしてミドルシュート。
強烈だったけど枠のわずか右へ外れる。

３７分、韓国は李青龍に警告。岡崎慎司へのタックル。

４０分、日本は中村俊輔が右サイドからＦＫを入れる。
遠藤保仁、阿部勇樹がヘッドを競るが届かない。
本田圭佑がＤＦの跳ね返しを拾って左足でシュート。
枠には届いていたけど当たりが弱かった。

前半は韓国が１点リードして折り返しとなる。
失点後は日本が良かった。
韓国に決定機を作らせていない。
守備組織が機能していた。
ただ韓国は廉基勳が前線で効いていた。
ポストプレーヤーとして秀逸である。
動き出しがいいし競り合いも強い。
中澤佑二と競ってもちゃんとボールを落とせる。
「何者？」と思ったけど初めて見た選手だった。
去年のＡＣＬ、東アジア選手権はメンバーに入ってない。
同行の引率氏は水原と大宮のＰＳＭで印象に残ったらしい。

４５分、韓国は廉基勳→朴柱永。李根鎬→金南一。
布陣はこうなる↓
−−−−−−−-朴柱永-−−−−−−−
−−寄誠庸−−-朴智星-−−李青龍−−
−−−−−金南一−−金正友−−−−−
−李栄杓−李正秀−郭泰輝−車ドゥリ−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−-李雲在-−−−−−−−

５５分、日本は阿部勇樹がプレスの隙間を通すフィードを入れる。
長谷部誠が中盤で左に落とす。
大久保嘉人は李青龍のタックルを吹っ飛ばしてルックアップ。
左サイドから中央に折り返す。
中村俊輔はシュートフェイクから右足に持ち返る。
しかし金南一が帰陣してブロックされてしまう。

５９分、日本は中澤佑二が最終ラインからクリア。
浮き球が前線に入る。
韓国は李正秀がクリアしようと落下点に入る。
しかし岡崎慎司が激しく競って裏に抜け出す。
岡崎はエリア右角付近からシュート。
郭泰輝が身体を寄せて強く打てなかった。

この時間は日本が優勢。
韓国はボールを動かせなくなった。
朴柱永の１トップが機能しない。
彼はセカンドストライカーだと思うのだが？
寄誠庸もサイドに置くと良さが出ない。
朴智星との関係がスムーズじゃない。

６２分、日本は中村俊輔→森本貴幸。
布陣はこうなる↓
−−−−−−−−森本−−−−−−−−
−−-岡崎-−−−本田−−−大久保−−
−−−−−−遠藤−-長谷部-−−−−−
−今野−−-阿部−−−中澤-−−長友−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−楢崎−−−−−−−−

中村俊輔は流れに乗れなかった。
彼の短所がどうこういう以前に「長所」を発揮できず。
彼らしいパス、特に遠くへ振るパスは皆無だった。
もっと中に流れていいと思うけど遠慮があった。
本田圭佑とまだ「受け渡し関係」が出来てない。
あと周囲の動き出しが弱かった。
中村俊輔がやり易いのはやっぱり内田篤人なんだろう。

６６分、韓国は車ドゥリ→呉範錫。
そのまま右ＳＢでの起用である。

日本は６０分前後の攻勢が次第に弱まる。
森本貴幸の起用は「諸刃の刃」だ。
彼は隙を突ける、得点を取れる選手。
ただ森本が入ることで流れは悪くなる。
チェイシング、動き出しは岡崎が上だ。
セカンドボール争奪、ビルドアップへの貢献度が違う。

６９分、韓国は李栄杓が左サイドでセカンドを拾って折り返す。
阿部勇樹がブロックする。
寄誠庸がエリア内でこぼれ球に反応して左足ボレーシュート。
遠藤保仁がよく戻ってカバーした。

７１分、日本は本田圭佑→中村憲剛。
中村憲剛はそのままトップ下に入る。
もう少し「本田・森本」のコンビを見たかった。
二人とも動き出しの意識が以前より高かった。
共存できるかな？という希望を感じた。
もっと観察して確かめたかったですよね。

７３分、日本は遠藤保仁に警告。

残り１５分。試合が動き始める。

７５分、日本は中澤佑二が左に鋭くサイドチェンジ。
今野泰幸は縦にフィードを入れる。
大久保嘉人がスペースで受けて右足で中央に折り返す。
郭泰輝の足を掠めてコースが歪む。
岡崎伸二はゴール前で競る。
森本貴幸の足元にこぼれて押し込むだけ…。
と思ったら李正秀がぎりぎりでブロック。

７５分、韓国は寄誠庸→金甫�堯�
７６分、韓国は朴智星→李昇烈。
韓国の最終布陣はこうなる↓
−−−−−−−-朴柱永-−−−−−−−
−−金甫�堯檗�-李昇烈-−−李青龍−−
−−−−−金南一−−金正友−−−−−
−李栄杓−-李正秀−郭泰輝-−呉範錫−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−-李雲在-−−−−−−−

７６分、日本は長友佑都が右サイドからスローイン。
森本貴幸が急減速でマークを振り切って反転。
エリア右からミドルシュートを狙う。
ＧＫ鄭成龍の正面だった。

７７分、韓国のカウンター。
李青龍が右サイドから中に折り返す。
金甫�瑤�中盤でこれを受けると右サイドにスルーパス。
李昇烈はエリア右に走り込んで仕掛ける。
阿部勇樹がボールを奪い返す。長谷部誠は中盤へ蹴り戻す。
しかし金南一がいい出足でセカンドボールを奪還。
金甫�瑤箸離僖晃魎垢�らループシュートを狙う。
「山口素弘」を髣髴とさせる軌道だったけど…。
ＧＫ楢崎正剛がよく戻って掻き出した。

７８分、日本は遠藤保仁→駒野友一。
布陣はこうなる↓
−−−−−−−−森本−−−−−−−−
−−-岡崎−−−中村憲−−-大久保−−
−−−−−-阿部-−−長谷部−−−−−
−駒野−−-今野−−−中澤-−−長友−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−楢崎−−−−−−−−

８６分、韓国は呉範錫に警告。

８６分、韓国は李昇烈が左サイドから切れ込む。
李青龍とのパス交換から右に開く。
朴柱永がエリア右にゆるっとスルーパス。
李昇烈が小さい振りでシュートを狙う。
しかし中澤佑二が身体を寄せて当たりが弱い。

８６分、日本は大久保嘉人→矢野貴章。
日本の最終布陣はこう↓
−−−−−−−−森本−−−−−−−−
−−-岡崎−−−中村憲−−−矢野-−−
−−−−−-阿部-−−長谷部−−−−−
−駒野−−-今野−−−中澤-−−長友−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−楢崎−−−−−−−−

８９分、日本のセットプレー。
長谷部誠は「上がれ！」とＤＦを前に出す。
中村憲剛が短く横に出す。
長谷部は左サイドから右足で折り返す。
韓国の選手がブロック。
阿部勇樹がこぼれ球を拾って折り返す。
再び韓国ＤＦがブロック。

韓国は李栄杓がこぼれ球を左サイドで確保。縦にフィードを入れる。
金甫�瑤話翦廚粘袷乾侫蝓次�
ドリブルで持ち上がってエリア左にスルーパスを入れる。
朴柱永がいい動き出しで走り込む。
ＧＫ楢崎正剛が飛び出して朴柱永と交錯。
ぎりぎり抑えたと思ったけど判定はＰＫ。

９０分、日本は楢崎正剛に警告。

９０分、韓国は朴柱永がＰＫ成功。
＜韓国代表　２−０　日本代表＞

この失点は仕方ない。
日本はリスクを冒して攻める必要があった。
ただ韓国の若い選手は「アピール欲」が強い。
２点目を取る気が満々である。
日本の無理攻めが「カウンターの種」だった。

そのままタイムアップ。
日本は「最初と最後」の試合運びが拙かった。
観客の失望を誘う試合展開である。
ただ選手一人一人を追えば「収穫」もあった。

長友佑都のプレーは感動的だった。
朴智星とのマッチアップで完勝。
「これは厳しいだろう」というボールも悠々と競り勝ってしまう。
長友は朴智星から４，５回ボールを奪っているはず。
突破は１回も許してない。
逃げずに仕掛けてくる朴智星も男気があると思った（笑）
攻撃面を加味して評価すれば不足はあろう。
ただ右サイドで不慣れな部分があったはず。
彼ならロッペン、エトーに食い下がれると確信した。
大久保嘉人も良さが出ていたと思う。
彼は細かいプレーを要求すると良さが出ない。
しかしボールを追う、仕掛けるという部分は圧倒的である。
組織的な攻撃が機能しなくても彼は「個の打開力」がある。
長友や大久保、長谷部誠のように当たり勝てる選手は心強い。

本田圭佑は「可もなく不可もなく」だと思った。
相手のマンマークは苦にしてる様子がなかった。
ただもっと「傲慢」で良かった。
細かく動く、中盤に引くことで怖さは無くなる。
結果として危険なプレーが少なかった。
彼が前線で張るとボールは動くなくなるかもしれない。
でも本田の強さ、打開力が生きる。
あと岡崎慎司は孤立すると生きない選手ですからね。
本田圭佑との関係が築かれれば「１＋１以上」になるだろう。

日本の守備は十分だったと思う。
韓国の売りは中盤のタレント。
朴智星、李青龍、寄誠庸と「イギリス組」が圧倒的だ。
ただ今日の試合で彼らの持ち味は出ていない。
日本はプレスの連動性、バランスが大きく改善している。
「無理に突っ掛けて裏を取られる」悪弊も見られなかった。

課題は攻撃。
岡田武史監督は「戦術的な攻撃」「細かい崩し」を捨てた。
田中達也も外して明らかに本田中心の陣容である。
今日は機能しなかった。
李正秀、郭泰輝くらいは崩してもらわなきゃ困る！
ただ改善の余地は決して小さくない。
突き詰めると「最終局面でどう裏を取るか」の問題である。
岡崎慎司、大久保嘉人だけでは弱い。
今日はサイドバックの攻撃参加が少なすぎた。
ボランチも決定機に絡めていない。
「ここ」という場面にどう人数を掛けるか？
マークを分散させてフリーの選手を作るか？
要するに連携の問題である。

本田圭佑は周囲に要求できる選手だ。
カメルーン戦まで２０日。
周りとコミュニケーションを取る。
関係、共通理解を深める。
単純だけどそこに活路があると思う。
サッカーは「料理」である。
シェフの岡田氏は今まで時間をかけて「モツ」を煮込んできた。
でもメインディッシュとするには足りない…。
東アジア選手権で彼はそれを見切っただろう。
ちょうど新鮮な旬の魚が入荷した。
焼いたり煮たりする時間はもう無い。
となれば「刺身」で出すしかないですよね。
味は捌いてみてからのお楽しみ…。

韓国が言うほど良かったとは思わない。
車ドゥリ、金正友は「え？」というミスを連発。
朴智星も長友佑都に潰されるようでは大したことないな。
と負け惜しみを言ってみる。
韓国が凄いと思ったのは攻→守の切り替えだ。
危険な奪われ方をしても戻りが早い。
「ミスをした後のリカバリー」が圧倒的だった。


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