井口のフィリーズ残留に規則上の問題が浮上―。フィラデルフィアの地元紙「フィラデルフィア・インクアイヤー」紙の電子版は、5日付けで、井口資仁内野手の残留交渉を進めるフィリーズが、ルール上の問題に直面している、と報じた。同記事は、フィリーズは、ルール上の障害を解決すれば、井口資仁内野手の争奪戦の最前列にいくことができる、という書き出し。井口の代理人、ロッキー・ホール氏と球団は前日、オプリーランド・ホテルで複数年契約を前提に交渉を行い、公式に条件提示を行ったとみられている。井口は、二塁手として先発でプレーすることを希望して、他球団への移籍を考えていたが、実現には至っておらず、三塁手に転向し、先発することを条件としてフィリーズに残留することを再検討し始めた。現在は、両者が前向きに交渉を進め、最後の点検をする段階にまできているが、そこで、大きな問題が浮上したと伝えたもの。
 記事によると、フィリーズはシーズン終了後、井口を一旦、リリースしており、ルールによると、井口は、コミッショナーを通じてウエーバーにかけられないかぎり、フィリーズとは来年の5月15日まで再契約ができないことになっている。実際に、フィリーズは、1989年にスティーブ・レイク捕手をウエーバーにかけて獲得した過去の例を持っており、ホール代理人も、うまくいく可能性は「5分5分」とみているというが、更に悲観的な見方をしている関係者もいるという。
 フィリーズは、シーズン終了後、11月15日の期限までに井口との契約延長が合意に至らず、井口を放出。その時点でも井口に三塁手としての起用を打診していたが、井口側がそのオファーを拒否したため、交渉は不成立。井口はFAを申請した。しかしながら、現時点でも井口には正式なオファーがない、と同紙。ブリュワーズが興味を示しているが、内野手に空きがないという事情もある。前日33歳になった井口は、西海岸でプレーすることを希望しており、西海岸の球団が名乗りを挙げた場合は、フィリーズは競り負けることになる、とも伝えている。フィリーズは、井口を今年7月のトレードでホワイトソックスから獲得したが、アトレーが手の故障から復活するとベンチ要員となっていた。井口とフィリーズは、井口が日本で少ししか三塁を守った経験がないことから、昨シーズン中の三塁コンバートをためらっていたが、ギリックGMは、「私は恐らく大丈夫だと思う。うちの選手も、井口は三塁を守れると思っている」と来季の三塁転向に前向きで、ホール代理人によると、すでに日本に戻っている井口も三塁の守備練習を始めているという。
 三塁転向を条件に、再度、残留交渉のテーブルについた井口だが、今度はルール上の問題が障害になっているようだ。