元WBC世界バンタム級王者のルイス・ネリ【写真:Getty Images】

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騒動以来の復帰戦を飾るも、海外記者からは厳しい視線

 ボクシング元WBC世界バンタム級王者のルイス・ネリ(メキシコ)は6日にメキシコ・ティファナで行われたジェイソン・カノイ(フィリピン)戦で3回2分44秒TKO勝ちを収めた。3月の山中慎介(帝拳)とのタイトル戦前日計量で体重超過を犯し、6か月間の出場停止明けの一戦で、WBCバンタム級シルバー王者の座に就いたが、英国人記者は「ヤマナカ騒動払拭には程遠い」と指摘している。

 7か月ぶりにリングに戻ってきたネリ。しかし、“神の左”と呼ばれた山中氏の晩節を汚した行動は許されていないようだ。

「先週、ティフアナでルイス・ネリはジェイソン・カノイ相手に3ラウンドTKO勝ちを収めた。WBCシルバー・タイトルが懸かっていた。ネリはワールドクラスのファイターだが、ヤマナカ騒動を払拭するための道のりはまだまだ遠いのだ」

 こうツイートしたのは英専門メディア「ブリティッシュ・ボクサーズ」などで執筆するハイデン・ウィリアムズ記者だった。

 カノイを倒したネリだが、その問題行動の数々を英国人記者は忘れていなかった。昨年8月に山中の国内最多13連続防衛を阻んでいたネリ。試合前に行ったドーピング検査で陽性反応を示し、WBCから再戦を命じられた。3月の再戦は前日計量に5ポンド(約2.27キロ)超過し、試合前時点で王座剥奪に。WBCは一度無期限資格停止を言い渡したが、6か月間の資格停止に減刑されていた。

WBSSプロモーターも参戦要求を拒否していた

 今回、復帰戦にこぎつけたネリだが、ボクシング界では厳しい視線を向ける存在もある。WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が参戦するワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)のプロモーターを務めるカレ・ザワーランド氏が「THE ANSWER」の単独インタビューで、ネリ陣営の参戦要求を拒否していたことを明かしていた。

「彼はWBSSに参加したいと希望してきました。ですが、我々の答えは明確でした。ノーです。なぜなら、彼は十分ではない。信頼に値しないからです」とネリのスポーツマンシップに対する不信感を露わにしていた。復帰戦こそ飾ったネリだが、2度に渡る重大な違反行為で消えない十字架を背負ってしまったようだ。(THE ANSWER編集部)