日本経済界の訪中団が2016年9月、中国側に対して中国から撤退する際の手続きを簡素化するよう求めた。中国国内ではこの要請が「日本企業が中国から相次いで撤退する前触れではないか」と一時懸念が高まったが、こうした懸念は潜在的に中国が日本企業を含めた外資撤退を恐れていることの表れだと言えるだろう。(イメージ写真提供:(C)Iakov Kalinin/123RF)

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 日本経済界の訪中団が2016年9月、中国側に対して中国から撤退する際の手続きを簡素化するよう求めた。中国国内ではこの要請が「日本企業が中国から相次いで撤退する前触れではないか」と一時懸念が高まったが、こうした懸念は潜在的に中国が日本企業を含めた外資撤退を恐れていることの表れだと言えるだろう。

 中国メディアの財界網は26日、「日本企業の中国からの大規模撤退はあり得るのか」と疑問を投げかける一方、中国は日本との協業が必要であり、投資環境を整備し、各種手続きの簡素化を通じて「日本からの投資を呼び込む必要がある」と論じる記事を掲載した。

 記事は、中国では日本企業が撤退を発表するたびに大きな社会的注目を集めてきたと伝えつつ、中国経済が緩やかながらも安定した経済成長を目指す「新常態」の時代を迎え、歴史問題や領土をめぐる対立が顕在化すると同時に日本企業の対中投資は減少傾向にあると指摘した。

 また、中国から撤退する日本企業の数が増加傾向にあるのも事実だとしながらも、中国から撤退している日本企業は主に「労働集約型」の製造業であると指摘。こうした撤退の背後には中国における人件費の上昇や円安の進行といった要因があるとし、「一部で日本企業の撤退があるのは事実だが、これが大規模な撤退に発展する可能性は極めて低い」と指摘した。

 なぜなら、一部の日本企業が撤退すると同時に、別の新しい日本企業が中国に進出しているためであり、資本集約型の製造業や第3次産業の日本企業の撤退はあまり見られないためだと主張。中国で事業を展開する日本企業の経営の現代化に伴い、利益を伸ばす企業も増えていると伝えた。

 また記事は、「全体的に見れば、日本企業の大規模な徹底は起き得ない」としつつ、中国経済にとって日本企業は必要不可欠であり、中国はむしろ投資環境を改善し、日本企業の投資をさらに呼び込むための努力をすべきであると伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Iakov Kalinin/123RF)