ミランではシーズンを通じて主軸としてプレーした本田。しかし決して満足のいく結果ではなかった。(C) Getty Images

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 本田圭佑にとって、終わることのない挑戦が再び幕を開ける。優勝を公言して臨んだ2014年のブラジル・ワールドカップからちょうど1年――。もう一度、どん底から這い上がるための挑戦だ。ロシア大会の出場権獲得は絶対条件。当然のごとく本田は、その遙か先、世界の頂点に立つことを夢見ている。
 
「(ワールドカップ予選でさえも)そう簡単ではないでしょうね。Jリーグ組と、ヨーロッパ組のコンディションの差もある。それをできるだけ、ないようにして臨みたい。(ロシア・ワールドカップの)目標は同じ。変わらないです。そこに向かっていく」
 
 ミランでは今季、リーグ戦全38試合中、29試合に出場し6得点の成績だった。まずまずとも言える数字にも、決して満足はしていない。
「個人的な目標は、さらに上を掲げていましたからね。その目標の半分もいかなかった。悔しいですよね。CSKAモスクワ時代と変わらない数字を残してしまったのは、反省しないといけないところ。来季は、今シーズン以上に点を取らないといけないと思っている。精進しないといけないですね」
 
 向上心。それこそが、本田を支える「骨格」のようなものだ。6月3日に日本に戻ると、ほとんど休む間もなく、5日には海外組だけが集まって千葉県内で行なわれていた日本代表の合宿に合流した。
 
 自身三度目のワールドカップ・アジア予選に向け、コンディション作りに専念した。ハリルホジッチ監督率いる代表でも、ミランと同様にサイドでの起用になる。ザッケローニ監督の下では、不動のトップ下だったが“働き場所”の変化にも、柔軟に対応しつつあるようだ。
 
「ミランでも右サイドのアタッカーですからね。最近は、少し右サイドの景色に慣れを感じてきた。ようやく、ヒントが見えてきたんですけど、そこでシーズンが終わってしまった。何か(サイドの景色が)見えるのが、ちょっと遅かった」
 
 14年ブラジル大会のアジア予選。13年6月4日のオーストラリア戦で、本田は後半ロスタイムに1-1とする同点PKを決めて世界最速でのワールドカップ出場を引き寄せた。
 
 だが、1年前のワールドカップは1勝もできずに惨敗。今年1月のアジアカップも決勝トーナメント初戦のUAE戦で本田と香川がPKを外し、2連覇を逃した。この1年間は、日本中の期待を裏切ってきた。
 
 日本を再びワールドカップに導くのは最低限の使命だろう。世界の頂点に近づき、代表チームへの信頼を取り戻すために――。本田圭佑に課された使命は、とてつもなく大きい。