2011年2月10日、ミステリー作家・木谷恭介は自ら人生を終わらせるために断食の準備を開始した。5日間の減食期間を置いて、本格的に完全絶食の開始。2月15日の体重、50kg。このときの断食は、あの東日本大震災の3月11日を挟んで38日間続いた。木谷は自分が死に至るまでの記録を残し、死後に知人の助けを借りて出版することを考えていた。それが『死にたい老人』である。断食12日目、2月26日の記録にはこうある。――ぼくは50代