メリットだらけ!「ドラえもんの手」が実用化されると便利すぎた

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ドラえもんの丸い手はあくまでもデザインありきで、そこに“なんでもくっつく”という機能を無理矢理設定したものだと思っていた。事実そうだったのかもしれない。

ところが、あのなんでもくっつく丸い手は非常に合理性があるものだった。そして、近い将来実用化されるかもしれない。

球形のロボットアームが登場

エンパイア・ロボティクスというアメリカの企業は、ロボットアームの先端を開発している。

その企業が、1月6日から9日の期間にラスベガスで行われている世界最大規模の家電ショー『CES2015』に、まるでドラえもんの手そのものとも思える球形のロボットアーム『Versaball』を展示し、デモンストレーションを行っている。

下が、『CES2015』に先だって昨年10月に公開されていた『Versaball』の動画だ。

ジャミング転移という現象を活用している

かなり不思議な作用をしているように見えないだろうか。これは、粒状物質の『ジャミング転移』と呼ばれる現象を活用しているという。

緑のボールには砂のような粒状の物質が詰められている。この緑のボールに空気を入れると、ボールはやわらかくなる。その状態で、つかみたい対象物にボールを押しつける。そこで空気を抜くと、ボールの中の砂状物質は硬くなり、ボールは対象物をギュッとつかむ。

このロボットアームの特徴は、ボールだけで様々なつかみ方ができるという点だ。実は物体の形状によって、適したつかみ方というのは変わってくる。摩擦で保持したり、握力でつかんだり、突起部にひっかけたりという違いだ。この『Versaball』は、同じ仕組みを使いつつ、そのいずれもが可能だ。

将来のロボットはみんな手が丸くなる?

この『Versaball』の用途として考えられるなかで、まず大きなものは産業用ロボットだろう。これまで扱う部品に適したアームを使う必要があったものが、このボールだけで対応できるようになる。しかも、ある程度柔らかいものもつかめるし、対象物の形状も選ばない。

また、構造がシンプルであることもメリットになるだろう。例えば複数の指が独立して動く手を作ろうと思ったら、その指の数だけアクチュエーター(駆動装置)が必要になるが、これならボール1個で複数の指を持つ手のような働きをすることができる。コストの削減にもつながるはずだ。

なお、『CES2015』において、『Versaball』は来場者とテーブルゲームのビアポンを行うことになっている。下の動画が、その練習風景(?)だ。

『Versaball』はものをつかむだけでなく、投げることもできる。こう見てくると、将来の汎用ロボットアームはこの“ドラえもんの手”タイプが一般的になっていくかもしれないと思わせる。藤子不二雄あなどりがたし!

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【参考・画像】

※ Empire Robotics