「ディア・シスター」フジテレビ毎週木曜22時〜

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石原さとみの小悪魔っぽさが炸裂して、目が離せない「ディア・シスター」(フジテレビ木曜22時〜)。

10月16日放送の第1話では、床に色っぽく寝そべる石原さとみ、紫のストッキングの中にパンツを残した場面が出て来て、そのあと、白いキャミ(たぶんパンツはいてない設定)お姉ちゃん(松下奈緒)に抱っこの石原さとみ、生足むきだしでソファに寝転がる石原さとみ、バナナもぐもぐくわえる石原さとみ、お姉ちゃんの婚約者(平岡祐太)とベッドに入っている石原さとみ、黒いキャミソール(どのキャミも少女ぽいコットンな感じもいい)の石原さとみ・・・とこれでもかと妄想刺激ショットが登場した。

23日放送の第2話では、ソファにS字を強調して横たわっている石原さとみ、キャバ嬢になってお客さんに甘えまくる石原さとみ、浴衣で先生(田辺誠一)を誘惑、濃密キスする回想シーンの石原さとみ、棒付きキャンディーをなめる石原さとみ・・・と妄想刺激ショットはとどまるところを知らない。

清純そうなイメージだった石原さとみが、近年めきめき色っぽくなって、男をたぶらかす悪女のような役をやるようになってきた。言ってみたら、マグダラのマリア化(聖女だけど娼婦だったと言われてる)してきて、それがめっぽう魅力的だ。

石原さとみの成長が加速化しているドラマ「ディア・シスター」とは、どういうドラマなのか?  簡単に説明すると、高校時代にワケあって(先生との関係が原因らしい)、卒業後いなくなってしまったきり何年も音沙汰のなかった美咲(石原さとみ)が、突然戻ってきて、生真面目な姉・葉月(松下奈緒)の生活をかき回す。
まずは姉の婚約をぶっつぶすが、実は彼は女関係にだらしないとんでもないやつで、美咲はそれを知って、姉から引き離そうとしたのだった。

美咲は、子供の頃から、何かと姉の大切な節目をぶち壊してきたが、今回、「死ぬまでにしたい10のこと」を手帖に意味深に書いていて、その中に、姉の結婚を阻止すること、そして、新しい恋人を探すことが入っていた。
そんなよけいなことをなぜ、美咲はやっているのか? 正反対の姉と妹の確執を描きながら、ちょっとミステリーも盛り込んで、興味をそそる。

脚本は中谷まゆみ、演出、田中亮、平野眞、プロデューサーは中野利幸と、2013年にヒットした「ラスト・シンデレラ」チーム。
構成が単調でなく、巻き寿司のように、いろいろな要素を盛り込んでくるっとまとめている感じも、さすがベテラン脚本家だと思うし、なんといっても映像が凝っている。
特に、前述の石原さとみのグラビアンなカットの数々の徹底ぶりがすばらしい。

石原さとみは、期待に十二分に応えている。無邪気でだらしない感じを振りまきまくった後、手帖を見ながら、企みのある目つきをするところも完璧すぎるほど完璧だ。
石原さとみの、常に微妙に隙間が空いて何かを捉えて離さないようなもちっとした口元と対照的に、常にきゅっと結んでいる ガードの固そうな口元をもった松下奈緒を姉に配したのも絶妙だ(ふたりはダブルヒロイン)。

美咲と葉月を取り囲むキャラクターたちもいい。美咲が何かと頼り、いい友達と思っているゲイらしい永人(EXILEの岩田剛典)。彼もまた、肉体美を適度に見せてくれる。腹筋の割れが徹底して、腹斜筋までくっきりしているところを強調した着こなしは、いったい誰へのアピールなのだろうか。

美咲と高校のときに何かあったらしく、葉月もこの人のことを気にしているらしい先生に田辺誠一、葉月の行きつけのお店の店長で、彼女のことをそっと思っている男性役の平山浩行など感じのいいイケメンがばっちり配置され、眼福、眼福。

だが、それだけだと、ただの保守的なグラビアンとイケメンドラマになってしまうが、映像のトライアルもちゃんとある。

ケータイが生活の中になくてはならないものになっている現代、登場人物がしょっちゅうケータイでやりとりする中で、ケータイの着歴をリアルに映すのではなく、デザインされたビジュアルで見せて、画面に彩りをくわえている。
アイコンがでてきたり、特にLINE画面(のようなSNS)のやりとりなど楽しい。
永人が乗ったスケボーの裏側を映しているところなどもさりげに映像を楽しんでいて気持ちいい。

10月30日放送の第3話では、婚約破棄の一件がまだ尾を引いて、葉月を苦しめる。
いったい美咲は悪魔なのか、天使なのか。今週も妄想刺激ショットはあるのか。できれば、石原さとみのマグダラのマリア化、どんどん進行していただきたい。

ところで、美咲は、高卒で、資格もなく、ワードもエクセルも使えないため、就職先がなかなか見つからず、水商売をすることになってしまうのだが、美咲は、ロックされた他人のスマホをちゃっかり見ることもできるかなりデキル子。そんな才人が書類や面接で落とされちゃう状況って残念でならないです。
(木俣冬*イラストも)