ガンバ大阪が見せた交通安全への高い高い意識
日本で一番、安全運転教育に熱心なサッカークラブ・ガンバ大阪が、改めて交通安全への高い意識を見せつけました。
その意識の高さを見せつけたのは、11日にガンバ大阪から発表された所属選手が起こした交通事故のリリースにおいてです。このリリースでは、ガンバ大阪所属の元日本代表・二川孝広選手が、同日午前9時前頃に箕面市内でバイクとの接触事故を起こした旨が報告されています。
午前9時前に起きた事故について、当日の午後1時台にリリースを出すという迅速な動き。これは長年に渡り安全運転教育に取り組んできた、ガンバ大阪ならではの意識の高さによるものです。
過去にも何度か所属選手、関係者の交通事故があり、その報告を行なってきたガンバ大阪ですが、なかでも注目を浴びたのは2012年8月に起きた事故です。2012年8月11日にクラブスタッフが「駐車の際に壁と接触し、付近にいた警備員を負傷させる」という事故が起きたのを皮切りに、同月17日に所属選手が前方を走るクルマに追突する事故、さらに同月20日にクラブドクターが高速道路を走行中に横を走る車両と接触する事故とつづけざまに3件の交通事故が発生したのです。
10日で3件という交通事故のハットトリックにより、「交通事故報告」と題したリリースを発表する広報スタッフの仕事も洗練されていきます。それまでは、事故の内容や被害状況を報告したあとに、毎回違う文章で今後の対策などを記していたのですが、2012年8月のハットトリック事故以降は、文末に「関係各所に深くお詫びするとともに、再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組んで参ります。」という一文を添える簡潔な形に統一されます。
この文には、「いろいろな人、漏れなく全員にお詫びする姿勢」「再発防止策、およびその真剣さの明示」「選手・関係者の区別なく、クラブ全体を漏れなく対象とする姿勢」が簡潔に示されています。これにより、誰が、誰に対して起こした事故でも、この一文さえ添えておけば、美しく反省できるという完成されたお詫び文なのです。
ご覧ください。この美しいシメの一文。関係各位（関係各所）にお詫びし、再発防止に向けてクラブ全体で取り組むという決意表明の連打を。この完成されたお詫び文の前では「全然反省してな（以下略）」「事故多す（以下略）」「もう運転やめ（以下略）」などの言葉は、飲み込まざるを得ないでしょう。間違いなくお詫びしています。確実に反省しています。そのことは、この文からも明らかです。
しかも、これはコピペで添えているわけではないのです。「関係各位」と「関係各所」、「参ります」と「まいります」の微妙な表記の揺れにはコピペでは表現できないライブ感があります。さらに2014年4月11日の交通事故報告には関係各位へのお詫びがありませんが、これは当該の事故が「もらい事故」であったため。被害者の立場なので、お詫びの必要がなかったのです。これなども、コピペで報告しているわけではないことが、しっかりと示されている好例でしょう。もらい事故でうっかりお詫びしたら、のちのち保険とか裁判とかで揉めそうですからね。
ひるがえって、冒頭で参照した11日の交通事故報告をご覧ください。この報告でのシメは「ご迷惑をおかけした皆様に深くお詫び申し上げます。今後の事故再発防止に向けて、継続した安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。」と近年にないオリジナル文章が採用されています。
これはお詫び文の完成形を忘れた、広報スタッフの書き間違いでしょうか。いいえ、そうではありません。実はガンバ大阪は交通安全への意識を高めるべく、2014年6月9日に全スタッフを対象とした交通安全講習を行なっているのです。吹田警察署交通総務課の協力による交通安全講習は、スタッフの安全運転への意識を高めたはずでした。「今後の事故再発防止に向けて」「徹底した取り組み」となるはずでした。
しかし、実際にはその後も交通事故はやむことはなく、さらに2件の事故が起きてしまった。再発防止の取り組みが、吹田警察署交通総務課の協力が、活かされなかった。その辛さと痛みが、「ご迷惑をおかけした皆様に深くお詫び申し上げます。」という一段階重たいお詫び感となって表現されたのです。そして、「継続した」取り組みをしていくという一言を加えることで、今後も交通安全講習を実施していくことを密かな決意として表明したのです。
ほんの短いリリース文の中にも、交通安全を強く願い、それに向けて奮闘努力していく姿勢を示したガンバ大阪。この意識の高さ、Jリーグ各クラブのみならず、広く一般企業においても見習っていただきたいものですね。事故を起こさないのが一番ではありますが、起きるときは起きるのが事故ですからね。事故が起きてからの再発防止への意識も大切ですよね。
（文＝フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/）
その意識の高さを見せつけたのは、11日にガンバ大阪から発表された所属選手が起こした交通事故のリリースにおいてです。このリリースでは、ガンバ大阪所属の元日本代表・二川孝広選手が、同日午前9時前頃に箕面市内でバイクとの接触事故を起こした旨が報告されています。
＜ガンバ大阪による交通事故報告と題したリリース＞
発生日時：2014/10/11（土）9:00前
発生場所：箕面市内
概要：上記日時・場所において、弊クラブ所属・二川孝広選手が運転する自動車が右折合流をしようとした際に、手前車線を走行していた二人乗りのバイクと接触事故を起こしました。
この事故にて双方に大きな怪我はございません。
事故発生後、関係各所に連絡し、速やかに対応しております。
ご迷惑をおかけした皆様に深くお詫び申し上げます。今後の事故再発防止に向けて、継続した安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/2285/
午前9時前に起きた事故について、当日の午後1時台にリリースを出すという迅速な動き。これは長年に渡り安全運転教育に取り組んできた、ガンバ大阪ならではの意識の高さによるものです。
過去にも何度か所属選手、関係者の交通事故があり、その報告を行なってきたガンバ大阪ですが、なかでも注目を浴びたのは2012年8月に起きた事故です。2012年8月11日にクラブスタッフが「駐車の際に壁と接触し、付近にいた警備員を負傷させる」という事故が起きたのを皮切りに、同月17日に所属選手が前方を走るクルマに追突する事故、さらに同月20日にクラブドクターが高速道路を走行中に横を走る車両と接触する事故とつづけざまに3件の交通事故が発生したのです。
10日で3件という交通事故のハットトリックにより、「交通事故報告」と題したリリースを発表する広報スタッフの仕事も洗練されていきます。それまでは、事故の内容や被害状況を報告したあとに、毎回違う文章で今後の対策などを記していたのですが、2012年8月のハットトリック事故以降は、文末に「関係各所に深くお詫びするとともに、再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組んで参ります。」という一文を添える簡潔な形に統一されます。
この文には、「いろいろな人、漏れなく全員にお詫びする姿勢」「再発防止策、およびその真剣さの明示」「選手・関係者の区別なく、クラブ全体を漏れなく対象とする姿勢」が簡潔に示されています。これにより、誰が、誰に対して起こした事故でも、この一文さえ添えておけば、美しく反省できるという完成されたお詫び文なのです。
＜2013年以降、ガンバ大阪が発表した交通事故報告のシメの一文集＞
●2013年4月19日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組んで参ります。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/285
●2013年5月9日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組んで参ります。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/336
●2013年7月25日の交通事故報告、シメの一文
関係各位に深くお詫びするとともに、再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組んでまいります。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/553
●2013年10月18日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、今後の事故再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/782
●2014年3月2日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、今後の事故再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/1469
●2014年3月11日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、今後の事故再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/1497
●2014年4月11日の交通事故報告、シメの一文
今後の事故再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/1607
●2014年4月18日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、今後の事故再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/1629
●2014年7月20日の交通事故報告、シメの一文
関係各所に深くお詫びするとともに、今後の事故再発防止に向けて安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。
http://www.gamba-osaka.net/news/index/no/1938
ご覧ください。この美しいシメの一文。関係各位（関係各所）にお詫びし、再発防止に向けてクラブ全体で取り組むという決意表明の連打を。この完成されたお詫び文の前では「全然反省してな（以下略）」「事故多す（以下略）」「もう運転やめ（以下略）」などの言葉は、飲み込まざるを得ないでしょう。間違いなくお詫びしています。確実に反省しています。そのことは、この文からも明らかです。
しかも、これはコピペで添えているわけではないのです。「関係各位」と「関係各所」、「参ります」と「まいります」の微妙な表記の揺れにはコピペでは表現できないライブ感があります。さらに2014年4月11日の交通事故報告には関係各位へのお詫びがありませんが、これは当該の事故が「もらい事故」であったため。被害者の立場なので、お詫びの必要がなかったのです。これなども、コピペで報告しているわけではないことが、しっかりと示されている好例でしょう。もらい事故でうっかりお詫びしたら、のちのち保険とか裁判とかで揉めそうですからね。
ひるがえって、冒頭で参照した11日の交通事故報告をご覧ください。この報告でのシメは「ご迷惑をおかけした皆様に深くお詫び申し上げます。今後の事故再発防止に向けて、継続した安全運転教育の徹底をクラブ全体で取り組みます。」と近年にないオリジナル文章が採用されています。
これはお詫び文の完成形を忘れた、広報スタッフの書き間違いでしょうか。いいえ、そうではありません。実はガンバ大阪は交通安全への意識を高めるべく、2014年6月9日に全スタッフを対象とした交通安全講習を行なっているのです。吹田警察署交通総務課の協力による交通安全講習は、スタッフの安全運転への意識を高めたはずでした。「今後の事故再発防止に向けて」「徹底した取り組み」となるはずでした。
しかし、実際にはその後も交通事故はやむことはなく、さらに2件の事故が起きてしまった。再発防止の取り組みが、吹田警察署交通総務課の協力が、活かされなかった。その辛さと痛みが、「ご迷惑をおかけした皆様に深くお詫び申し上げます。」という一段階重たいお詫び感となって表現されたのです。そして、「継続した」取り組みをしていくという一言を加えることで、今後も交通安全講習を実施していくことを密かな決意として表明したのです。
ほんの短いリリース文の中にも、交通安全を強く願い、それに向けて奮闘努力していく姿勢を示したガンバ大阪。この意識の高さ、Jリーグ各クラブのみならず、広く一般企業においても見習っていただきたいものですね。事故を起こさないのが一番ではありますが、起きるときは起きるのが事故ですからね。事故が起きてからの再発防止への意識も大切ですよね。
（文＝フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/）
