By Tjebbe van Tijen

携帯電話などのモバイル無線通信に関する国際団体である「Cellular Telecommunications and Internet Association(CTIA)」が、盗難されたスマートフォンのデータベースシステムを完成させたと11月27日に発表しました。スマートフォンの盗難は近年アメリカで解決するべき重大事項とされているのですが、CTIAはこのデータベースを活用することで国際レベルでの犯罪被害が減少すると見ています。

CTIA - The Wireless Association
http://ctia.org/media/press/body.cfm/prid/2303

CTIA Says Stolen Phone Database Is Complete (Phone Scoop)
http://www.phonescoop.com/articles/article.php?a=13269

Stolen smartphone database is complete, says CTIA | The Verge
http://www.theverge.com/2013/11/27/5153694/stolen-smartphone-database-is-complete-says-ctia

CTIAによると、このデータベースには、アメリカの携帯電話キャリアだけでなく、世界中のあらゆる携帯電話キャリアも参加することができるとのこと。CTIAのスティーブ・ラージェントCEOは、「盗難スマートフォンの問題は、通信回線供給事業者にとって非常に重要な問題であり、世界中のキャリアがこのデータベースに参加し盗まれたスマートフォン端末の情報を登録することで犯罪被害がより少なくなるはずです」と語ります。

By Alexander Rentsch

実は、スマートフォンの盗難問題は近年、アメリカの各州で解決するべき重大事項とされ、すでに盗まれたスマートフォンの情報を登録するデータベースが稼働されています。しかし、このデータベースが扱う情報はアメリカ国内の盗難情報だけであり、窃盗団がスマートフォンを海外で取引するのになんら支障がないため、国際的に広がる盗難スマートフォンの問題に対して実効性がありませんでした。

これに対して、CTIAの完成させたデータベースシステムは、アメリカのみならず世界中の通信キャリアが参加することができるため、世界的規模で盗難スマートフォンの情報を共有することが可能です。このデータベースを活用し、通信キャリアが盗難されたスマートフォンとの回線契約を拒否することで、盗難スマートフォンの市場価値が世界中で著しく低下し、ひいてはスマートフォンの窃盗被害が減少するのではないかと期待されているのです。

By jairoagua

そもそも、スマートフォンを遠隔操作することで第三者に無断利用されないようにロックをかける専用アプリはすでに開発されており、このアプリを利用することでユーザーは自発的にスマートフォンを盗難された場合に対処することは可能でした。例えば、iOS7には、権限者の許可なしにスマートフォンを利用できないようロックをかける機能が備わっています。しかし、この種のアプリによる機能制限は、腕利きのハッカーであれば回避することが可能であり、逆に盗難被害にあっていないスマートフォンを遠隔操作で利用不能にするなど悪用される危険を伴います。

今回のデータベースに世界中の携帯電話キャリアが参加し、盗難されたスマートフォンの情報が共有され、またそのような盗難スマートフォンとの通信契約を拒否するという運用がなされれば、違法に取引される盗難スマートフォンの数は大幅に減少することが予想されます。ただし、CTIAの盗難スマホデータベースが実効性を持つためには世界中の携帯電話キャリアによる積極的な参加が必要であるところ、万一の盗難被害に備えた「保険サービス」を提供しその収入をあてにする携帯キャリアも多いことから、世界中の携帯電話キャリアの足並みがそろうかどうかは不透明だと言えます。