研究結果:「母の力」はインスタントメッセージでは伝わらず
インスタントメッセージは手軽で便利ではあるが、大切なものを置き去りにしてしまうのかもしれない。
例えばテストでストレスが溜まった娘が母親と会話すると、ストレスホルモンは下がり、癒しホルモンが上昇する。しかし、インスタントメッセージを使用した場合は何も起こらない。神経生理学的な測定を行った研究によると、インスタントメッセージはまったくコミュニケーションを取らないのとほぼ同じだそうだ。
セルツァー医師のチームは過去の研究において、電話であっても対面であっても、母親と会話すれば、同様のホルモン反応を発生させることを明らかにした。ストレスに関係するとされるコルチゾールが下がり、快楽に関係するとされるオキシトシンが上昇するのだ。
『Evolution and Human Behavior』の2012年1月号で発表された 最新の研究では、癒しの源を特定することを目的としている。母の言葉の内容が源になっているならば、コミュニケーション手段はまったく関係がないことになる。また、母親の声に何か秘密があるかもしれない。
セルツァー医師の疑問は、「声のトーンや特徴を消し、メッセージの内容だけ残したかたちでも効果が表れるのだろうか」ということであった。
研究チームは、事前に調査した結果、家族との関係に極端な問題がなく、母親との関係が良好な 7〜12歳の少女64人に参加してもらい、研究室でストレスを発生させる状況を経験してもらった。よく知らない3人の大人が表情を変えずに見つめるなか、難しい数学の問題を解くというものだ。
テストが終わると、少女たちは4つのグループに分けられた。1つはまったく母親と話さなかったグループ。ほかは電話で話したグループ、直接話したグループ、インスタントメッセージで会話したグループだ。研究チームは、コレチゾールとオキシトシンの量を測定し、テスト前の測定と比較した。
期待どおり、直接であれ電話であれ、母の声を聴いた少女たちは癒されていた。しかし、インスタントメッセージを利用した少女たちのホルモンはほとんど変わらなかった。いくら母の言葉でも画面上に現れる場合では、癒しの力が失われるようだ。
セルツァー医師によると、この結果は、母が何を言ったかということよりも、母の声自体(韻律学として認知されてきたトーンやイントネーション、リズムなど)に、癒し効果があるということを示しているそうだ。
しかし、インスタントメッセージで会話力学が変わったという可能性もある。娘の声を聞いた母親の方がストレスを検出しやすく、対応しやすいということかもしれない。画面上での「大丈夫だよ」はかなり表面的な発言であるが、声に出したとすれば、まったく違う感覚を伝え得る。
「インスタントメッセージ上でたくさん絵文字を使ったところで、直接会話するだけの効果は得られないのです」とセルツァー医師は締めくくった。
引用:『Instant messages vs. speech: hormones and why we still need to hear each other.(チャット対会話:ホルモンが語る会話の必要性)』著者:レスリー・セルツァー、アシュリー・R・ポロソスキー、トニー・E・ジグラー、セス・D・ポラック
TEXT BY BRANDON KEIM
PHOTO BY ANDREWFlickr
TRANSLATION BY GMOスピード翻訳/岡本奈央「研究結果:「母の力」はインスタントメッセージでは伝わらず」の写真・リンク付きの記事はこちら
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