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「アデランスは誰でしょう?」のCM効果はどうだったのか?


■クイズ形式の2段階構成が大注目の成功要因か?


先日まで放映されていたアデランスのCMをご存知だろうか。


新庄剛志、東幹久、山口智充の3人のうちアデランスのウィッグを着けている人は誰でしょう?という予想クイズ、そしてそのアンサーの2本立てのCMであり、男性用オーダーメイドウィッグ「ADERANS HAIRCLUB RF-1」の広告・宣伝の一環として放映された。


テレビCMの他、公式サイトにはCM動画の視聴やクイズ回答の投票・応募、Twitterとの連動など話題を集めそうな多くのコンテンツが用意され、クイズの正解者の中から抽選で10名に100万円が当たるキャンペーンも同時に実施されていた。

では、このキャンペーンブログではどのぐらい注目されていたのだろう?「アデランス」に関する話題量をさぐり効果測定を試みたいと思う。


「図表入りの記事はこちら」

このCMは「アデランスは誰でしょう?」と問いかける篇(1/5〜24)と、クイズの正解として、ウィッグを外して丸坊主となった新庄が登場する「アンサー篇」(1/25〜31)の2段階の構成になっていたため、前半(CM放映開始から正解発表までの期間)と、後半(正解発表後)に分けて見てみたいと思う。


前半の話題量はCMが放映されていなかった12月の約4倍に伸び、さらに後半は前半の約3倍にまで膨らんだ。後半はアンサー篇の意外性やインパクトが話題伸長に大きく影響したと思われるが、下記のような前半にコメントされた内容も見逃せない。


・「答えが知りたくてサイトをのぞいてみたら、なんとクイズになってました」
・「宝くじみたいで楽しいので、とりあえず応募してしまった・・・当たるかな」


上記のように、前半にCM関心層を拡大し、webに誘導させ、クイズを通じた参加型で正解発表までの長期間興味を持続させる。といった後半に繋がる土壌を作れたことも後半の話題性アップに大きく貢献したと言えそうだ。


いずれにしても、このような2段階構成でCMを放映した1月は、前月や前々月の話題量は過去2年間のアデランスに関する書き込み数においても最高値をマーク。人々の関心の高さがうかがえ、話題性の面だけ見ても大きな効果があったと言えそうだ。


また、注目度の高さから推察するに、このCM効果の余波は大きそうだ。


例えば、多数のサイト訪問者を獲得したことで、正解したい、正解を見たいという興味意識を持って動画を見ることで、いつの間にか商品認知だけでなく商品理解まで進み、ブランドやカツラを利用することに対する好感度のアップも考えられる。



■楽しい怪しさが、従来のカツラCMイメージを打破した?


ところで、このCMのどのようなところがヒットに繋がったのだろう?CMについて語られているブログを抽出し、その印象を探ってみた。



「図表入りの記事はこちら」

特筆すべき特徴としては、「楽しい・面白い」などポジティブ系の言葉以上に、「怪しい・変な」などネガティブ系の言葉が語られていたことだ。書き込みをみると


・「変な振り付けとツラッとしてる3人が印象的で、たまに振りを真似してました」
・「メイクが変なのか映像が変なのか、気持ち悪い顔でなんなのっ!て感じなのに面白い」
・「あの怪しい踊りがなんともたまらないですよね・・・」


と、このネガティブ系の言葉も興味を喚起するポイントになっていたようだ。


これまでアデランスのCMでは「電話してね」と、TV CMからコールバックを促す「ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)」タイプの広告を活用していた。
しかし、この「怪しくも・楽しい」CMは、webコミュニケーションを巧みに介すことで、クロスメディアを活用した新たなダイレクトマーケティングの展開がされていたのかもしれない。


今後、アデランスがターゲットの層にどのようなアプローチを取っていくのか、注目される。




(高宮真琴)




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