金田朋子 結婚14年目に夫に告げた苦しさ「僕が夢を諦めれば」の提案も「夫婦が人生をまっとうするため離婚を選んだ」
声優・タレントとして活躍する金田朋子さん(53)が、2024年、家族3人の仲睦まじい写真とともに発表した「戸籍上の婚姻関係の解消」は大きな注目を集めました。「家族には幸せでいてほしい」と金田さん。「家族の形を変える」ことは、元夫と何度も話し合ったうえでのハッピーな選択だったそうです。
【写真】離婚を公表し「新しい家族の形」を発表した当時の想いが詰まった家族写真(9枚目/全11枚)
結婚生活14年目の突然の告白に、夫は…
── 何事にも120%全力投球の金田さん、明るくて元気をもらう人も多いと思います。もともとは楽しくのびやかに生きることを大切にされてきたと伺いました。
いっぽうの元夫でアスリート俳優の森 渉さんは、目標に向かってストイックに走り続けるタイプの方だと伺いました。お友達の誕生会で出会い、その後、結婚、出産とライフステージが変わることで、少しずつお互いの大切にしていることの違いを感じるようになったそうですね。
金田さん:はい。結婚生活は14年ほどでしたが、いつもストイックなパパを私は応援しながら笑ってついていこうと走っていたと思います。しかも、ふたりとも娘が大好きで、120%頑張って愛情を注ぎたい。ただ、こればかりはどうしようもないのですが、頑張り方や娘に対する愛情のかけ方が全然違っていることに次第に気づいてきて。
パパは自分でも勉強し、しつけや運動など、子どもの成長のために自分も努力を惜しまない。いっぽうの私は、いつも楽しくハッピーな気持ちで接していければ、それでいいと思っていたんです。
お互い違う人間なので、価値観や考え方は違って当たり前。自分のなかでうまく調整ができればよかったんですけど、もともと不器用なのに、娘のこと、お仕事や家庭のこと、15年前から続けているマラソン、「近代五種競技の日本代表としてオリンピックに出場する」という夢、全部に対して「頑張らなきゃ」と気を張りすぎてしまって。「もう無理だ。今の状況を変えないといけない!」と強く思いました。
きっかけは、急にエンジンが止まったような状態になってしまったこと。その瞬間、「離婚したいかも」と口にしていました。ただ、正直、言った記憶がないんです。そのくらい、いっぱいいっぱいだったんだと思います。
「どういうこと?」とすごく驚いていたけれど、私のそのときの状態と正直な気持ちを話したら、「そうだったんだ」って受け止めてくれました。
── 森さんに「離婚したいかも」と伝えるまでいろいろな事情があったのですね。
金田さん:相談して「みんなが笑顔でいるためにはどうすればいいか」、何度も話し合いました。「僕が夢や目標を持つことをやめて、ママに寄り添うことができれば、このままの家族の形でいられるのかな?なんとかできないかな?」と言ってくれたんですけど…私もパパの性格をよく知ってるんです。
私は、とにかく「イエーイ!」って楽しく生きてきたけれど、パパは常に大きな夢や目標を持って生きてきた人。夢や目標のために頑張れるからこそ、最期を迎えるときに「自分の人生、マジでよかった」って思える人なんです。
ずっとその生き方で走り続けてきた人だから、結婚生活のために夢や目標のない人生に変えてしまったら、パパらしい最期を迎えられなくなると思いました。
夫婦が人生をまっとうする選択が「離婚」だった
── 森さんのことをよく理解されているんですね。
金田さん:はい。そして、パパも私の性格を知り尽くしてくれています。そんなパパにはいい人生を送ってほしいし、私も自分らしい、いい人生を送りたいと思うんですよね。そして、娘に対してもそう思っています。
娘はふたりの笑顔が大好きなんです。でも、パパが自分に嘘をついて夢や目標を諦めて笑顔になるのは違う。私も、たとえ笑顔でも、それが取り繕った笑顔だとしたら娘は全然、嬉しくない。
だから、「どうすればみんなが本当の笑顔でいられるか」を一生懸命考えて話し合った結果が、戸籍上の婚姻関係を解消して、家族の形を変えることでした。自分たちの人生をまっとうして、娘に対してはそれぞれの形で120%愛していく、というものです。もちろん家族愛ではあるんですが、もっと広く「人間愛」というのかな。
── それぞれの人生を大切に、自分に合った形で娘さんに愛情をかけていくことを決めたんですね。
金田さん:もちろん、子どものために離婚をしないという選択もあると思います。ただ、何が正しくて間違っているかわからないし、そもそも私は嘘がつけないので、その選択をすると、「ママ、幸せそうじゃないよ」と、すぐ娘にバレる気がしたんです。
ふたりとも娘を120%愛していることが伝わることがいちばん大事だと思いました。そこにたどり着くまでに、たくさん時間をかけて話し合いました。
── 娘さんにはどう伝えたのですか?
金田さん:娘には、「パパとママは今こういう気持ちで、家族の形が変わるかもしれないんだけど、どうかな?どう思う?」とまず相談しました。以前から、どんなに小さなことでも家族で話し合うことを大事にしてきたし、離婚のことも、娘と話し合ったほうがいいと思いました。
ただ、娘に話す前には、悲しませないように、不安にならないように、自分たちの気持ちをどんな言葉でどう伝えたらいいか、時間をかけて話し合いました。ふたりの関係性が不安定なまま娘に話すのは避けたかったので、「もう大丈夫だね」と思える状態になるまで、本当に時間をかけて話しました。
そんなふうにして娘に伝えると、娘は、「大丈夫だよ。パパもママも私のことが大好きってわかるから」と言ってくれました。私はあらためて、「この子のことを愛していこう」と思いました。本当にありがたかったです。
── 現在、親権は金田さんがお持ちなのですか?
金田さん:はい。でも、親権って法律上の問題だと思っていて、親権を持っていても愛がなかったら意味がないし、形にこだわりすぎていたらおかしな話になっちゃうとも思っていて。親権は持っていても、「すべて私が」という気持ちはまったくないです。どっちでもいいのかなというのが正直な気持ちです。
家族の間でお互いの幸せを願う関係性が築けていたら、夫婦とか戸籍といった形はこだわらなくてもいいのかなとも思っています。
パパに別のパートナーが見つかったときは
── 現在、森さんに対してはどんな思いですか?
金田さん:パパにはいい人生を送ってほしいと思っています。私もいい人生を送りたいし、みんな自分らしく生きて笑顔であってほしい。
私がいちばんつらかったのは、「離婚したいかも」と打ち明けたときでした。でも突然、それを言われてすごくショックを受けていて、そこからがすごくつらかったと思うんです。すごく責任感の強い人で、「ママのしんどさに気づけなかった」「家族を幸せにできなかった」と、自分を責め続けていたと思います。
仕事でも、『最強スポーツ男子頂上決戦』という番組で「パワーウォール」競技に出たときは、自分の後ろには私と娘がいると想像しながら、私たちを守る思いで、必死で大きな壁を押していたそうなんです。それくらい家族を愛してくれているパパで、オリンピック出場の夢も、「家族に今まで見たことのない景色を見せてあげたい」という思いからきているようで。今回の離婚のことでもたくさん支えられましたし、幸せを心から願っています。
── 森さんの夢には「ご家族のために」という思いも込められているんですね。
金田さん:そうなんです。オリンピックを目指していることを私は尊敬しています。あの年齢(現在43歳)からやろうとすることってすごいと思いませんか?向上心が本当にすごいのと、本当にまっすぐな人なんです。娘に自分の背中を見せて教えたいと頑張っているんです。
結婚すると、生活がすべて一緒になるじゃないですか。でも、家族の形を変えてからは、娘に対しては一緒にそれぞれの形の愛情を注いでいます。娘への独特な愛情表現(笑)、私は素敵だと思っています。私にはできない愛情表現です。娘もそれをちゃんとわかっていて、それをしっかり受け取って頑張っています。でも、子育て以外は別々という考え方でいます。だから、今はパパのことで知らないことも増えました(笑)。
たとえば、私が15年前から本格的に始めたマラソンの練習ですが、頑張った後、ご褒美としてお酒を飲みたいなと思っても、パパはトレーニング後にお酒を飲むと、翌日体に疲れが出るということで、一緒にお酒を飲めない。そんなことを寂しいなと思う自分がいました。ただ、そこまで追い込んで頑張るパパの夢を全力で応援したい自分もいて。
結局、小さなことの積み重ねなのですが、パパには頑張ってほしいけど、自分らしさも大事にしたい。考えていることが全部顔に出ちゃう不器用な私には、その両立がもう難しいと思ってしまったんですよね。
もしパパの支えになるような別のパートナーが見つかって、人生がよりよくなるなら、もちろん応援します。私にはできなくても別の人にできることで幸せになれるなら応援したいです。
私ももしかしたら別の人生があるかもしれないし、それぞれが自分らしく幸せならいいのかなと。みんなにはハッピーでいてほしいから、束縛することも自分の考え方を押しつけることもしたくない。離婚はそう考えて出した結論だし、実際、今の形が最適だと思うんです。
結婚したことで、私は何か目標に向かって努力し、それを叶えたときの達成感のすばらしさを教えてもらいました。とても感謝しているし、多くを学べた14年の結婚生活は、私にとって財産です。
取材・文:たかなしまき 写真:金田朋子

