記者会見で謝罪する本多理事長(15日、福島県いわき市で)

写真拡大

 いわき信用組合(本店・福島県いわき市)は15日、旧経営陣が大口融資先に10億円超の迂回(うかい)融資を行っていたと発表した。

 この不正融資に加え、旧経営陣は元職員の横領を隠蔽(いんぺい)していたことも判明。同日設けた弁護士らによる第三者委員会で調査し、関係者の刑事告訴などを検討する。

「SNSに投稿」上部組織から連絡受け調査

 同信組によると、迂回融資は2008年7月頃から11年頃まで、いわき市内の1社に対して行われた。同社の赤字補填(ほてん)を目的に、同社の役員や親族ら個人名義を使って融資を迂回させていた。不正融資額は分かっているだけで10億円を超えるという。

 このほか同信組では、14年7月に当時の支店係長がギャンブルのために約4500万円を横領。発覚後も旧経営陣が隠蔽した。09年6月頃には当時の支店次長が金庫内の現金約20万円を着服したが、当時の支店長が本部に報告しなかった。

 先月初めに上部組織の全国信用協同組合連合会から、SNSに「不祥事を隠蔽している」との投稿があると連絡を受け、内部調査を進めていた。隠蔽に関与したとして、江尻次郎会長は1日付で引責辞任した。

 記者会見した本多洋八理事長は「発生時の事情を知る者が退任、退職していく中で、次第に『不正』を感知するのが難しくなった」と述べて陳謝した。