道交法改正についてのビラを配る警察官(10月28日、岐阜市で)

写真拡大

 自転車の運転中にスマートフォン(スマホ)を手にして使用する「ながらスマホ」が絡む交通事故について、岐阜県警が、県内の過去5年分を調べたところ、交通事故を起こしたり、車と衝突するといった交通事故に巻き込まれたりした当事者は、全員が中学生・高校生だということがわかった。

 今月1日から改正された道路交通法では、自転車の「ながらスマホ」も罰則の対象となったこともあり、県警では注意を呼びかける。(林昂汰)

10歳代ばかり

 県警交通企画課によると、2023年の自転車が関連する交通事故は472件あり、車と衝突したり、用水路に転落したりするなど計8人が死亡している。

 同課のまとめによると、19年から23年までの過去5年間で、「ながらスマホ」の自転車の運転者が、交通事故を起こしたり、巻き込まれたりするなど当事者となったのは計10件あり、すべて中高生だったことが判明。中でも23年は、13歳が1件、16歳が2件、17歳が2件の計5件と突出。計10件では死者はいなかったが、2件で自転車の運転者が重傷を負うなど深刻な状況だ。

 県警交通企画課の成原健司次席は「被害者にも加害者にもならないよう気をつけて」と警鐘を鳴らす。

改正を周知

 今回の道交法改正で、自転車を運転しながらスマホを手で持って通話したり、画面を注視したりする行為が新たに禁止された。違反すると6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となる。事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。

 改正を受け、岐阜中署などは10月28日、岐阜市神田町の交差点で、自転車を運転する高校生や市民に、どのように改正されたかを伝えるビラなどを配ったり、「自転車のながらスマホ罰則強化」と書かれた大きな紙でPRしたりした。同署の伊藤健二・交通1課長は「自転車は車両の一種。ルールは厳しくなるがマナーを守って安全運転に努めてもらいたい」としている。

酒気帯び運転も

 「ながらスマホ」に加え、自転車の酒気帯び運転や、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対しても、新たに罰則が整備された。違反者本人と自転車の提供者には3年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒類の提供者や同乗者には2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。

 養老署は今月3日、酒気を帯びた状態で自転車を運転したとして、養老町の20歳代男性を摘発。改正後、初めての摘発で、県警は今後も、自転車の酒気帯び運転などに目を光らせる方針だ。