Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

10月末に発売さたノイキャンヘッドホン「Soundcore Space One Pro」。AnkerのサブブランドSoundocoreの新アイテムで、日本での価格は2万6990円。

米Gizmodo編集部がさっそく使ってレビューしました。感想は「ポテンシャルはあるのに…」だそう。完璧!というには、何かが足りません。

ポテンシャルはすごいのに…って思うこと、ガジェットを扱っていると結構あります。今回レビューしたSoundcore Space One Proがまさにそれ。バッテリー持ちよし、操作性よし、音よし。なのにノイキャンが弱い…。完璧!って太鼓判押せるポテンシャルは高いのにおせない、このもどかしさ…。

デザイン:バンドがゆるい

Soundcoreのフラッグシップヘッドホンって、デザインが普通なんです。ここでいう普通とは、奇抜さや個性がないという意味。パッと見でわかる特徴はありません。プラスティックのボディとイヤーカップについたロゴ、厚めのイヤーフォーム。強いていうなら、このロゴくらいしかポイントないのですが、そのロゴすらも控えめなデザイン。別にこれが悪いという話ではなく、デザインが普通でも作りがしっかりしてくれていれば問題まし。

それで言うと、中価格帯のヘッドホンとして、Soundcore Space One Proの作りはしっかりがっしり。折りたたむめるので、持ち運びにもよし。

Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

公式いわく「感動のフィット感を叶える独自構造」だというヘッドバンド。日常使いしていて思ったのは、ずれるということ。ニューヨークの街は早歩きではありますが、それにしてもゆるい、ずれる。歩きながら音楽聴いていると、頻繁にズレを調整する必要がありました。これ、ヘアスタイルによってはくずれちゃうので致命的。あここれレビューしていますが、ヘッドホンのヘッドバンドがゆるいのは稀だと思いますけど…。

一方で、ゆるいフィット感は圧迫感がなく長時間使用でも快適ととることもできます。動かないで使用する人なら、あるいはプラスに働くかもしれません。

操作性:物理ボタンしか勝たん

最初にヘッドフォンのボタンの役割を確認する必要はあるものの、一度頭に入れて仕舞えば非常に扱いやすいと感じました。右イヤーカップに音量ボタンがあるのうれしい。イヤーカップをスワイプするタイプの操作も最近は増えていますが、結局、物理ボタンには敵わないんですよね。

同じく右イヤーカップには、再生、停止、通話に使えるボタン、左イヤーカップには電源とモード切り替え(ノイキャン/外音取り込み)ボタンあり。

Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

こんだけボタンがあると困惑しない?と思いますが、ここがデザイン力。ボタンそれぞれの大きさや手触りが異なるので、一度認識すれば非常に使いやすいんです。たとえば、音量調整ボタンは細長く、指先で揺れるだけでも再生ボタンとの違いがわかります。左の電源ボタンは、電源アイコンがある上にぷっくりしているので、モード切り替えボタンとの違いは明らかです。

サウンド:アピールしすぎたANC

(Soundcore Space One Proのノイキャンは、ウルトラノイズキャンセリング 3.5ver.。ウルトラノイズキャンセリングとは、ANCをAnker独自に進化させたもの。本記事では便宜上、ANCと呼びますね)

音は好みがわかれます。あくまでも私の好みになりますが、デフォの音はちょっと重たい気がします。が、Soundcoreの専用アプリがあるので、ここで自分好みに調整すればいいだけのお話。私は高音を強めにするプリセットを選択しました。

基本、低音が効いたプロファイルだと思いますが、アクティブノイキャン(ANC)ボタンを2度押しすると、さらに低音ブーストできます。これ、ソニーのUlt Wearみたいですね。低音好きかどうかによるのでしょうが、個人的にはブーストするとズンズンがきつくて頭痛がきそう…。ただブーストするだけで、音のクリアさやディティールの調整は甘いように感じました。ジムでガンガンにワークアウトするときならいいのかも。

プリセットもかなりの数準備されていますが、どれも名前通りわかりやすいシンプルな調整だと思います。たとえば、ポッドキャスト設定だと中音強化されます。個人的に好きだったのは、クラシカル設定。曲本来のありのままという印象をうけました。

ANCは4つのステージで実現。まず、最初にノイズを感知、次にそのノイズをフィルタリング、その後リアルタイムでノイズを低減させ、その結果ノイキャンを強化。タイトル&冒頭でノイキャンがいまいちと触れましたが、決して悪くはないんです。いいんです。ただ、Anker公式が仰々しくアピールするほどよくはないというだけ。普通です。でも、最高ではない。これ、マーケティングと実物のギャップで不利に働いているケースかと。

地下鉄構内を歩けば、音が消えはしませんが低減はされます。通話中なら、相手の声がオフ時よりはクリアに聞こえはしますが、通話相手以外が世界から消えたほどの静けさはもありません。その他、オフィスや街中、家での使用では、ほぼ期待通りにノイズが消えていました。なので、やっぱりノイキャン性能は普通。思った通り、それ以下でも以上でもない。

バッテリー持ち:よき!

バッテリー持ちは最大60時間、ANC発動で最大40時間。ヘッドホンではだいたい30時間から40時間が多いので、これはかなり長いほうになります。クイック充電機能搭載で、5分チャージで8時間使用できるのも嬉しい。

同時に2台接続できるマルチポイント接続に対応。AI機能で、会話を検知するとヘッドフォンのボリュームを下げてくれる機能も気が利いています(専用アプリからONにしておく必要あり、デフォルトはOFF)。これ、AppleもAirPods 4で似た機能を採用していますね。

総評:バンドのゆるさとノイキャンの甘さが気になる…

Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

ANCは、ノイズ除去というより低減。うるさい場所では、ANC発動しても通話の声が聞き取りにくいこともありました。フィットがゆるいのは、正直、かなり気になります。個人差があるので全員に当てはまることではないでしょうが、バンドのズレを頻繁に調整するのはかなりストレス。音自体は、専用アプリで好みを見つければ、明るく空気感のあるサウンドは非常に好印象。基本はベース重めと思っていてOK。操作は物理ボタンのデザインでとっても楽。

いいところと悪いところを天秤にかければ、いところのほうが多いですが、悪いところ(特にバンドのゆるさ)の種類がよくない。これがハマる人には、たとえ欠点が1つであっても致命的。

いいところ:タフな作り、直感的で物理的な操作性、リッチで空間を感じるサウンド、バッテリー持ちよし。

残念なところ:ヘッドバンドがゆるい、デザインが普通、ノイキャンが公式がいうほど良くはない。

Source: Anker

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