使用の中止が呼びかけられたEufy RoboVac 15C(アンカージャパン公式オンラインストアより)

写真拡大

消費者庁は10月1日、デジタル関連製品メーカーのAnker Japan(アンカージャパン)が輸入したロボット掃除機で、掃除機本体と周辺を焼く火災が発生していたと発表した。

アンカージャパン「対象製品の回収にご協力を」

発表によると今年8月15日、愛知県のある消費者が同社の電気掃除機(自走式)を充電していたところ、異音がしていることを確認。掃除機本体や周辺も燃えていたという。原因は分かっておらず、消費者庁は「当該製品に搭載されているバッテリーの不具合により、出火に至ったものと考えられる」としており、「対象製品をお持ちで、まだ事業者の行う回収及び交換を受けていない方は、直ちに使用を中止」するよう呼びかけている。

対象製品は「Eufy RoboVac 15C(ホワイト)」と、「Eufy RoboVac G30」など数種類。なお、アンカージャパンは昨年にもいくつかの製品をリコールしている。アンカージャパンの担当者は、本稿記者の取材に対し「ご心配、ご迷惑をおかけしたお客さまにおわび申し上げます」と回答。対象製品は、すでに回収の案内をしているという。

そのうえで「対象製品をご購入、交換されたお客さまならびに日頃よりアンカーグループを応援してくださっている皆さまには、多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしますことをおわび申し上げますとともに、対象製品の回収にご理解・ご協力を賜りますようお願い致します」とコメントした。

相次ぐロボット掃除機火災 “電気ストーブ”押す事例も

近年、ロボット掃除機の火災が全国で相次いでいる。

19年には動いていたロボット掃除機が電気ストーブに接触。掃除機がストーブを押した衝撃により引火、室内の一部を焼く火災が発生した。東京消防庁も同種の火災事例を公表した。加えて、独立行政法人製品評価技術基盤機構(Nite)が、ロボット掃除機の上でペットが用を足した際に、掃除機内部の電気系統がショートして火災を引き起こすこともあるとして注意を呼びかけている。

同機構によると、23年度の家庭用電気製品事故情報受付件数は1035件で最も多くなっており、製品が起因の事故受付件数も395件と最多であったという。他方、ゴミ収集車がバッテリーを回収している最中に発火し、火災に至る事例の報告もあるとしているため、資源ゴミの分別の際にも、充分な注意が必要となっている。

所有率は年々上昇、多忙な人の必需品に

ロボット掃除機の需要は年々高まっている。インターネット調査を中心に提供するマイボイスコムが23年8月上旬に実施した「第8回掃除機に関するインターネット調査」によると、ロボット掃除機を所有していると回答した人は全体の9.9%。所有率は21年の8.7%、19年の7.1%、17年の6.1%と年々上昇している。

また、サービスロボットの総合メーカー・エコバックスジャパンが同年に実施した「ロボット掃除機に関する意識調査」によると、ロボット掃除機を購入する理由として「掃除の手間を省きたいから」が78.0%で一番多く、次いで「常にきれいにしていたいから」が53.4%、「掃除する時間がないから」が34.7%、「メンテナンスが楽だから」が11.0%と続いた。掃除の時間や手間を省きつつ、仕事などで家を空けることが多い人にとって、ロボット掃除機は必需品になっている

前出の事故例のように、日頃から使っている掃除機のトラブルが原因で火災が発生し、周辺への大きな被害を生んでしまう可能性は我々の生活にも潜んでいる。また、低価格で購入できる“非純正”バッテリーの不具合を要因とする、火災事故の例もある。ロボット掃除機の購入を検討する際は、下調べも含め充分な安全への留意が求められるだろう。