自民本流の石破氏には「最後の戦いを応援したい」という声も

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 9月27日に行われる自民党総裁選に先立ち、霞が関の官僚約100人にアンケートを実施。自民党総裁=事実上「首相」というのが現状だ。では官僚にとって、首相になってほしい人物・なってほしくない人物は誰か?本音を赤裸々に語ってもらった。
◆重視するのは実務か?官僚たちがぶっちゃけた

 総裁になってほしい候補1位に選ばれたのは、長らく総裁候補と目されてきた石破茂氏。今回が最後の出馬であるとし、裏金問題を念頭に「ルールを守る政治」を強調した彼に対する信頼は厚いようだ。

「何だかんだ実績は申し分なく、知識と経験があり言動が信頼できる」(農水省・30代)、「国会でも冷静沈着でわかりやすい答弁をするし、安心して見ていられる」(総務省・40代)、「人柄的に安定感があり、国民と感覚を共有できそう」(内閣府・40代)と、盤石さを支持する声が多かった。

 続く高市早苗氏は、主に安全保障面で推す人が多い。

 内閣官房に勤務する官僚(50代)は「習近平が4期目に入る節目となる’27年までには台湾を巡る緊張感が最も高まると予想され、国家観をしっかりと持ったリーダーが必要。高市氏は外交・防衛に明るく、ハキハキとした性格なので、米中との交渉もそつなくこなすと思う」と信頼を寄せる。

◆やり玉に挙げられやすい“血統”こそ大切との声も

「刷新」への期待を背負う小泉進次郎氏については、古巣である環境省の30代官僚が次のように語る。

「言い方は失礼だが、国会議員も身分が安定していないと、国益を追求できない。その点、小泉氏は血統・地盤ともに問題なく、国益を考えつつ民意もくみ取れると思う」

 また、デジタル庁の官僚(30代)は「政治家の老害と役所の慣行が日本の生産性を下げている原因の一つだと思っているので、少なくともSlackくらいは使える若い人がいい。そういう理由で小泉氏を推したい」と話す。

 同じく若手枠である小林鷹之氏は中堅官僚からも評価が高い。

 法務省の官僚(40代)は、「彼の掲げるインテリジェンス機能の強化、偽情報対策、安全保障対策は非常に評価できる。大臣の時からもレク(他省庁への業務説明)などでやっていたので、総裁になって継続してほしい」と話す。

◆パワハラの噂がある候補は軒並み不人気

 一方、総裁になってほしくない候補の1位は茂木敏充氏。

「資料をめくる音を立てただけでキレられた上司がいる」(文科省・40代)、「茂木さんのスーツを外遊先の国に置き忘れた側近が、それを直接取りにいかされた」(経産省・40代)など、パワハラの噂が絶えない。

 ’21年に報道された「茂木幹事長対策マニュアル」は茂木氏に出すカップラーメンのお湯を入れるタイミングまでも記され、作成した官僚の苦労を察することができる。

「マニュアルの記事が出たときは喜ぶ職員もいました(笑)。総裁選を見越してYouTubeなどで親しみやすいキャラを演じているようですが、相変わらず官僚には厳しく、平気で怒鳴り散らす。実務能力が非常に高いのは認めますが……」(外務省・40代)

◆「職員の1年の仕事を水泡に」河野氏への警戒

 次点の河野太郎氏も、記者会見での高圧的なイメージもあって、評判が悪い。

「他省庁とのネゴシエーションも全て終わり、予算案の叩き台もできたところで、なぜか河野氏から横槍が入り、何人もの職員が1年間身を削った仕事が吹っ飛んだ。

 大局的な判断とは思うが、あまりにトップダウンだった。河野氏が首相になると政策の整合性・連続性が損なわれてしまいそうで怖い」(環境省・30代)

「レクをしに行ったら、一方的に怒鳴られた。文科省や厚労省などを『古い体質の省庁』と決めつけて否定してくる傾向がある」(厚労省・40代)