国際警察が犯罪者御用達メッセージアプリ「ゴースト」を解体、50人以上が逮捕される
ユーロポールとオーストラリアを含む9カ国の法執行機関が2024年9月18日に、麻薬密売やマネーロンダリングなどの組織犯罪に使用されていた「Ghost(ゴースト)」と呼ばれる暗号化通信プラットフォームの解体に成功したと発表しました。
Global Coalition Takes Down New Criminal Communication Platform | Europol
https://www.europol.europa.eu/media-press/newsroom/news/global-coalition-takes-down-new-criminal-communication-platform
https://www.afp.gov.au/news-centre/media-release/afp-operation-kraken-charges-alleged-head-global-organised-crime-app
Australian police infiltrate encrypted messaging app Ghost and arrest dozens | AP News
https://apnews.com/article/australia-ghost-encrypted-app-bad89db81faecc6581d25818c0d7765d
Europol takes down "Ghost" encrypted messaging platform used for crime
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/europol-takes-down-ghost-encrypted-messaging-platform-used-for-crime/
「ゴースト」は高度なセキュリティと匿名化機能を備えたメッセージアプリで、3層の暗号化と送信および受信者双方のデバイスから証拠を削除するメッセージ自己破壊システムを備えていました。
このゴーストを使用し、世界中で数千人が毎日1000件近くのメッセージをやりとりし、世界規模の犯罪ネットワークの形成に役立てていたとのこと。サブスクリプション料金は6カ月2350ドル(約33万円)で、料金には改造スマートフォンと技術サポートサービスが含まれていました。
ゴーストを運営する会社の所有者はオーストラリア在住で、サーバーはフランスとアイスランドに設置されており、金融資産はアメリカにあったため、ゴーストの取り締まりのために世界的な協力体制が敷かれました。
こうして、2022年3月にユーロポールに設立された作戦タスクフォース(OTF)には、オーストラリア・カナダ・フランス・アイスランド・アイルランド・イタリア・オランダ・スウェーデンそしてアメリカの9カ国の警察機関が参加しました。また、2024年1月にはフランス当局とアメリカ当局の間で合同捜査チーム(JIT)も結成されました。
そして、世界各地で行われた一連の捜査と一斉摘発により、オーストラリアで38人、アイルランドで11人、カナダとイタリアで1人ずつの合計51人が逮捕されたほか、武器や麻薬、100万ユーロ(約1億5900万円)を超える現金が押収されました。捜査の進展により、今後さらに多くの逮捕者が出るとみられています。
特に多くの逮捕者を出したオーストラリアでは、オーストラリア連邦警察(AFP)が実施した「クラーケン作戦」により71件の捜査令状が執行され、違法な銃器および武器25件、違法薬物200kgが見つかっています。
また、アプリの管理者とされるジェイ・ジェ・ユン・ジョン(Jay Je Yoon Jung)容疑者ら主犯格5人は、5件の罪状に問われ、合計26年の懲役に直面しているとのこと。
当局はユン容疑者が2017年に犯罪目的でゴーストを開発したとしていますが、犯罪組織の支援や犯罪収益の利益供与でシドニーの裁判所に出廷したユン容疑者は容疑を否認しています。また、ユン容疑者は保釈も申請しなかったため、2024年11月に裁判が再開されるまで身柄を勾留されることになります。
ユーロポールのキャサリン・デ・ボレ事務局長は「私たちは今日、犯罪ネットワークがどこに隠れようと、私たちの集団的な取り組みからは逃れられないことをはっきりさせました。世界9カ国の法執行機関が、ユーロポールとともに深刻な組織犯罪の生命線であったツールを解体しました」と述べました。